社会保障の改善を求める患者・国民、医療担当者のたゆまぬ運動によって実現した国民皆保険制度では、医療が必要な時にはいつでも、どこでも、だれでも公的医療保険を使って最善、最新、最高の医療を受けることができた。ところが社会保障を軽視する政治は、私たち医師・歯科医師の日々の地域医療の実践と向上を阻み、地域住民の命と健康を脅かす事態を引き起こしている。
雇用と賃金がないがしろにされ、貧困と格差が拡大する中、われわれが一昨年実施した受診実態調査では4割を超える医療機関から経済的理由による治療中断の事例があったとする回答が寄せられた。あらゆる世代・階層に格差と貧困が広がり、失業や病気などで所得が減ればたちまち生活が行き詰まる危険と隣り合わせで暮らしている。受診抑制の原因が、格差の拡大による貧困にあることは言うまでもない。
これ以上の負担増と給付の削減、医療費の抑制は受診抑制と患者の重症化を一層深刻化させるもので国民皆保険制度を根底から揺るがすものである。政治に求められるものは社会保障の充実を図り、雇用と労働条件を改善し安心・安全な社会を築くことである。今こそ社会保障の充実を図り、国民生活を守ることは政府の最も大事な仕事である。
われわれ医師・歯科医師は、国民皆保険を守り、地域医療の実践と向上に取り組んできた。医療の第一線を担う我々は住民の期待に応えるため、社会保障の充実に向け尽力し、本総会にあたり下記の項目を決議して我々の要求と決意を表明する。
記
一、新たな患者負担増を行わず、患者の窓口負担を軽減すること。
一、良質な医療や介護を提供するため診療報酬・介護報酬の引き上げと不合理の是正を行うこと。
一、医療の市場化・営利化を推進しないこと。
一、消費税は増税を中止し、医療にはゼロ税率を適用すること。
一、医師・歯科医師の裁量権を尊重した審査、行政手続法に従った指導、監査が行われること。
以上決議する。
2017年2月26日
岐阜県保険医協会 第40回定期総会
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