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保険医新聞10月号主張
「コロナ感染症対策の継続と公費負担の継続を」
~アンケート結果をもとに国への要請と記者発表を実施
全国の定点医療機関における9月第1週の新型コロナウイルス感染者数は20.19人であり、9月に入っても衰える兆しはみえない。加えて、季節性インフルエンザの流行も拡大している。これは、明らかに5月よりコロナが感染症法上において2類相当から5類への位置づけに変更となり、マスク着用の緩和、移動制限の撤廃、コロナ検査・治療の公費負担終了などが影響していると思われる。また、テレビや新聞などで毎日の感染者数の発表がなく、国民の流行への危機感が薄くなったのも誘因と考えられる。
当協会では、5類移行が医療機関にどのような影響を及ぼしたかを調査し、改善すべき点を行政に要求していくために医科会員にアンケート調査を行った。回答率が32.4%と、大変多くの先生より回答があった。まだまだコロナ診療において多くの問題点があることを認識した。
アンケートでは、8月最終週の発熱患者数が平均36.7人/週、コロナ陽性者数は平均16.5人/週であった。「5類移行が適切であった」という意見は39%に留まった。
「コロナ治療薬について10月以降も公費負担を続けるべき」が23.6%、「公費負担終了はやむを得ない」が46.8%であったが、医療費増大と患者負担を考えてのことと思われた。
診療で困っていることとして、「診療報酬上評価が十分でない」、「医薬品(咳止め、解熱剤)が足りない」、「マイナ保険証のみ持参で受付対応が困難であった」などの意見が多かった。また、広報やマスコミの報道のあり方も問題であり、国民にとって感染状況の把握が困難であるとの意見も多かった。
アンケートをもとに、厚労大臣と知事に①コロナ治療薬の公費負担を10月以降も継続すること②コロナワクチンの公費負担を2024年4月以降も継続することを要望した。9月21日にマスコミ記者発表を行い、公費継続による患者負担軽減を訴えた。
しかし、国は10月以降、全額公費負担であった高額な抗ウイルス薬は、所得に応じて最大9千円の自己負担を求め、入院費補助は半額の最大1万円に減額すると発表した。院内トリアージ実施料の減額、コロナ患者への療養指導料の廃止も予定している。これでは、患者の受診控えが増加し、感染拡大に拍車をかけるのではないかと危惧される。医療機関は、ただでさえ物価高騰の煽りを受け経営困難なところへの収入減では、経営破綻や外来対応医療機関の継続が難しくなる医療機関が増えてくる。
当協会は、年末年始にかけてコロナ感染が拡大し、インフルエンザとの同時流行で医療が逼迫することが無いよう、現在の状況をマスコミと懇談し世の中に広く知らしめ、粘り強く国や行政にコロナ感染症対策・公費負担の継続を要請して行く。
(2023-10)