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応対マナーアドバイス
  • 経営税対部が2003年6、7月に開催した応対マナー講習会で、参加した医師、歯科医師、医療スタッフなどからの疑問や質問について、講師の石割郁子さん(E&Eプロモーション代表)にご回答いただきました。
  • 医院の診療方針により異なる部分もあると思いますが、アドバイスとしてご参照下さい。(全7回)

第1回 「待ち時間が長いとき、予約制でも上手くいかないとき困ります」

第2回 「私の会話はぎこちない。何を話せばいいの。親しい人も難しい」

第3回 「患者さんの本音をキャッチする方法があれば…」

第4回 「苦情処理ができるようになれば一人前。本当に対応には苦労します」

第5回 「忙しい時こそ、心がけるべきことや応対の工夫があると思いますが」

第6回 「院内での良い人間関係・職場環境を作るために…」

第7回 「料金や点数を聞かれたり、会計が高いと言われなんと答えれば…」



 

〔質問内容〕

待ち時間が長い時、予約制でも上手くいかない時困ります。
受付にいると「待ち時間が長い」といってイライラしている患者さんへの対応がとてもむずかしく、気をつかいます。予約制の場合でも、予約時間が守れない患者さんへの対応、予約なしの患者さんの場合など臨機応変な対応が必要になりますし、急患の場合は、適切な判断も求められます。受付での対応についてアドバイスをお願いします。

   応対マナーアドバイス①


要は、患者さんとのコミュニケーション


                           E&Eプロモーション代表  石割郁子
 患者さんの不満の中でもっとも多いのが待ち時間ですね。患者さんは、何時まで待たされるか見通しがつかず不安になっています。その不安が分かってもらえないことに不満を持ち、イライラしたり、中には怒りだす患者さんもでてきます。私の食堂での体験は、御飯が炊けてないことを告げられず待ったことの不安と苛立ちでした。「御飯が炊けて蒸らす間○○分お待ちください」と伝えてくれれば、見通しがつき、不安も苛立ちもなかったはずです。
 特に受付スタッフはこの様な患者さんに対してどう対応してよいか分からず、なるべく視線を合わせない様にしているのが現状です。これでは患者さんの不安と不満は益々つのるばかりです。
 お待ちいただいている患者さんに対して自分は何ができるか考えて行動することが大切です。「私はあなたのことを忘れていませんよ」という気持ちを持って患者さんに対してアイコンタクトを送ります。患者さんと目があったら目礼、会釈をします。イライラして待っている患者さんほど受付をチラチラみているものです。分かって欲しいのです。
 この様なとき受付スタッフが私語をしている光景をよく見掛けますが、これでは患者さんはますます不満になりイライラします。待ち時間が長くなっているときは、なるべく待合室の患者さんのお待ちになっている近くに行き、「お待たせして申し訳ありません」「急患の処置が長引いており、申し訳ございません」という様に積極的に声をかけます。要は患者さんに対して積極的なコミュニケーションをとることが大切です。
 予約時間がいつも守れない患者さんや、予約なしの患者さんが問題となっている医院では、院内の患者さんの目に触れる場所に掲示することも効果があります。この場合文章表現は暖かいものにしたいです。<お名前をお呼びして、いらっしゃらない時は、次の患者さんをお呼びいたしますのでご了承ください>
<予約されていない患者さんは、お待ちいただくことがありますので、ご了承ください>という風に掲示しておけば患者さんに伝えやすいです。
 ご質問にある様に、どのくらいお待ちいただくかの見通しがつかず、患者さんに伝えられないことが多い時は、患者さんに少しでも見通しをつけるためにはどうしたらよいか院内で話しあうことも大切です。「仕方がないから」という考えでなく「少しでも改善できることはないか」話し合うことで知恵と工夫が生まれます。

(岐阜県保険医新聞2003年10月10日号)

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〔質問内容〕

 私の会話はぎこちない。何を話せばいいの。親しい人も難しい。
 医療機関には、お年よりから子どもさんまで様々な年代の方が受診してこられます。どんな方にも感じよく接したい、きちんとしたことばづかいをしたいと思っていてもなかなか上手くいきません。敬語が使えない、ぎこちない、どんな会話をしたらいいのか分からない、「おじいちゃん」「おばあちゃん」というのは失礼かしら、子どもさんに「です」「ます」では親しんでもらえないかしら、逆に親しい人だとついなれなれしくなっちゃって、などなど悩みはつきません。
 治療のことで大切なこと、患者さんのためを思って言っていること、それがちゃんと伝わっているのかも心配です。

