【医科】 個別指導での指摘事項②
「2023年度に実施された個別指導(新規個別指導を含む)での指摘事項」が開示されました。指摘事項の内容を確認することは、個別指導対策になるだけでなく、日頃の保険診療、保険請求を適切に行ううえでも参考になります。
「2023年度に実施された個別指導(新規個別指導を含む)での指摘事項」が厚生局岐阜事務所から開示されました。指摘事項の内容を確認することは、個別指導対策になるだけでなく、日頃の保険診療、保険請求を適切に行ううえでも参考になります。
前号に引き続き、個別指導での主な指摘事項を紹介するとともに、必要に応じてワンポイントアドバイス(☛で表記)を掲載します。 |
退院時共同指導料1
○ 退院時共同指導料について、別に厚生労働大臣が定める特別な管理を要する状態等にある患者以外の者に特別管理指導加算を算定している不適切な例が認められたので改めること【自主返還の事例】。
☛ 退院時共同指導料1の特別管理指導加算の対象患者(=別に厚生労働大臣が定める特別な管理を要する状態等にある患者)は次のとおりです。詳しくは『保険診療の手引』374 頁をご覧ください。
① 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理又は在宅強心剤持続投与指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者
② 在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者
③ 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者
④ 真皮を越える褥瘡の状態にある者
⑤ 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
短期滞在手術等基本料
○ 短期滞在手術等基本料について、次の不適切な例が認められたので改めること。②、③は自主返還の事例。
① 短期滞在手術等同意書
・ 症状欄がなく、別紙様式8に記載のある項目全てを記載した様式になっていない。
② 退院翌日に患者の状態を確認する等、十分なフォローアップを行っていない場合に算定している。
③ 看護師が回復室に常時勤務していない場合に算定している。
☛ 無床診療所において短期滞在手術等基本料1を届け出し、算定するケースが増えています。同基本料の算定要件、施設基準、同意書等を『保険診療の手引』209 頁に掲載していますので、ご確認ください。
経皮的動脈血酸素飽和度測定
○ 経皮的動脈血酸素飽和度測定について、酸素吸入を行う必要のない患者又はその他の要件にも該当しない患者に算定している不適切な例が認められたので改めること【自主返還の対象】。
☛ 経皮的動脈血酸素飽和度測定は、下記ア、イのいずれかに該当する患者に対して行った場合に算定します。詳しくは『保険診療の手引』883頁をご確認ください。
ア 呼吸不全若しくは循環不全又は術後の患者であって、酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を現に行っているもの又は酸素吸入若しくは突発性難聴に対する酸素療法を行う必要があるもの
イ 静脈麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を実施中の患者に行った場合
※ 閉鎖式全身麻酔を実施した際にL008 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を算定した日と同一日には算定できない。
リハビリテーション
○ 運動器リハビリテーションについて、次の不適切な例が認められたので改めること。②のみ自主返還の事例。
① リハビリテーションの起算日
・ 発症、手術又は急性増悪の日が明確な場合はその日、それ以外の場合は最初に診断がされた日ではなく、リハビリテーションを開始した日としている。
☛ 運動器リハビリテーション料は、「発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から150 日を限度として算定する」とされているため、ご注意ください。
☛ 各疾患別リハビリテーション料の起算日は下表のとおりです。
・ 標準的算定日数を経過する毎に対象疾患を変更している。
☛ 標準的算定日数(=算定日数上限)を超えた患者の取扱いは、『保険診療の手引』1142頁の「疾患別リハビリテーション料算定日数上限超のフローチャート」を参照ください。
② リハビリテーション実施計画書
・ 別紙様式21 を参考としたリハビリテーション実施計画書を作成していない。
保険外負担
○ 保険外負担等について、次の不適切な例が認められたので改めること。
① 療養の給付とは直接関係ないサービスとはいえないものについて、患者から費用を徴収している。
・サージカルテープ
② 所定の点数に含まれるものについて、患者から徴収している。
・足関節サポーター
☛ 「実費徴収が認められないもの」「実費徴収が認められるもの」を、『保険診療の手引』16頁以降にまとめていますのでご確認ください。
掲示事項
○ 掲示事項について、次の不適切な事項が認められたので改めること。
・保険外負担に関する事項を掲示していない。
☛ 保険医療機関は見やすい場所(受付窓口、待合室等)に当該実費徴収に係るサービス等の内容及び料金等に関する事項を分かりやすく掲示する必要があります。掲示例は『保険診療の手引』16 頁をご確認ください。
☛ 2024年度診療報酬改定により、上記掲示事項は原則としてウェブサイトに掲載しなければならないことになりました(経過措置:2025年5月31日)。ただし、ホームページ等を有しない場合は対応不要です。
(岐阜県保険医新聞2024年9月10日号)
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