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参議院選挙に向けて意思統一を
―参議院選挙で我々が訴えたいこと
2024年の医療機関の全国での休廃業は722件となり、2014年(10年前)と比較すると2.1倍に増えている。病院が17件、医科診療所が587件、歯科診療所が118件で診療所の休廃業が過去最多を更新している。診療所経営者の高齢化、マイナ保険証や電子カルテ、オンライン診療など医療DXへの対応が重荷となるケース、物価高のなか診療報酬が上がらず経営が立ち行かなくなっていることが主な原因と思われる。そこで当協会では、7月にも行われる参議院選挙に向けて、今後の運動および医療界を取り巻く様々な問題に対して意思統一をはかるべく訴えていきたい。
まずはじめに、地域医療を守るため、物価高騰への対応や医療従事者のさらなる賃上げ、感染症対策充実のため、初・再診料、入院基本料等の基本診療料を大幅に引き上げることを要望し、診療報酬の期中改定を求めていく。また、後発医薬品がある先発医薬品(長期収載品)の保険外しの撤回・OTC医薬品の推奨の撤回を求める。そして、介護施設の経営安定や利用者へのサービス重視を考え、介護報酬の大幅引き上げを求めて行きたい。
次に、患者・国民の受療権を守るため、「保険証を残せ」の運動を強め、従来の保険証を使い続けられるよう訴えていく。政府(自民、公明、維新)は、いったん凍結となった高額療養費制度改悪を、参議院選挙終了後の秋にも見直しを推し進めようとしている。これを阻止し廃案にもっていきたい。また、維新が主張する、医療費4兆円削減を書き込んだ三党合意を止めさせ、軍拡偏重、大企業優遇の予算編成に断固として抗議したい。
また、「医療法等の一部を改正する法律案」が衆院本会議で4月3日に審議入りしたが、この法案は医療法、健康保険法はじめ主な関連法だけで24本の束ね法案となっている。新たな地域医療構想や医師偏在対策、医療DX推進など今後の医療のあり方を大きく左右する内容であり、十分な審議が求められる。そして、歯科診療所の休廃業も増加しており、適正な診療報酬改定や財政措置などが求められる。「保険でより良い歯科医療」の運動を強めていきたい。その他、マイナトラブル、病院の統廃合、薬不足、こども医療費助成、妊産婦医療費助成、補聴器助成制度、ワクチン関連、指導・監査・適時調査の適切な運用などを求めていきたい。
当協会では、参議院選挙前には候補者アンケートや各候補者に「参議院選挙に関する保険医の要求」を送付して我々の運動を訴えていく。会員の先生におかれましては是非、投票の参考にしていただきたい。
(保険医新聞「主張」 2025-6)