   応対マナーアドバイス②


日頃からきちんとした言葉遣いを身につけて


                           E&Eプロモーション代表  石割郁子
 アンケートの中で最も多いのが、患者さんとの会話、言葉遣いです。「敬語はぎこちない」と思いこんでいる人が多いですが、正しい敬語を使えないためぎこちなく感じることがあります。敬語は、相手(患者さん)を敬う表現です。患者さんに対しての心遣いです。最近医療機関で、正しい敬語の使い方をスタッフの教育に取り入れ訓練しているところが増えてきました。
 「おじいちゃん、おばあちゃん」と言う表現をよく耳にしますが、家族の立場から不快感をもつ人も多いです。「家族にとっては、おじいちゃんでも、他人の看護師に言われるとあまり気分がいいものではない…」と言う苦情が医療、福祉の現場に寄せられます。
 子供さんに対して「です、ます」では親しんでもらえないかしら、親しい人だとなれあいになってしまう等、確かにケースによっての使い分けが難しいですね。ただし、常日頃からきちんとした言葉遣いが身についての上でのケースバイケースです。
 親しみとなれ合いを勘違いして、患者さんに対して子供扱いする話し方をよく耳にしますが、第三者が聞いても不愉快です。
 スタッフ同士がなれ合い言葉で話していることは患者さんの不満につながります。親しい患者さんに対しても同じことが言えます。「あの患者さんは特別なの」と他の患者さんが不満をもちます。親しい患者さんや、スタッフ同士であっても「です、ます」調が会話の基本です。
 次に「自分の伝えたいことがきちんと患者さんに伝わっているか…」という不安もありますね。気持ちを聴くときは結論を急ぐのは避けたいですが、説明、相談、お伺いは「結論」から述べることが大切です。「~についてのご説明をします」という様に伝えます。
 患者さんの表情をよく観察(理解しているか)して、センテンスを短く話します。~なので~けれど~で~しますと…、とダラダラした話し方では相手は理解できません。語尾に「です、ます」をつけて短い言葉で伝えます。
 目線の高さを合わせ、表情を観察して話すことにより、高齢の患者さんや耳の遠い患者さんにも理解していただけます。耳が遠いから、高齢だからと耳元で大声で話しているスタッフがいますが、患者さんを尊重する態度ではありません。この様な態度、話し方は避けたいですね。

(岐阜県保険医新聞2003年11月10日号)

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〔質問内容〕

 患者さんの本音をキャッチする方法があれば…。ほんのちょっとの心遣いが難しい。
 患者さんを思う気持ちは十分持っているつもりだけど、うまく接することができません。機嫌のいい人ばかりではないし、難聴の方やコミュニケーションの取りづらい方もいらっしゃいます。目上の方、逆に子どもさんやその保護者とのやりとりもむずかしい。患者さんの不安も取り除いてあげたいのに、どうすればいいかしら。
 相手の気持ちを理解する方法、ほんのちょっとの心遣いって、どうすれば身につくのかしら。

