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保険医新聞5月号主張
地域医療を疲弊させる
2024年度診療報酬改定に抗議する
今年は診療報酬改定が6月1日から施行される。今次改定では医療DX推進の体制を評価する「医療DX推進体制整備加算」が新設された。施設基準で、マイナ保険証の利用実績が一定程度あることや、電子処方箋を発行する体制、電子カルテ情報共通サービスを活用できる体制などが求められるなど、露骨な政策誘導が図られており、先月号の社保部長談話で言語道断であると断罪し、実施を撤回するべきであると述べている。
新設されたベースアップの評価料は医療関連職種の賃上げの見通しに応じて医療機関間で差がつき、患者との信頼関係を損ねる可能性がある。医師・歯科医師、医療事務職員を除くコメディカルを対象にした賃上げ計画を作成し、実績報告をそれぞれ地方厚生局長に届け出る必要があり、計画通りに賃上げが行われているかを計算し区分変更があれば届け出なければならない。本来なら基本診療料の増額で賃上げに資するべきものだ。初診料・再診料の更なる総枠引き上げを実行するよう求める。
また、医薬品では「長期収載品」の選定療養化が10月1日から導入される。これは、本来の選定療養とは異なる運用上の逸脱であり、これをきっかけに薬剤のみならず選定療養の範囲が広がり、保険給付範囲の縮小につながることが懸念される。また、後発医薬品の供給不足が続く状況にもかかわらず、後発医薬品に誘導するような施策は、更なる供給不足を増長する。撤回を求めていく。
医科では「特定疾患療養管理料」の対象から「脂質異常症、高血圧症、糖尿病」を除外し、その受け皿として、「生活習慣病管理料(Ⅱ)」が新設された。この算定には療養計画書の作成・交付が要件で、その際、患者の同意署名が必要であることが示された。現在、上記3疾患に対して特定疾患療養管理料を算定する際にその要件はなく、算定ハードルは高まった。また生活習慣病管理料(Ⅱ)は月1回のみの算定であり、経営面に対する影響は甚大である。
歯科では、口腔機能管理の重点化を名目に、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」が改変され一物二価が拡大し、院内感染対策や緊急時の対応に関する点数が細分化され複雑になった。「クラウン・ブリッジ維持管理料」については、金パラ・銀合金の単冠が対象から外され、実質的な減点となった。
我々は、地域医療を充実したものにするために、引き続き診療報酬の引き上げと改善、患者負担の軽減を求める。医療現場の実態と声を顧みない、2024年度診療報酬改定に断固抗議する。
(2024-5)