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保険医新聞7月号主張

地域医療構想に基づく病床削減は直ちに中止を
 新型コロナウイルス感染症が拡大し、感染症病床をはじめとした急性期病床の不足、医療崩壊の危険性が高まっていますが、政府が再編統合の対象として名指しした440病院には、感染症指定病院が24病院も含まれています。また、感染症病床以外でも新型コロナウイルス感染症入院患者を受け入れており、急性期病床の不足は明確です。ところが3月9日に開催された厚労省地域医療構想ワーキンググループ(WG)では、再編統合の議論を加速させるため、民間病院も分析対象に含めて病床機能全般(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を対象に新たな診療実績の分析を行うとしています。

 安倍政権は、公立・公的病院の再編統合、病床削減や医師数抑制などを推し進めるなど、医療供給体制の面から、公的医療費抑制政策を進めています。地域医療構想WGは急性期病床を有する公立病院等を対象に、がん・心臓・脳疾患領域など急性期の診療実績が特に少ない、または車で20分以内に似た実績の病院がある場合、病院の再編・統合を2020年9月末までに結論を得るように求めています。しかし、診療実績は急性期医療の一部に限局された上1か月分(2017年6月分)で判断されるなど信頼性を欠くとの指摘が多くなされています。各症例の絶対数に基づくことから、事実上、地方の中小病院を狙い撃ちしたものとなっており、実績が少ないとされた病院は200床以下で7割を占めます。へき地や島しょ部の病院、豪雨災害などで医療拠点として最前線に立った病院なども含まれ、個々の病院が現地で果たしてきた役割など地域の実情が考慮されていません。岐阜県では9病院がリストアップされています。

 当会は「公立・公的病院をはじめ地域の実情を無視して、病院再編統合を強引に進める地域医療構想を中止すること」を求め患者団体、住民団体などと共に岐阜県と懇談を行い、政府が進める削減計画が患者・国民の医療を受ける権利を奪うものであることを知らせてきました。

 新型コロナウイルス感染症拡大によって、病院・病床の削減や、保健所の統廃合施策の誤りは明白です。地域医療構想に基づく病床削減は直ちに中止すべきであり、抜本的に見直すことを求めます。

(2020-07)