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保険医新聞12月号主張

岐阜県保険医協会/保団連の奮闘
 ~一年を振り返って~
 激動の2023年が終わろうとしています。今年は医療界にとって国民皆保険の根幹を揺るがしかねない重大事がたくさんありました。4月からの「オンライン資格確認」義務化開始、通常国会での「保険証廃止法案」の可決、5月8日からの「コロナ五類化」にみる疾病対策の軽視と医療機関への支援策の削減、そして夏の第9波から再び顕著になった「薬不足」等が挙げられます。

 保団連としては、マイナ保険証トラブルについて国会要請行動や事例報告を行ったほか、当協会の竹田会長が国会の参考人質疑に出席するなどして存在感を示した一方、当協会も頻繁な会員アンケートや年4回というかつてない頻度でのマスコミ記者発表で、広く会員の意見集約と市民への世論喚起を行ってきました。

 国内を見れば、アベノミクス破綻による未曽有の円安と物価高騰、金価格高騰は、医療機関をも巻き込む物価高を引き起こし、日本全体に深刻な影響を及ぼしています。10月にはインボイス制度も開始となり、次年度以降に深刻な影響が懸念されています。安全性の懸念される事故が起きながら、原発再稼働も進められています。

 他方世界を見渡せば、終わらぬウクライナ問題、新たに戦争の悲惨さを映し出したパレスチナ問題に深く胸を痛めます。命を守れ、戦争反対という声の切実さ。医療従事者としてその先頭に立つことの責務を感じます。軍事費には容易に予算が投じられる一方、同じ「命を守る」という目的の社会保障費があまりに容易に削られています。政治の機能不全に対する憤りは、これからも形にしていかねばなりません。組織の存在価値はここにこそあります。

 こうした暗い話の一方、当協会には念願の女性部が発足し、岐阜県医師会会長の伊在井みどり先生をお招きして忌憚ないお話を頂くなど、3回の交流会を実施することができました。女性の地位向上、ジェンダー平等は、男性にとっても働きやすい、生きやすい社会であり、組織であるはずです。

 国民皆保険が完成したのは1961年、今から62年前のことです。当時の厚生白書には、1千万人近くの低所得者層が復興の背後に取り残されているとあり、国民の3分の1が公的医療保険に未加入、お金が命を左右する時代でした。次年度は医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定の年となります。「お金が命を左右した時代」に戻さないために、当協会は会員の先生方とともに全力を尽くす所存です。どうか来年もお力をお貸しください。

(2023-12)