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保険医新聞7月号主張

ジェンダー問題について考える
 先日厚生労働省が発表した人口動態統計によると、2021年の出生数は統計開始以来最少の81万人で、女性1人が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1.30と6年連続で低下している。婚姻件数は50万件、人口1千人に対する婚姻率は4.1と戦後最少で、「超少子化」に拍車がかかっている。

 これを受けた日本経済新聞には、「未婚女性の4人に1人が結婚せずに仕事を続ける、あるいは結婚しても子供を持たずに仕事を続ける」とあった。その理由として、育児や教育にお金がかかるという経済的要因と、「男性は仕事、女性は家事育児」という古くから根強く残る性別役割分業意識が挙げられていた。2020年OECD(経済協力開発機構)調査では、1日あたり家事育児などの無償労働時間は男性41分に対し女性は224分と男性の5.5倍で、OECD平均1.9倍を大きく上回っていた。この不均衡さはOECD加盟国の中で、韓国とともに突出しているとのことだ。

 では医師・歯科医師の世界ではどうか。昨年保団連が行った「開業医の意識・実態基礎調査」によると、女性医師は半数が平日も2時間以上の家事・育児・介護を行う一方で、男性医師は半数が「30分以下」であった。実労働時間では、9時間以上の割合は医科・歯科とも男女で大きな差はなかったものの、フルタイム勤務(実労働時間七時間以上)の平日家事等時間を見ると、男性は医科47.0%、歯科39.2%が「30分以内」で最多なのに対し、女性は医科「2~4時間」37.8%、歯科「1~2時間」28.3%が最多で、女性医師・歯科医師が仕事と家事労働の「二重負担」に陥っていることが分かった。ちなみに、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方については、医科・歯科ともに反対意見が賛成意見を上回った。男女別に見ると、女性は医科で70.9%、歯科で62.8% が反対意見だったが、男性は医科で41.5%、歯科で37.6%にとどまった。

 3年程前に発覚した医学部入試差別問題の背景には、過労死ラインを超えるような医師の過酷な働き方に加え、前述のような根強い性別役割分業意識があると言われる。男女問わず、仕事も生活も大切にできる働き方、働きやすい環境を作るためには、長時間労働の是正とともに性別役割分業意識の解消が求められる。

 さて今期岐阜協会に女性部が設立された。女性に関わる問題となると、「女性で考えて」とばかりに女性会員に丸投げされることが多いが、今期女性部には男性会員も加わり、様々なテーマや取組についてともに考えるスタンスである。他協会のように講演会や研修会、懇談会など企画したいが、如何せん人材が少ない。医科女性会員は122人で医科会員の11.4%。歯科女性会員は65人で歯科会員の10.3%である。

 多くの女性医師・歯科医師に協会の活動に参加していただき、そして自らの現状や想いなど語り合いながら、今後の方向性を探っていきたいと考える。

(2022-07)