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保険医新聞5月号主張

マイナンバーカードの保険証利用は
負担と混乱を招くため中止を
 政府は2021年3月からマイナンバーカードを保険証としても利用できるようにし、医療機関の窓口でのオンライン資格確認をスタートさせようとしています。しかし、現在の保険証がなくなるわけではなく、また同年5月からは保険証でもオンラインでの資格確認はできるので、マイナンバーカードを医療機関の窓口に持ち込ませない取り組みが必要です。

 オンライン資格確認の流れは、医療現場で読み込まれた資格情報がオンライン請求の回線を通して、資格情報を管理する審査支払機関に照合され、資格の有無・状況などが医療機関に応答される形です。今年の夏頃より、レセコン改修などに対する補助金の受付が開始され、秋口より、システム改修した医療機関に支払基金からマイナンバーカードを読み取るカードリーダーが無償で提供される予定です。

 患者自らがマイナンバーカードを受け付けのカードリーダーに置いてICチップや顔写真を読み取らせる操作を行います。受付の職員はマイナンバーカードを預かってはならないとされていますが、操作に不慣れな高齢者や障害者には手助けをせざるを得ません。医療機関にマイナンバーカードが持ち込まれれば、マイナンバーカードの紛失や番号漏洩などのリスクが生じます。窓口では、マイナンバーカードで受診する患者と保険証で受診する患者が混在することになり、職員の多忙化に拍車をかける上、患者にとってもメリットはほとんどありません。資格なし返戻で問題となるレセプトは年間に0.1%に過ぎません。

 政府は最終的には保険証をマイナンバーカードに吸収し、マイナンバーカードのみでの受診を狙っています。カード普及が進めば、医療、年金、介護、税金などの個人情報が芋づる式につなげられ、政府による国民の情報管理、将来的には、社会保障個人会計の導入への地ならしが進められていく形になります。保険資格確認については、現在の保険証の目視確認で十分です。仮にオンライン資格確認に対応する場合も、保険証を使えば済みます。医療機関に多大な負担と混乱を持ちこむマイナンバーカードを利用したオンライン資格確認には反対です。

(2020-05)