【医科】 個別指導での指摘事項①
「2023年度に実施された個別指導(新規個別指導を含む)での指摘事項」が開示されました。指摘事項の内容を確認することは、個別指導対策になるだけでなく、日頃の保険診療、保険請求を適切に行ううえでも参考になります。
本稿では、個別指導での主な指摘事項を紹介するとともに、必要に応じて(☛で表記)を掲載します。 |
時間外加算
○ 時間外加算について、診療応需の態勢をとっている時間に算定している不適切な例が認められたので改めること【自主返還の事例】。
☛ 時間外加算は、「当該保険医療機関が常態として診療応需の態勢をとり、診療時間内と同様の取扱いで診療を行っているときは、時間外の取扱いとはしない」とされています。よって、標榜時間を過ぎたからといって、診療応需の態勢をとっている場合は時間外加算を算定できませんのでご注意ください。
夜間・早朝等加算
○ 夜間・早朝等加算について、受付時間に係る診療録への記載がなく、算定の根拠が確認できない例が認められたので、改めること。
☛ 夜間・早朝等加算の算定にあたり、定められたカルテへの記載事項はありませんが、算定の根拠となる「受付時間」のカルテ記載は必要と考えます。同様に、時間外加算についても算定の根拠となる「診療時間」をカルテに記載しておきましょう。
外来管理加算
○ 外来管理加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。①、②とも自主返還の事例。
① 患者本人が受診せず、患者の家族が来院した場合に算定している。
② 電話再診の場合に算定している。
☛ 「投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない」との厚労省通知からも分かるとおり、外来管理加算は患者を対面で診療した場合にしか算定できませんのでご注意ください。
診療情報提供料(Ⅰ)
○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、次の不適切な例が認められたので改めること。①は自主返還の事例。
① 紹介元医療機関への受診行動を伴わない患者紹介の返事について算定している。
☛ 診療情報提供料は、紹介元医療機関に診療状況を示す文書を添えて再度紹介した場合は算定できますが、単に返事を出しただけでは算定できません。
② 交付した文書が別紙様式に準じていない。
☛ 診療情報提供書は、紹介先機関ごとに様式が定められており、その様式又はこれに準じた様式を使用する必要があります。
在宅自己注射指導管理料
○ 在宅自己注射指導管理料について、在宅自己注射の導入前に、入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行っていない不適切な例が認められたので改めること【自主返還の事例】。
☛ 上記に加え、「指導内容を詳細に記載した文書を作成し患者に交付する」ことも要件化されていますので、忘れずに対応しましょう。
☛ アドレナリン製剤(エピペン)については、外来等での導入前の2回以上の指導は不要とされており、初回の指導で算定が可能です。
往診料
○ 往診料について、患家の求めがないにもかかわらず、往診を行っている不適切な例が認められたので改めること【自主返還の事例】。
☛ 往診料は、「患者又は家族等の患者の看護等に当たる者が、保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合に算定する」とされていますので、ご注意ください。
ビタミン剤の投与
○ ビタミン剤の投与について、次の不適切な例が認められたので改めること。①、②とも自主返還の事例。
① ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨に係る診療録への記載がない。
☛ ビタミン剤の算定にあたっては、「当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨を具体的にカルテ及びレセプトに記載しなければならない」とされています。ただし、病名によりビタミン剤の投与が必要、かつ、有効と判断できる場合はレセプトへの趣旨記載は不要とされています。
② 経口投与が可能である患者に対して、注射により投与している。
☛ 療養担当規則第20条には次のような規定があり、注意が必要です。
四 注射
イ 注射は、次に掲げる場合に行う。
(1) 経口投与によって胃腸障害を起すおそれがあるとき、経口投与をすることができないとき、又は経口投与によっては治療の効果を期待することができないとき。
(岐阜県保険医新聞2024年8月10日号)
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