   応対マナーアドバイス③


相手への心遣いはマナーを極めることから


                           E&Eプロモーション代表  石割郁子
 患者さんの本音をキャッチすること、患者さんへの心遣いは確かにむずかしいですね。相手の気持を察することのできる自分であるために、日頃のマナーが大切です。
 マナーを極めることは人間関係、仕事に大きくかかわってきます。雨の日に傘を横に振って歩く人、トイレに入ってトイレットペーパーがなくなっても取り替えない人、エスカレーターを2列で昇り降りするなど、マナーの身についていない人は、他人の事を考える頭を使えない人です。相手の気持ちを理解するためには、マナーを身につけることが大切です。
 患者さんとのコミュニケーションもむずかしいですね。悩まれることも多いと思いますが、自分の中で意識し過ぎることも逆にコミュニケーションを妨げることにつながります。患者さんを大切に思う気持ちが自然なコミュニケーションを生みます。
 先日、知り合いの方が入院をしました。とてもよい病院で満足したと話してくれました。「ごめんなさいね、お待たせして」という言葉をあちこちでかけてくれたことがとても嬉しかったそうです。この方のご主人が以前入院していた病院は、建物は近代的でも「お待たせしてごめんなさいね」という言葉が、聞かれなかったそうです。
 たった一言が患者さんにとっての嬉しい心遣いにつながるものです。
 患者さんの求めているもの、本音をキャッチするためには、患者さんの発した言葉のポイントを繰り返すことです。「今日は混んでいるわね」と患者さんが言った場合「そうですね、今日は混んでいますね」と繰り返します。すると「今日は午後から用事があるの…」「何時ごろになるかしら…」など、患者さんが思っていることや気持ちが会話の中で見えてきます。
 その他、アンケートに「誠意を持って答えていても『何もしてくれなかった』と受けとめられてしまう」と書かれた方がありましたが、自分では、誠意を持って対応しているつもりでも相手に伝わらない時は、自分を振り返ることが大切です。
 様々な患者さんとのコミュニケーションは本当にむずかしいですが、マナーを通して自分を磨き、当たり前の挨拶(接遇用語)を患者さんと目を合わせてすることから心遣いが生まれます。

(岐阜県保険医新聞2003年12月10日号)

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〔質問内容〕

 苦情処理ができるようになったら一人前。とはいうものの、ほんとうに対応には苦労します。誠意を持って対応しようと思うのですが、中には、明らかに患者さんのわがままと思われるようなケースもあって…呼ばれてないのに勝手に診察室に入ってしまう患者さんもいるんです。
 苦情や不満を持っている方、わがままな方に接する上で気をつけるべきことや上手く対応するためのヒントはありませんか。

   応対マナーアドバイス④


苦情こそプラスの情報「聴く」気持ちで対処を


                           E&Eプロモーション代表  石割郁子
 苦情の対応は確かに難しいですね。苦情は患者さんからのプラスの情報と捉えることが大切です。なぜならば苦情を通して改善点を見つけることができるからです。
 苦情を訴えた患者さんやわがままな患者さんに対し「うるさいことを言う困った患者さん」という先入観があると、患者さんの気持ちをわかってあげることはできません。
 苦情対応のポイントの第1は「聴くに徹する」です。「聞く」と「聴く」は違います。「聴く」は相手の立場になること、自分の立場や気持ちはいったん外して患者さんの立場で聴く「共感」することです。最初から言い訳をしたり、こちらの言い分を先に言ったのでは、患者さんはますます怒りだし、二重クレームにつながります。患者さんは自分のことをわかって欲しいと思って訴えているからです。
 次に、担当責任者に処理を依頼する(担当を代える)、時間をいただき調べる、窓口等で苦情を言っている患者さんを静かな場所に案内して話を聴くなどの処理に入ります。この場合、患者さんをたらい回しにしないよう、自分の名前もきちんと告げることが大切です。
 わがままを言う患者さんに対して「できないことはできない」ときちんと告げることは大切ですが、受け入れてもらえる信頼関係と話し方が重要です。
 「呼ばれていないのに勝手に診察室に入ってしまう患者さん」に対しては「○○さん、申し訳ないですが、お名前をお呼びするまでお待ちくださいますか?」と柔らかく、肯定的に伝えます。否定的に伝えると反発したくなるのが心理です。それでも「中にいてもいいじゃないか」と言われたら「お気持ちは分かりますが…、待合室でお呼びするまでお待ちになっていただけますか?」と、まず共感してから「できない」ということを受け入れてもらえるように伝えます。
 顔パスの患者さんが何度言っても保険証を持ってきてくれず「わかっとるでいい」と言われるようなときは「お気持ちは分かりますが、保険証の確認は医療機関に義務付けられていることですので、お手数をおかけしますが、お持ちください」と伝えます。
 ある有名ホテルの副社長の書いた本の中にある「客はわがままである。わがままな客は自分を磨く砥石であると同時に、わがままを言わないでホテルの規則に従ってくれるお客様を当たり前と思わず感謝することが大切である」ということばを常に意識できたらいいですね。

(岐阜県保険医新聞2004年2月10日号)

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〔質問内容〕

 患者さんがたてこんでくると丁寧な応対ができません。
 一度に何人もの方から声をかけられたり、応対中に電話がなったり…。患者さんとのコミュニケーションも大事だと思うけれど、つい流れ作業のようになっていることも…。
 忙しい時こそ、心がけるべきことや応対の工夫があると思うのですが、いかがでしょうか。

