TEL.058-267-0711
高額療養費制度「限度額引き上げ」の白紙撤回を求める要望書
2025年3月12日
内閣総理大臣 石破 茂 様
厚生労働大臣 福岡 資麿 様
岐阜県保険医協会
会長 永田 正和
高額療養費制度「限度額引き上げ」の白紙撤回を求める要望書
高額療養費制度の負担限度額引き上げについて石破茂首相は3月7日、今年8月に予定していた負担増も含め、見直し全体について実施を「見合わせる」と決断しました。受診抑制を招いて「命に関わる」と訴えてきた患者団体の声を聞き入れ、「今年秋までに改めて方針を検討し、決定する」とし、当初案から短期間に3度の方針転換となりました。3月10日の参議院予算委員会で首相は、8月実施見送り表明に至る検討過程に関し「丁寧さが十分ではなかったと反省している」と陳謝、夏の参院選後の引き上げを「強行することはない」と言明しています。
高額療養費制度は、がんや難病などの重篤な疾患や長期に治療が必要な患者が、高額な医療費負担によって治療の継続が脅かされないように、支払う医療費を一定額以下にする制度として、公的医療保険制度の中に位置付けられています。
高額療養費制度を利用したことがない国民であっても、思いがけず大病を患い高額な医療費を負担する必要が生じることはどの世代にも起こり得ます。特に働く世代や子育て世代などの現役世代ががんや難病に罹患した場合には、長期にわたる高額な治療費により生活が困窮する事態にもなりかねません。物価上昇に賃金が追い付かず家計も厳しい状況にあり、重篤な疾患患者は闘病と就労制限を余儀なくされている方が多く、高い治療費の支払いでギリギリの生活を強いられています。さらなる負担増で治療をあきらめる人が出てきます。
当初案、多数回該当の限度額引き上げを据え置いた「政府修正案」、8月の引き上げに限定した「再修正案」のいずれも、自己負担限度額の引き上げに伴う受診抑制が金額の多寡を問わず見込まれており、重篤な傷病で治療を続ける患者の命を蔑ろにするものでしかありません。命を守る社会保障制度を維持する財源捻出のために、「患者の命を切り捨てるような制度の見直し」があってはなりません。
さらに、国会審議を通じて厚労省は、制度利用者の収入減少、医療費支出、受診抑制を含む影響など調査を一切実施せず、データも持ち合わせておらず、制度を利用している「患者団体へのヒアリング」もせずに新年度予算案として閣議決定した政策決定プロセスに怒りすら覚えます。制度見直しに対する重い責任を放棄していると言わざるを得ません。 お金の心配なく必要な医療を全ての国民が安心して受けるためにも、また安心して経済活動に参加できる環境を構築するためにも、今年秋までの方針検討・決定ではなく、高額療養費制度「限度額引き上げ」の白紙撤回を強く求めます。