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保険医新聞11月号主張

オンライン資格確認導入の義務化に反対、導入は任意とすべき
 医療機関等における2023年4月からのオンライン資格確の導入義務化について、8月10日開催の中医協総会で、具体的な方針案を了承し、厚労大臣に答申した。療養担当規則において紙レセプト請求以外の医療機関に電子資格確認(マイナンバーカードの保険証利用)の体制整備を義務付けるとともに、診療報酬加算、補助金の内容を見直して体制整備を促進していく内容となっている。一方、対応困難な医療現場の実情を見据えて、年末頃に電子資格確認の導入状況を調査し、やむを得ない場合への必要な対応について検討する方針が付帯意見に盛り込まれた。

 オンライン資格確認を運用開始した医療機関は10月23日時点で医科診療所は22.1%、歯科診療所は23.5%であり、システムの運用を開始してない診療所(紙レセプトは除く)は約12万件に上る。このような状況で、あとたった数か月余りしかない中で実施を強行するのは無謀、無理筋であるばかりか、理不尽そのものである。

 当会のアンケート調査では、電子資格確認を運用開始した医療機関のうちおよそ3分の1でトラブル発生が報告されている。内容は①データ上のトラブル、②機器関連のトラブルと③患者とのトラブルなどである。今後、マイナンバーカードの受診が広がっていく場合、さらに問題が顕在化してくる可能性がある。また導入医療機関からは導入後マイナンバーカードで受診する患者はほとんどいないため、今後への不安の声が多く寄せられている。

 一方、電子資格確認を導入していない医療機関からは①導入の必要性が低い②小規模零細などでシステム対応できないなどやむを得ない様々な事情が寄せられている。また相次ぐ大規模な通信・システム障害、セキュリティ漏洩事案などから、導入・維持にかかる経費負担やセキュリティ面等での不安の声が多く寄せられている。こうした不安・懸念などから、システムの導入・運用開始を躊躇することは自然な結果である。当会は医療のICT化やデジタル化などの医療DXに反対しているのではない。地域のすべての医療機関を守るために、オンライン資格確認システム導入の義務化には反対であり、オンライン資格確認システム導入は任意とすべきである。

(2022-11)