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保険医新聞5月号主張

国民の命と健康を守るための医療提供体制の構築を
 政府は、5月8日から新型コロナウイルス感染症を感染症法上の5類に引き下げることを決定した。3月10日に公表した「医療提供体制及び公費支援の見直し」及びその後の事務通知では、①コロナ検査や診療に対する公費負担の原則廃止(9月末までは、価格の高いコロナ治療薬の公費負担を継続、コロナで入院する患者の高額療養費の自己負担限度額から最大月2万円減額)、②中等症及び重症患者への入院の診療報酬特例加算は半額に切り下げるとともに、病床確保補助金は段階的に縮小、③「重症化リスクの低いものへの自己検査・自宅療養の呼びかけ」を継続、④コロナ疑い・罹患のみを理由にした診療拒否は「正当な理由」に該当しない取り扱いとすることを示した。

 今回の当会の調査(新型コロナ感染症の感染症法の「5類移行」緊急アンケート:2月13日から24日)において、医療機関が5類移行後も感染拡大防止のため必要なものとして、「発熱外来での対応」「重症者への入院調整」「高齢者施設等への検査・医療支援」「外来や入院での診療報酬上の特例措置」を求める声が多かった。5類への移行には約6割が容認するものの、感染対策は維持するとの意向がはっきりと認められ、診療報酬の特例点数やこれまでに定着してきた感染対策社会ルールの現状を維持しつつ、慎重かつ緩やかな変化を多数が求めていることが浮き彫りになった。以上の点を踏まえ、当会は、国民の命と健康を守る保険医・保険歯科医師の立場から、3月10日に「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の『2類相当』から『5類』への移行方針に対する要望書」を取りまとめ、関係方面に提出した。

 検査や診療に対する公費負担を廃止し、自己検査・自宅療養を求めることは、患者から医療を奪い、感染症の蔓延を招く恐れが強い。検査や診療の公費負担は継続すべきである。また、ワクチンについて2023年度は特例臨時接種を継続するものの、2024年度以降は有料化が検討されているが、接種を希望する人が無料で接種できるようにすべきである。

 何よりも大切なことは国民の命と健康を守ることである。そのために必要なことは、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス費を大幅に引き上げ、有事にも対応可能なゆとりある医療・介護・障害福祉の提供体制を構築することである。また、医療・社会保障の充実による所得再分配機能の強化、安定した正規雇用を基本に据えた労働環境整備、応能負担を徹底した税制改革など、だれもが安心して暮らせる社会の構築に向けて抜本的な政策転換を図るべきである。

(2023-05)