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保険医新聞9月号主張

「診療報酬の引き上げ」と「患者窓口負担の軽減」は車の両輪
-ぜひとも医師・歯科医師要請署名にご協力を-
 岐阜県保険医協会では2020年診療報酬改定に向け「診療報酬の技術料10%引き上げ」と「患者窓口負担の軽減」を求める会員(医師・歯科医師)要請署名を行います。政府・財界・財務省などが一体となり、骨太の方針などで社会保障抑制政策を強力に推進しております。医療・介護の給付削減負担増計画が工程表に沿って着々と進められているのに対し、保険医協会はこれを阻止し社会保障充実政策に転換する大きな国民世論の形成を目指しています。先の参議院選挙に関し、国民の最大の関心事は社会保障の充実です。医科・歯科連携して保険医の要求、国民の願う医療の実現を目指して活動する保険医協会におきましては、社会保障の充実を求めるためにはこの2つの要求は車の両輪であり、必ず2つ同時に主張すべきものであると認識しております。

 まず、診療報酬の引き上げは喫緊の課題であります。診療報酬は2002年以降繰り返されたマイナス改定の結果(合計は10%超のマイナス)、医療機関は必要な医療提供に支障をきたし疲弊しています。2017年の「医療経済実態調査」結果について厚生労働省は「一般診療所全体の損益率は医科・歯科とも大きく悪化し、病院も悪化し過去3番目に悪い」と報告しています。初・再診料、入院基本料をはじめ、医療機関が患者さんに提供する医療水準を担保できるよう、医療従事者の基礎的技術料を正当に評価するとともに、診療所や病院それぞれの医療施設の基盤強化のためにも診療報酬の引き上げは必ず必要です。

 同時に保険医協会が一貫して取り組んでおります「患者窓口負担の軽減」も最重要課題であります。あらゆる世代の貧困が社会問題となっており、各種調査で「経済的な理由で必要な受診をあきらめた」方はおよそ30%を占めます。また、保険医協会が2015年に実施した調査では回答した医療機関の約4割で患者さんの経済的理由による治療中断を経験していました。この傾向は歯科にてさらに顕著で5割を超えております。安心して受診できるために、患者窓口負担割合の軽減や高額療養費制度の患者負担額の引き下げなど「患者窓口負担の軽減」は患者さんにとって切実な願いです。常に患者さんに寄り添う我々医師・歯科医師が強く求めていく必要があります。

 2015年「医療再建で国民は幸せに、経済も元気に―医療への公的支出を増やす3つの提案」という消費税に頼らない不動の財源論を保団連は提唱しております。応能負担原則で税収を見直し社会保障を拡充していく道は、厚労省も認めるように、雇用誘発効果や経済波及効果をもたらし、低迷する日本経済を活性化させる道でもあります。今回の「診療報酬の引き上げと患者窓口負担の軽減を求める要請署名(医師・歯科医師会員署名)」に是非ともご協力いただき、社会保障充実の大きな世論形成のための運動を力強く前進させていきたいと強く願っております。会員の先生方の御一筆を心からお願い申し上げます。

(2019-09)