【歯科】 個別指導での指摘事項 (第4回)
協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。 |
Ⅰ 診療に関する事項
9 処 置
➣ 総論的事項
○ 歯周病に係る症状、所見等の診療録への記載が不十分であり、診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。
○ 歯周病に係る症状、所見等の診療録への記載がなく、診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。
○ 歯周病に係る治療計画の診療録への記載が不十分であり診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。
○ 歯周治療の実施に当たっては、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月日本歯科医学会)を参考に適切な治療を行うこと。
➣ 歯周基本治療
○ 歯周基本治療スケーリング・ルートプレーニングにおいて、歯数を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
➣ 歯周病安定期治療
○ 歯周病安定期治療の実施に際しては、一連の歯周基本治療等の終了後に、一時的に病状が安定した状態であって、継続的な治療が必要と判断された患者に対して、病状の安定を維持し、治癒させることを目的として実施すること。
➣ 歯内療法
○ 一連の根管治療の費用の算定において、2根管で算定すべきものを3根管として誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
○ 算定要件を満たしていない加圧根管充填処置を算定している次の例が認められたので改めること。
・ 緊密な根管充填を行っていない。【自主返還の対象】
・ 複数の根管を有する歯において、一部の根管で緊密な根管充填を行っていない。【自主返還の対象】
➣ 知覚過敏処置
○ 知覚過敏処置において所見、治療内容、経過等について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
➣ 口腔内装置
○ 口腔内装置の製作方法と使用材料名について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
➣ 暫間固定
○ 暫間固定を行った部位、症状、所見、経過等について、診療録に記載していない例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
➣ 歯冠修復物又は補綴物の除去
○ 除去した歯冠修復物・補綴物の種類について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、適切に記載すること。
○ メタルコアであって歯根の3分の1以上のポストを有するものに該当していない場合に、算定できない歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
➣ 有床義歯床下粘膜調整処置
○ 有床義歯床下粘膜調整処置を行った所見等について、診療録に記載していない例が認められたので、適切に記載すること。
○ 旧義歯が不適合で義歯の床裏装や再製が必要とされる場合以外に、算定できない有床義歯床下粘膜調整処置を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
➣ フッ化物歯面塗布処置
○ 歯科医学的に実施する必要性が認められないフッ化物歯面塗布処置を実施している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
10 手 術
➣ 総論的事項
○ 腐骨除去手術(歯槽部)の手術内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
➣ 抜歯手術
○ 抜歯手術の所定点数に含まれ別に算定できない抜歯と同時に行った掻爬術を上顎洞開窓術として算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
○ 歯根肥大、骨の癒着歯、歯根彎曲等に対する骨の開さく又は歯根分離術等に該当していない場合に、算定できない難抜歯加算を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
○ 抜歯手術難抜歯加算における手術内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
➣ 口腔内消炎手術
○ 診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。
・ 手術内容の要点
➣ 歯根嚢胞摘出手術
○ 歯根嚢胞の大きさが歯冠大に満たない場合に、算定できない歯根嚢胞摘出手術「1 歯冠大のもの」を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
11 歯冠修復及び欠損補綴
➣ 補綴時診断料
○ 算定要件を満たしていない補綴時診断料を算定している次の例が認められたので改めること。
・ 製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載していない。【自主返還の対象】
○ 診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。
・ 欠損部の状態
・ 欠損補綴物の名称及び設計等の要点
・ 欠損補綴物の設計等の要点
➣ クラウン・ブリッジ維持管理料
○ 算定要件を満たしていないクラウン・ブリッジ維持管理料を算定している次の例が認められたので改めること。
○ 患者に提供した文書の写しを診療録に添付していない。【自主返還の対象】
➣ 修理
○ 有床義歯修理
・ 診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、修理内容の要点について個々の症例に応じて適切に記載すること。
・ 修理内容の要点を診療録に記載しておらず、算定要件を満たしていない有床義歯修理を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
12 保険外診療
➣ 保険外診療として実施すべき医療材料・薬剤を使用した場合に保険診療として誤って抜歯手術を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
(岐阜県保険医新聞2024年11月10日号)
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