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保険医新聞12月号主張

損税解消にゼロ税率適用と消費税10%増税撤回を
 消費税が導入されて30年になる。税率は3%からスタートし5%、8%と引き上げられ、来年10月には10%にされようとしている。医療保険各法の医療費非課税により、医療機関は事実上の最終消費者となり、多額の損税に苦しめられている。

 三師会と病院団体協議会がまとめた「提言」は、医療非課税・診療報酬への補填を前提に補填分を超えて生じた損税分について還付を受けるという新たな仕組みを提案しているが、診療報酬への補填を公平・正当に行うことの難しさは証明済みである。また、財務省を説得し還付のための財源を確保することも困難なことではないか。

 そもそも非課税と言いながら、診療報酬に補填することが前提では、患者や保険者に消費税負担を押し付けることになり、非課税という看板に偽りありとなる。

 保団連は、患者に負担させず医療機関にも損税を発生させない「ゼロ税率」を提唱している。「税金の問題は税金の中で解決せよ」という当然の要求である。実際、輸出品には免税としてのゼロ税率が適用されている。

 「ゼロ税率」といっても申告するためには実務が大変になるのではないかとの危惧が生じるが、「提言」における還付申請の場合でも「実額計算」を条件にするとされている。消費税は複数税率、インボイス制度の導入など、ますます複雑な制度になろうとしており、医療機関においても様々な対応が必要になることは免れえない。

 医療機関の損税は現在でも過大であるが、10%になれば、さらに経営基盤を揺るがすものとなるのは明白である。厚労省はこれまでも消費税対策として診療報酬に上乗せしたというが、その後の点数改定で曖昧になっている。8%への増税時には初診料・再診料等の基本診療料に補填したことから、初診・再診等の回数をカウントすれば補填金額を計算できるかもしれないが、そもそも診察回数と消費税負担がリンクするのかを考えれば、合理的とは言えない。

 消費税は逆進性が強く所得が低いほど負担率が高く、国民全体に大きく関わる問題である。8%への増税時の景気後退は回復したとの声も一部にはあるが極めて限られたものであり、姑息なポイント付与やプレミアム商品券で消費の落ち込みを防げるものではない。消費税増税の前に、法人税減税、配当金の分離課税、所得税の累進税率の問題など見直しを行うべき事柄はたくさんある。更に「消費税は10%以上に」との声も聞こえてくる。これを許さないためにも来年10月の消費税引き上げは撤回させなければならない。

(2018-12)