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保険医新聞12月号主張

消費税増税の問題点について
 2014年11月、2016年6月と過去2回延期されてきた消費税10%増税が10月1日に実施された。消費税は1989年(平成元年)に3%で始まり、平成31年(令和元年)についに10%となった。今回の増税における特徴は、軽減税率8%(据置)の採用、経済産業省が行うキャッシュレス決済時のポイント付与、住民税非課税・0~3歳児育世帯へのプレミアム商品券の発行(以前にも実施)が挙げられる。軽減税率を除けば、6カ月か9カ月の期間限定である。軽減税率導入に先立ちレジ購入に対しての補助金の交付も行っている。

 キャッシュレス決済におけるポイント付与、複数税率等の政策で、小規模事業者には手続きの手間、レジの買い替え、カード決済業者の手数料などを強い、一方、カード発行会社には、カード利用者の拡大が期待でき、大手資本の利益を増大させるものであり、消費増税に名を借りた便乗商法そのものである。政府はマイナンバーカードまで加えようとしている。コンビニではタバコまで割引販売がなされている。庶民の消費増税の重圧感を利用者と期間を限定した値引きで、マヒさせようとしている。このような、姑息な政策の施行により、年間5.7兆円の増税のうち1.3兆円が各種補助金、ポイントに消えると言われている。

 医療福祉分野においては、10月1日に、診療報酬の初・再診料、外来診療料、訪問診療等が改定されたが、厚生労働省の患者さん向け案内には、消費税引き上げに伴う医療費改定を告げ、理由に「本来社会保険診療は非課税であるが、医療機関の材料・経費の消費税は、点数に反映されているので今回の改定となった」と説明している。医療機関には、これまでの消費増税に対して十分な対応がなされておらず、多大な損税が発生している。

 財務省は、消費増税の理由を、なぜ、所得税や法人税ではなく消費税の引き上げを行うのかの問いに対して、Q&Aで「少子高齢化に伴い、高齢者の増加、社会保険料など、現役世代の負担が高まるなか、社会保障財源を所得税・法人税に求めると、現役世代に負担が集中するので、国民全体で負担する消費税が適切である」と回答し、「所得税・法人税は、経済動向に左右されるが、消費税は安定した財源が見込まれる」と説明している。

 岐阜協会・保団連は、社会保障の財源には、超高額所得者の所得税率、法人税に税率見直しによる財源確保を求めてきた。社会保障制度により富の再配分がなされなければならないが、現在の税制では、富める人、富める企業は、ますます富を蓄財していく事になる。富裕層、富裕法人に負担を求めることは、現役世代に負担を強いることにはならない。経済状況、所得、・収益に左右されない消費税(増税)は、これらの格差をますます大きくするものである。

 法律は、運動によって変えうるものであり、最終的にはなくすることも可能である。

(2019-12)