Contents
Home 
会長挨拶 
保険医協会とは 
医療制度改善 
協会の主張 
診療報酬改定 
医科研究会 
歯科研究会 
その他の行事 
保団連の書籍 
役員一覧 
事務所ご案内 

保険医新聞12月号主張

2024年を振り返って
 ~激動と波乱の医療界~
 1月1日、石川県能登半島を震源とするマグニチュード7.6の地震および津波が発生し、医療機関にも甚大な被害を及ぼしたが、未だに全く復興が進まない状況である。政府の初期対応の遅ればかりでなく、我が国のこれまでの教訓が全く活かされていない。能登の復興には地域医療の復旧は不可欠である。医療施設等災害復旧費補助金、なりわい再建支援補助金の要件緩和等を望む。

 今次診療報酬改定の影響は大きく、診療所を中心に減収の影響は大きい。医療従事者の賃上げ対応では、ベースアップ評価料の届出方法が複雑で届出ができない不合理が生じでいる。同評価料で保障されるベースアップは外来で1.2%、入院で2.3%にとどまり、目標の5%には遠く及ばない。物価高騰への対応や医療従事者のさらなる賃上げには、初再診料、入院基本料などを大幅に引き上げることが必要である。そして、特に内科で影響が大きく減収の根源となっている、特定疾患療養管理料からの高血圧、糖尿病、脂質異常症外しは中止し、少なくとも元に戻すべきである。

 また、10月から始まった、長期収載品の選定療養を用いた保険外しにより、医師への裁量の制限、治療への悪影響、医療機関や薬局の窓口の混乱、後発品の供給不足、請求コード入力の負担増大などの問題を引き起こしているため、即刻中止撤廃すべきである。

 「骨太の方針2022」にオンライン資格確認導入の原則義務化、将来的な保険証の原則廃止が掲げられて以降、医療現場の混乱は著しい。「現行の保険証を残して欲しい」の意見が8割(地方紙の合同調査)を超えているのに、12月2日からの新規保険証の発行の停止を撤回しない。

 総裁選で石破総裁は「納得していない人、困っている人がたくさんいる状況であったとすれば、従来の保険証との併用を考えるのは選択肢として当然だ」と発言したが、新内閣では保険証廃止を堅持する姿勢を変えようとしない。当協会では、「マイナ保険証の作成を強要する新聞広告に強く抗議する声明」、「保険証の存続を求める意見書を国へ提出することを求める意見書」、「マイナ保険証の利用実績が低い医療機関への個別的な働きかけに対し撤回を求める要望書」などを出した。今後も街頭署名、保険証を残せミッションリーフ、弁護士会との共闘などで最後まで諦めずに「保険証存続」に向けて取り組んでいく。

 今後も、診療報酬の緊急再改定、特定疾患療養管理料の3疾患外しの撤回、診療報酬特に基本診療料の引き上げ、長期収載品の選定療養化の廃止、歯科医療改善の取り組み・歯科医療費総枠拡大、新型コロナウイルス対策への公費支援継続などを政府に要請していく。今後とも先生方のお力を協会にお貸しください。

(2024-12)