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2022年度診療報酬改定

談話「今次改定を私はこう考える」
【医科】
 2022年度診療報酬改定は全体でマイナス0.94%の改定率で実施されます。5回連続の実質マイナス改定であり、コロナ禍で疲弊した医療現場の抜本的改善には程遠いものです。特に「リフィル処方箋導入」「初診からのオンライン診療恒常化」など受診抑制を狙う政策誘導的な点数の新設、算定要件・施設基準の「操作」に終始した内容で、怒りを覚えます。
 「初診からのオンライン診療」が恒常化されることとなりました。「初診料(情報通信機器を用いた場合)251点」は現在の電話等初診(214点)より37点引き上げられ、オンラインでの医学管理についても算定範囲が大幅に拡大されています。その他にもオンライン診療を推進する点数の新設が多く盛り込まれています。オンライン診療は対面診療の補完的なものであって、医療費削減のダシに使われてはいけないと思います。
 また「リフィル処方箋」導入によって、最大3回まで医師の診察を受けなくても薬をもらうことが可能になります。今夏に予定される「電子処方箋の開始」と合わせて通院頻度を下げる狙いが明白で、今後の診療所経営に大きな影響があると予想されます。
 そして「外来感染対策向上加算(6点、月1回)」が新設されます。しかし2021年9月までの時限的な措置としてあった「感染対策実施加算」に比べて、発熱外来体制確保や院内感染防止対策部門設置などハードルが高い施設基準となっています。日々感染対策に取り組む全ての医療機関への感染対策評価として、初・再診料の引き上げを検討すべきだったと思います。
 その他診療所に影響する内容としては、「外来医療の機能分化・連携」「初診料の機能強化加算に実績要件導入」「後発医薬品使用体制加算の基準厳格化」「湿布薬の処方枚数減」などが挙げられます。
 入院医療については、施設基準の厳格化や実質的な平均在院日数の要件強化など「現場への締め付け」が進められる一方、受け皿となる在宅医療では、在宅医療推進にブレーキをかけている報酬逓減制度(単一建物診療患者数)は改善されないどころか、更に複雑・強化されています。
 コロナ禍で疲弊が進む医療機関に背を向けるような基準の厳格化、患者を医療から遠ざける施策の推進は中止するよう、引き続き当保険医協会は政府に訴えていきます。

(2022-4)


【歯科】
 2022年診療報酬改定は、診療報酬全体で0.94%の引き下げとなった。5年連続のマイナス改定である。政府はこの間「歯科重視」をアピールしてきたが、今回歯科改定率は前回を大きく下回る0.29%プラス(概算約90~100億円)にすぎない。
 一方で緊急の必要性のないマイナンバーカード普及には既に1兆8千億円もの巨額の予算を計上している。
 コロナ禍で大きな痛みを被っている医療現場の再建には全くその意図を感じられない。
 今回の改定の特徴としては、新型コロナウイルス感染症の対応として院内感染防止対策が講じられた。
 初再診の点数が若干引き上げられた(初診料が261点から264点、再診料が53点から56点)。しかしながら、今回の基本診療料の引き上げには、P基処の廃止、包括による財源の原資であり単純にプラス改定であるとは考え難い。
 その他に、小機能、口機能並びに関連した項目の対象年齢拡大、SPT(Ⅰ)(Ⅱ)の再編統合、か強診、歯援診1、2の施設基準実績要件の変更、歯科訪問診療料の20分未満の場合の減算割合の見直しなど、挙げられる。僅かな改定財源の中から評価された項目もあるので算定し忘れのないように詳細についてはテキストをご覧いただきたい。
 また、金銀パラジウム合金の逆ザヤの解消に向け、わずかながらではあるが、この間の取り組みの成果があったと思われた矢先、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、歯科用貴金属や金銀パラジウム合金の価格が異常に急騰している。
 今回の価格急騰により、歯科医療機関の経営努力だけではどうにもならない状況に陥っている。政府に最緊急の対応をお願いしたい。
 また、今回の改定では、歯科衛生士や歯科技工士への正当な評価がなされていないことは誠に残念である。コロナ禍にもかかわらず、政府は今年10月より75歳以上医療費窓口負担2割化を実施しようとしている。受診抑制は必至であり、健康被害は目に見えている。
 日本全国いつでもどこでも安心してかつ良質な医療が受けられることが健康保険の根幹である。
 私達の国民、患者に寄り添った歯科医療の維持・発展ができるように取り組みをさらに大きくしていきたいと思う所存である。

(2022-4)