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保険医新聞5月号主張

「ストップ患者負担増」
 署名運動にぜひご協力を
 当協会新聞において経済的理由により受診抑制や治療中断が起きている実態を以前に報告しました。保団連の調査でも、患者減や経済的な理由で治療などを断られる経験をしている医療機関が多いことが明らかになっています。他の保険医協会でも医療機関の3割以上が経済的理由によって検査や治療、投薬を断られた経験をしており、さらに半数の医療機関では窓口負担の未収金があったと報告しています。これらのことから患者にとって窓口負担は大変な重荷になっていることは明白です。

 政府は2015年度予算で社会保障の自然増分を4千億円も切り込みました。小泉政権時代の2200億円削減を大きく上回るものです。入院時の食事代の自己負担を増やすこと(一食260円から460円以上)や紹介状なしでの大病院受診で定額負担(最大で1万円)など新たな患者負担を増やそうとしています。この結果、さらに受診抑制が進み、経済的理由のために本来受けるべき治療を受けられなくなることは明らかです。

 数年前に財政破綻したギリシャとアイスランドにおいてIMFは社会保障の30%削減を求めました。アイスランドは拒否し社会保障を増やし、3%の経済成長を勝ち取り、失業率も5%を切りました。社会保障への予算投入は短期的に経済を刺激し、結果的に債務削減につながり、政策への1ドル投資は3ドルの経済成長となり、債務返済に充当できるようになりました。一方、ギリシャはIMFに従い、4年間で乳児死亡率が40%も上がり、感染症の発生率も急増し、GDPは4分の3に縮小し、失業率は27%に増大しました。失業者が増え、セーフティーネットが働かなくなり、景気回復どころかかえって財政赤字が膨らむ結果となりました。この例からもわかるように、社会保障の充実こそが国の成長の源です。社会保障の削減は国の成長を妨げることは明らかです。財政再建は社会保障の充実でこそ可能なのです。

 故宇沢弘文氏は「医療は教育とならぶ社会的共通資本の一つであり、厚生官僚により行政的観点から判断されてはならず、市場的基準により左右されてはならない」と述べておられます。わが国の国民皆保険制度は、応能負担により貧富の格差なく平等に必要な公的医療保険給付が受けられる世界に冠たる保険制度であり社会的共通資本としての役割を果たしてきています。現在進められている医療改革はこの国民皆保険体制を解体する方向に進んでいます。今、何よりも重要なことは、この解体を押しとどめることです。

 我々保険医は医師・歯科医師として、万人に最新、最善の医療を施すことを心から念願しています。当協会は署名運動として、「新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求める請願」を行っています。請願事項は一、患者負担をこれ以上増やさず、窓口負担を大幅に軽減すること。二、保険のきかない医療を広げる計画をやめ、必要な医療は公的保険で保障すること。の二つです。是非とも会員皆様の絶大なるご協力をお願いいたします。

(2015-5)