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安倍政権は5月18日、検察幹部の定年を政府の意向で特例的に延長することなどを可能にする検察庁法改定案の今国会での採決・成立を断念しました。大きな世論の力の成果です。改定案は現在63歳の検察官の定年(検事総長は現行も65歳)を段階的に65歳に引き上げるとともに、役職定年制度を導入することなどが柱でした。政権にとって都合のいい幹部だけを恣意的にその役職にとどめることができるようになり、憲法の基本原則である三権分立や、検察に求められる独立性・政治的中立性を脅かすものでした。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中、医療従事者は日夜、現場で奮闘しております。緊急事態宣言は解除されましたが依然として国民の生活・生命が危機にさらされています。今政治に求められているものは、新型コロナウイルス感染症の収束まで全力でその対策にあたり、社会的混乱の中で生活が脅かされている国民への救済策と医療現場に対する人的・物的・経済的支援策を早急に打ち出すことです。
このような国家的危機の中で、混乱に乗じて民主主義に多大な影響を及ぼす法案の審議を優先することは断じて許されない事でした。5月15日に提出された元検事総長ら検察OBの意見書の最後に「与野党の境界を超えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁改正案に断固反対の声を上げてこれを阻止する行動に出ることを期待してやまない」と呼びかけていました。
新型コロナウイルス感染症がもたらす命と健康、暮らしと経済を脅かす戦後最大の危機に国は何をすべきかが問われています。「自粛」を呼びかけながら休業補償には後ろ向きで、医療支援や検査の充実にも及び腰の政権が、真っ先に取り組む法案が検察を私物化し民主主義を破壊するものでした。国民の命と健康を守る立場から、立憲主義、民主主義、平和主義に基づいた政治の実行を願います。
(2020-7)
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