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保険医新聞11月号主張

「保険証存続」の議論を早急に
 12月2日から、いよいよ保険証の新規発行が停止され、マイナンバー保険証(マイナ保険証)に統一される。マイナ保険証をめぐって医療現場では様々なトラブルが多発している。今年5月以降のマイナ保険証トラブル調査では、資格確認ができずいったん10割負担となるケースや受診を諦めるなどのトラブルがあったと答えた医療機関は約7割にのぼり、そのうちの約8割が健康保険証でトラブルに対応したと回答を得た。

 また、高齢者施設へのアンケートでは、約8割の施設で入所者のマイナカードの代理申請の対応が困難、約7割超の施設でマイナカードの管理ができないとの回答があった。そして、愛知協会が実施した子育て世代へのアンケートでは、マイナカードを取得している子供の割合は約3割にとどまり、さらに保険証との紐づけしている割合は5割を下回っていた。加えてマイナ保険証で受診している割合はわずか2.7%であった。そのような状況の中、政府は強引に保険証廃止をやめようとしない。10月からの紐づけ解除でも医療機関の混乱に拍車をかけると予想される。

 8月30日に開催された社会保障審議会において、マイナ保険証利用実績が著しく低い医療機関に対し、地方厚生局が個別に事情を確認するなどの働きかけを行うことが提案された。更に、マイナ保険証を利用する機会を奪っているとして療養担当規則違反になる恐れがあると、行政指導をちらつかせている。これは、医療機関への不当な圧力や脅しであり到底容認できない。

 石破総理は、総裁選において「納得と共感」、「謙虚で誠実で温かい政治」を掲げ、「マイナンバーに関して、納得していない人、困っている人がいる状況であれば保険証との併用も選択肢として当然」と述べていたが、所信表明演説ではまったくそのことには触れず、早々に解散に踏み切り、議論すらしようとしない。平デジタル大臣は、現行保険証の廃止について「悪意ある者にとってこれほど付け入る隙のある制度はない」と理解を求めたが、それを回避するには保険証に顔写真やICチップを埋め込めば済むのではないであろうか。取得困難な子供や老人を棚に上げ、マイナ保険証のデメリットには全く触れていない。保険証廃止は、国の面子を保ちたいだけであり、保険証との併用を認めるべきである。どうしてそれができないのであろうか。当協会でも、引き続き「保険証存続」を訴えていきたい。会員の皆様のご協力をお願いしたい。どんな政権になろうとも、より良い保険医療を目指していきたい。

(2024-11)