さらなる患者負担増、高齢者医療・介護負担増の動きにストップを

 骨太の方針において、解熱剤・鎮痛剤・咳止め・去痰剤・抗アレルギー薬・湿布・保湿剤などの医療用医薬品(OTC類似薬)の保険給付除外の検討を決めた。早ければ2026年度より実施される。これが実施されれば薬代が倍増するなど患者負担増となる。また、高額療養費制度や子ども医療費、難病・ひとり親の医療費助成制度も適用されなくなるなど、影響は甚大だ。そして、医療機関にもかなり影響があると予想され、医療崩壊につながると考えられる。医療現場から「OTC類似薬の保険外し」反対の運動に取り組んでいく。

 また、10月から75歳以上窓口負担の「配慮措置」が終了し、負担2割化が実施された。2割化後の実態調査では、2割負担になった人の6割が「負担が重い」「とても重い」と回等しており、「とても重い」と回答した2割が「このままでは受診できなくなる」と回答している。保団連は「配慮措置の継続を求める要請書」を厚生労働大臣宛に提出し、ただちに1割に戻すこと、「配慮措置」を継続すること、「配慮措置」を終了する前に影響調査をすることを要請した。当協会でも、高齢者の命に関わる負担増はただちに見直すよう要請していく。

 さらに、高額療養費制度について、専門委員会では、冬までに何らか結論を出すとしており、現役世代の社会保険料の負担軽減や医療費の高額化などを口実に負担増につながる改定を求める意見が出ている。保団連や患者団体などの声により今年3月に「凍結」したにもかかわらず、早くも引き上げの道に進もうとしている。当事者や世論を無視した改悪は決して許されない。引き続き制度改悪を許さない運動を続けていく。

 加えて「介護保険の利用料2割負担の対象拡大」や「ケアプランの有料化」、「要介護1・2の生活援助の保険給付はずし」など、さらなる負担増・サービスの縮小の検討を始めた。当協会では「ストップ!介護崩壊」の署名に今後取り組み、患者と寄り添いながら介護改悪を止める取り組みを広げていく。

 これらの患者負担増は、物価高など生活が苦しい現役世代、高齢者やその家族の家計を直撃し、必要な医療や介護サービスが受けられないケースや重症化が懸念される。政権が安定せず、国会ではまともな議論がされないまま、政府は着々と患者負担増、高齢者医療・介護負担増を計画している。今我々が大きな声を上げなければ政府の思いのままである。患者負担増はおのずと受診抑制につながり、我々の収入減・医療崩壊につながる。これまで以上のご理解とご協力をお願いしたい。

(保険医新聞「主張」 2025-11)