協会は3月22日、協会会議室で神谷慎一日本弁護士連合会(日弁連)理事と懇談した。神谷弁護士は、2008年より岐阜県保険医協会の顧問弁護士を務めており、昨年4月からは岐阜県弁護士会会長、日弁連理事として活動している。
当日は、昨年10月に日弁連が採択した「人権としての『医療へのアクセス』が保障される社会の実現を目指す決議」と、同11月の「マイナ保険証への原則一本化方針を撤回し、現行保険証の発行存続を求める意見書」をもとに懇談。
日弁連は、「いつでも、どこでも、誰でも、安全で質の高い医療にアクセスする権利は基本的人権」と位置づけ、コロナ禍で医療・公衆衛生体制の弱体化が露呈したことを鑑み「医療費抑制ありきの政策を転換すべき」と指摘している。「国の医療費抑制策にはデータに基づいたエビデンスがない」としており、神谷氏も医療費抑制政策が間違いであり、人権侵害に他ならないと強調した。
マイナ保険証も、取得や管理が困難な人が多く、様々な資格証で制度自体が複雑化。更新毎に送付される健康保険証の代わりになり得ないとし、弁護士会では特に「患者が情報提供範囲の選択ができないシステム」を問題視している。
今後の日弁連の対応について神谷弁護士は、ロードマップの策定や、組織立ち上げとともに、各地の単位会にも地域からの要求実現の声を上げるよう求められると説明。協会との連携として、患者や医療者の切実な声のとりまとめ、懇談や勉強会、共同シンポジウム開催、議会対策などを呼びかけた。
役員からも「これまで取り組んできた運動が、法的裏付けで後押しされた」「弁護士会との連携は大歓迎」との声や、医療・介護へのアクセスが阻害されている事例も報告された。
※ 日弁連の決議・意見書の全文は、下記のリンクからダウンロード可能です。
●「人権としての『医療へのアクセス』が保障される社会の実現を目指す決議」(2023年10月6日、日弁連)
●「マイナ保険証への原則一本化方針を撤回し、現行保険証の発行存続を求める意見書」(2023年11月14日、日弁連)
(岐阜県保険医新聞2024年4月10日号)
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