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物価高騰対策、賃上げの支援はすべての医療機関を対象とせよ
財政支援を県に要請
岐阜県は国の重点支援地方交付金を活用し、令和5年度から4回にわたり「岐阜県医療機関等物価高騰対策支援金」事業を実施し、うち3回は県内の病院、診療所、各種施設を対象にしたが、令和6年度補正予算を組んで示された財政支援策に対応した直近の支援事業は食材料費高騰分の支援とされ、診療所や食事提供が想定されない訪問系サービス等は対象外となった。
また、今年3月31日時点でベースアップ評価料を届出していない県内約半数の医療機関は、令和7年度に実施が予定されている医療施設等経営強化緊急支援事業における賃上げ等の支援金の対象から外されている。
すべての医療機関が地域医療の担い手であり、県民の命と健康を支えている。東海地方の近隣県では直近の支援事業にて病院・診療所の区別なく、歯科技工所等も対象にして実施した。すべての医療機関を対象にした財政措置を岐阜県に実施してほしい。
こうしたことから、協会は6月13日、県に対して以下の要望書を発出した。
2025年6月13日
岐阜県知事
江崎 禎英 殿
岐阜県保険医協会
会長 永田 正和
すべての医療機関への物価高騰対策、賃上げの支援を求めます
貴職におかれましては、県民の健康増進、医療・歯科医療の確保のために尽力しておられることに敬意を表します。
さて、物価高騰への支援として令和5年度から4回に渡り県内医療機関を対象とした「岐阜県医療機関等物価高騰対策支援金」が実施され、地域医療の支えとなっております。
一方で、昨年実施された診療報酬改定では、物価上昇に対する診療報酬の引き上げは行われず、人件費や設備投資費だけが大幅に増え、医療機関の経営収支は実質マイナスとなり依然として苦しい経営状況を強いられています。
このような情勢の下、政府は令和6年度補正予算において、「生産性向上・職場環境整備等事業」として828億円を盛り込みました。賃上げ等のための生産性向上の取組を支援し、医療人材の確保・定着を図るとしており、交付額は病院・有床診療所が1床あたり4万円、医科・歯科診療所及び訪問看護ステーションは1施設あたり18万円とされています。
ところが、支援の対象を2024年度診療報酬改定において点数表上に新設されたベースアップ評価料届出医療機関に限るとされています。こうした限定的な取扱いとなっていることは大いに問題です。当該評価料の届出は簡素化されたと言われていますが実際の実務は複雑で、算定する医療機関はその対応に苦慮しています。岐阜県内の届出医療機関数の割合は医科48.5%、歯科57.3%で、約半数の医療機関が支援事業の対象外となります。
当会では2月17日にすべての医療機関を対象にした財政措置を実施、拡充することを求めましたが、重点支援地方交付金を活用した財政措置は病院・有床診療所を対象とした食材料費高騰分の支援にとどまっています。岐阜県におかれては、追加の支援策を講じていただきますよう、下記の通り要望いたします。
記
一、県内すべての医療機関を対象にした、物価高騰に対応する支援策を再度講じること
一、医療従事者への賃上げ支援は、ベースアップ評価料届出医療機関に限らず、すべての医療機関を対象に実施すること
以上