   応対マナーアドバイス⑤


  忙しいから工夫が生まれ
        それがよい対応につながる


                           E&Eプロモーション代表  石割郁子
 医療現場で「忙しい」という言葉をよく耳にします。「忙しい」という字は、心を亡くすと書くように、忙しい時こそ気持ちを大切にしなければならないはずなのに、「忙しい」という言葉に振り回されたり、逃げ道にして言い訳をすることが一般的に多いですね。
 「忙しい」時の対応がスムーズにできるためには、まず日頃から接遇の基本を身に付けることだと思います。言い換えれば、「忙しくてできない」が、逆に「時間のある時に、きちんとできているか」ということです。例えば、患者さんの目を見て手を止め笑顔で「お待たせいたしました」「お大事になさってください」というような接遇態度が、日頃、きちんと身についている人は、「忙しい」時も心を亡くすことなくテキパキとその場に応じた感じのよい応対ができるのです。
 基本が身についていないのに、ケースバイケースを先に考えてしまい「忙しい」からできないと上司に言い訳をして自分から逃げていてはよい応対は身につきません。忙しい時ほど患者さんとのコミュニケーションが大切です。具体的に言えば、「アイコンタクト」と「笑顔」「一言の声かけ」です。10秒かかりません。笑顔は自分の気持ちにもゆとりがでます。
 東京八重洲口にあるデパートの地下の食品売り場に、ビール、お茶などの飲みものを販売しているコーナーがあります。夕方の時間帯はお弁当を手にしたビジネスマンで長蛇の列ができます。レジの女性はお客様をよくみて、目の前にいるお客様の対応をテキパキとしながらも、次のお客様を気遣い「いらっしゃいませ、お待たせしております。少々お待ちください」と声をかけています。ある時、私がペットボトルのお茶をもって列に並んでいると「次のお客様お待たせしております。140円ご用意してお待ちください」と声を掛けられました。この若い女性の店員は、扱う商品の価格が頭に入っている、さすがプロだなと感心しました。
 忙しいからこそ工夫が生まれ、よい対応につながるのです。その他質問の中には、患者さんがお話しをされたい様子なのに、時間がなくてゆっくり聴けない時等の対応に悩むというものがありました。このような時は、瞬間的でも患者さんの目を見て手を止めて「ゆっくりお話しが聴けず申し訳ないですね。○○さんのお話しは~ということですね」と付け加えることにより、患者さんも言いたいことが伝わったと感じます。だらだら話しを聴くことだけがよい応対とは思えません。

(岐阜県保険医新聞2004年3月10日号)

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〔質問内容〕

 院長の思いがなかなかわからないので、患者さんとの間に入って気をつかいます。スタッフ同士でも、こんなことはできてあたりまえと思っていたらできていなくて、報告・連絡が上手くいかないこともあります。
 接遇以前の問題として、院内でのよい人間関係・職場環境を作るため、どういうことに心がければいいでしょう。

