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会長談話



-健やかに生きたいと願う高齢者の自助努力すら阻むこの法案には反対-

 現在開会中の通常国会で、「75歳以上の医療費窓口負担2割導入」を含む健康保険法等改正法案の審議が始まろうとしています。「2割負担導入」は年収200万円以上(単身の場合)の約370万人を現行の1割負担から2割負担に「2倍化」するものです。

 高齢者の願いは、「人様に迷惑をかけることなく、自分で歩いて食卓へ行き、自分の口で食事を食べ、トイレまで自分で行って用を足し、自分でお風呂に入ることができる生活を少しでも長く送りたい」という事であり、誠につつましく、ささやかな夢と希望であります。そのために医者・歯医者へ通い、薬をもらい、食事と運動の指導を受け、懸命に自助努力を続けておられます。仮にこの法案が可決されれば、現在、年金が下がり、消費税が上がり、保険料が上がっている中で、医療費の窓口負担が2倍に上がるため医療機関への受診が滞ることは間違いありません。このことは健やかに生きたいと願う高齢者の自助努力すら阻むことに他なりません。菅首相は就任時の会見の中で「自助、共助、そして最後に公助」と述べておられます。自助すら阻むこの法案には、何の正当性も見出すことはできません。

 今回の「2割負担導入」によって減少する「現役世代」の負担は1人当たり年約350円(月約30円)でしかなく、最も減少するのは公費負担(980億円)であることが明らかになっております。つまり、公助の削減であります。高齢者の自助努力すら阻み、公助を削減するこの法案は高齢者を、文字通り不幸のどん底につきおとす高齢者いじめ法案と言っても過言ではありません。

 社会保障の財源は、消費税導入前の所得税率、法人税率に戻し、富裕層や大企業への特権的な租税特別措置をやめ、税金も保険料も支払い能力に応じて負担し、兵器大量買いや大型開発のムダなどを削減すれば生みだすことは容易です。「2割負担導入」を含む法案の目的である「全世代型社会保障」は、国の社会保障への責任を後退させ、「高齢者」と「現役世代」とに国民を分断し負担を押し付けあわせることに他なりません。「必要な人に必要な給付を国の責任で行う」これが本来の社会保障の姿であります。「高齢者も応分の負担をすることが必要である」との国の説明は、本来は税・保険料による財源確保の場面で図るべき応能負担原則を、給付の場面に当てはめる間違った手法であります。健やかに生きたいと願う高齢者の自助努力すら阻むこの法案には合理性も正当性もありません。私たちは社会保障に対する国の責任を後退させる「2割負担導入」に反対し、全力を挙げて法案の撤回・廃案に向けて取り組むことを決意し表明します。

(2021-04)