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レセプトのオンライン請求「義務化」も見直せ!
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厚生労働省は光ディスク等で請求する医療機関に対して、3月22日の社会保障審議会(医療保険部会)で、原則2024年9月末までにオンライン請求に移行することを実質上義務付けるロードマップを示した。ロードマップは、オンライン請求の割合を100%に近づけていくため昨年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」を具現化した提案である。
現在、電子レセプトを光ディスク等に記録して郵送する「光ディスクなどで請求」する医療機関は約六万施設(全体の27%)、また約8千施設(全体の3.4%)は紙レセプトで請求している。
厚生労働省は今年2月にオンライン請求未導入の医療機関と薬局を対象に実施したアンケートを基に「光ディスク等・紙レセプト請求は減少傾向」、「紙レセプトは例外的な取り扱い」などと説明。オンライン資格確認の原則義務化を念頭に、「オンライン請求に移行しやすい環境がある」と結論づけている。
紙レセプト請求者に対しても、2024年4月以降はレセコン未使用医療機関の新規適用を終了し、既存の適用者には改めて届出を提出させる計画で、2023年度中に請求省令を改正し、期限を区切って実施を迫るものとなっている。
この間矢継ぎ早に「オンライン資格確認の義務化」が示され、「健康保険証の廃止」法案が国会に提出される中、それに便乗する形で「オンライン請求の義務化」が突然示された。コロナ禍により疲弊した医療現場に多大な負担と不安、混乱をもたらすことは必至である。
光ディスクによる請求医療機関は、歯科診療所の6割(約4万1千施設)、医科診療所の2割(約1万8千施設)に相当する。高齢や小規模などを理由に、光ディスク等による請求を選択する医療機関も多く、厚生労働省のアンケート結果でもこのうち約半数が「(オンライン請求の)開始予定はない」と回答するなど移行のハードルは高い。
高齢医師・歯科医師等が多い紙レセプト請求医療機関に改めて届出を求めれば、かえって閉院・廃院を後押ししかねない。さらに紙レセプトの新規適用を2024年3月末で終了させる方針は、患者減等の事情により、紙レセプトに切り替える道を閉ざし、閉院時期を早めることになる。医療現場の困難な事情は斟酌しない、移行ありきのシナリオ設定である。
長引くコロナ禍の中、安心・安全の医療が最優先であるのにもかかわらず、医療DX推進ありきで地域医療に混乱を持ち込み、医療機関の経営を窮地に追い込む政策は本末転倒。地域医療存続のため、現場の実態を軽視したオンライン請求「義務化」方針の撤回を引き続き要請していきたい。
(2023-06)
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