   応対マナーアドバイス⑥


全員参加のミーティングで「不満」を「改善策」に

                           E&Eプロモーション代表  石割郁子
 職場のコミュニケーションは極めて重要です。なぜならば、院長、スタッフのコミュニケーションが悪ければ、何よりも患者さんに迷惑がかかるからです。講習会参加者のアンケートでも「診察時に院長と患者さんの間でどういう話になっているのかわからないので、受付で質問された時答えられない」「患者さんの要望を院長に伝えるときなど、院長と患者さんの間に入って悩む」などの質問が多く寄せられました。また、院長からは「患者さん1人ひとりを丁寧に診察したいが時間に追われてしまう」「診療行為のみならず、スタッフのマネージメントもしなくてはならない」「家庭でしつけがなされていない新人のスタッフ教育はストレスになってしまう」などの意見もありました。先輩に対することばづかい、同僚同士の「ため口」も気になりますね。
 スタッフから院長に、院長からスタッフに、先輩から後輩に伝えたいことはミーティングで話し合います。相手の立場を理解した上で「改善」できることは何かを話し合う場を設けることが大切です。
 1番よくないことは、スタッフ同士で「あの子は…」「院長は…」と不満を陰口として言うことです。このようなことが日常的になると、不満がたまり、派閥ができ、職場の雰囲気が悪くなり、患者さんに対してよい応対ができない原因となり、医療ミスにもつながります。
 お互いの思っていることを顔を見て話し合うことで「分かり合える関係」が生まれチームワークがよくなります。
実際、セミナーなどでこのようなアドバイスをすると、後日、院長やスタッフから話し合ってよかったという感想が寄せられます。
 時間がなくてミーティングが頻繁にもてない場合は「改善したいことの提案」を、院長、スタッフを問わず誰でも記入できる「○○クリニックを改善するための伝言板」のようなノートをつくります。このノートを元にミーティングを行い、みんなで改善策を話し合います。この場合「~するためにはどうすればよいか」が話し合いのポイントです。あくまでも個人攻撃ではなく、「改善策」であることを意識しましょう。
 「報告・連絡・相談」は重要不可欠です。逆に言えば「報告・連絡・相談」を徹底することで人間関係がスムーズになり自分の立場を自覚することができます。しかし現状では、自分勝手な判断から、これくらいは良いだろうと徹底しないことが多いです。口うるさく「報告」を徹底させることでスタッフは育ちます。特に新人に対しては真っ先に指導しなくてはならないことです。指示を受けたら必ず「復唱」することも徹底してください。

(岐阜県保険医新聞2004年4月10日号)

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〔質問内容〕

 患者さんに料金や点数の事を聞かれたり、会計が高いといわれるとなんと答えていいのか…。
 この点ばかりは「接遇」の勉強だけでは対応できない内容です。保険医協会では医療制度や点数改定の際には説明会の開催、テキストの発行など、できるだけ窓口でトラブルがおきないよう情報提供につとめていますので、ぜひ、ご利用ください。また電話によるご質問もお受けしています。今回、石割さんには、医療機関のスタッフとしての専門性を高めるための努力について教えていただきました。

   応対マナーアドバイス⑦


専門性を磨きプロとしての喜びを

                           E&Eプロモーション代表  石割郁子
 患者さんは、医療制度や点数改定の情報を理解していないことがほとんどです。医療職として、このような情報に日頃から常に敏感になることが大切です。医院には点数改定の情報紙やテキストがあるはずですので、いつでもスタッフが読むことのできるシステムをつくることも大切です。患者さんから受けた「答えられない質問」に対しては、どこに尋ねればよいかを把握しておくことも大切です。
 受付に「患者さんからの質問ノート」をつくり、記録をして、答えがわかった時点で記入します。1冊のノートに整理しておけば、患者さんからいつどのような質問があり、それに対してどのように答えたか記録として残り、質問の傾向が見えてきます。このことが仕事に対する積極的な行動にもつながります。
 分からないことを尋ねられたときの対応として「申し訳ありません、~の件につきまして、詳しくお調べしてご説明いたしますので、お時間を頂戴してよろしいですか」と患者さんに伝え、院長や上司への報告のうえ後日説明します。医療スタッフが分からないことは、患者さんにも分からないことが多いのです。
 専門性を高める努力は、自分の仕事に関心を持っていれば難しいことではありません。誰もが日頃新聞を読んでいます。関連する記事を切り取りノートに貼って整理しておけば、患者さんから質問が出た時参考になります。情報化時代の現代では簡単に情報収集ができます。インターネットで検索すればたくさんの情報が見つかります。
 もちろん、医療という自分の仕事に対する関心を持つことが前提です。働くことは自分を磨くことです。自分から進んで仕事に取り組めば、達成感を味わうことができ、次の課題が見えてきます。達成感は「喜び」の感情を生み出します。「喜びのサイクル」です。
 その道のプロになることは決して難しいことではありません。それは「仕事を好きになること」です。いつも笑顔で「行ってらっしゃい」と見送ってくれるフルーツショップの店員さん、どんな時も明るい笑顔で爽やかに配達してくれる運送会社の若い男性社員、元気にさせてくれるレストランのアルバイト学生、私の回りにサービスのプロがたくさんいます。みんな仕事が好きで、楽しく仕事をしています。そんな笑顔に出会うたび、私は勇気づけられます。あなたの回りにもきっとたくさんいるはずです。その1人にあなたも是非なってください。

(岐阜県保険医新聞2004年5月10日号)

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