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令和4年度【医科】個別指導での指摘事項①
 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第1回)

 東海北陸厚生局岐阜事務所から「2022年度における個別指導及び新規個別指導での指摘事項」が開示されたので、数回にわたって主なものを掲載します。

1.初・再診料

○ 初診又は再診に附随する一連の行為とみなされる次に掲げる場合には、これらに要する費用は当該初診料又は再診料に含まれ、別に再診料を算定できないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・ 初診時又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た場合

○ 夜間・早朝等加算について、診療録に受付時間の記載がなく、算定の根拠が確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


2.再診料

(時間外加算)

○ 外来管理加算について、患者からの聴取事項や診察所見の要点に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。

○ 外来管理加算について、患者からの聴取事項や診察所見の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 外来管理加算について、身体診察を行わず単に検査結果のみを説明した場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 外来管理加算について、患者本人が来院せず、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いた場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 外来管理加算について、同一の患家において2人以上の患者を訪問診療した場合における2人目以降の患者について、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

【編注】 点数表上の根拠が明確でないにもかかわらず、岐阜県では上記指摘が行われています。他県ではこうした指摘は行われていません。


(電話等による再診)

○ 電話等による再診について、診療録に診察に係る所見の記載がなく、算定の根拠が確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 電話等による再診について、再診以後、当該患者又はその看護に当たっている者から直接又は間接(電話又はリアルタイムでの画像を介したコミュニケーションによる場合を含む)に、治療上の意見を求められて、必要な指示を行った場合に該当しないものについて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 電話等による再診について、患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められていない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 電話等による再診について、再診に附随する一連の行為について再診料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


3.医学管理等

(特定疾患療養管理料)

○ 特定疾患療養管理料について、算定対象外である主病について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患療養管理料について、治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患療養管理料について、治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。


(特定薬剤治療管理料)

○ 特定薬剤治療管理料について、治療計画の要点に係る診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 特定薬剤治療管理料について、治療計画の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定薬剤治療管理料について、薬剤の血中濃度を測定していない場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(悪性腫瘍特異物質治療管理料)

○ 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、治療計画の要点に係る診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点に係る診療録への記載又は添付がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(てんかん指導料)

○ てんかん指導料について、診療計画及び診療内容の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(難病外来指導管理料)

○ 難病外来指導管理料について、診療計画及び診療内容の要点に係る診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。


(皮膚科特定疾患指導管理料)

○ 皮膚科特定疾患指導管理料について、診療計画及び指導内容の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅療養指導料)

○ 在宅療養指導料について、保健師、助産師又は看護師が患者ごとに作成した療養指導記録に、指導実施時間を明記していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(乳腺炎重症化予防ケア・指導料)

○ 乳腺炎重症化予防ケア・指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ① 包括的なケア及び指導に関する計画を作成していない。

 ② 実施した内容に係る診療録への記載がない。


(婦人科特定疾患治療管理料)

○ 婦人科特定疾患治療管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ① 治療計画を作成していない。

 ② 毎回の指導内容の要点に係る診療録への記載がない。


(手術後医学管理料)

○ 手術後医学管理料について、マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行っていない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(退院時共同指導料1)

○ 退院時共同指導料1について、行った指導の内容等に係る診療録等への記載が不十分である例が認められたので改めること。


(診療情報提供料(Ⅰ))

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、紹介先医療機関への受診行動を伴わない患者紹介の返事について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、交付した文書が別紙様式に準じていない例が認められたので改めること。

 ・ 項目欄がない。(治療経過、現在の処方)

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、交付した文書において、一部、項目欄への記載がない例が認められたので改めること。


(薬剤情報提供料)

○ 薬剤情報提供料について、診療録等に薬剤を提供した旨の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

【編注】 「診療録等に薬剤を提供した旨」とあるのは、「診療録等に薬剤情報を提供した旨」が正しい記載だと思われる。

○ 手帳記載加算について、患者の求めがない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


過去2年間の個別指導の結果
【 2022年度 】
□ 個別指導

・ 概ね妥当: 2 件
・ 経過観察: 6 件
・ 再指導:10 件

□ 新規個別指導
・ 概ね妥当: 7 件
・ 経過観察:32 件
・ 再指導: 3 件
【2021 年度】
□ 個別指導

・ 概ね妥当: 0 件
・ 経過観察:11 件
・ 再指導: 7 件

□ 新規個別指導
・ 概ね妥当: 7 件
・ 経過観察:13 件
・ 再指導: 7 件

(岐阜県保険医新聞2023年9月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第2回)

 東海北陸厚生局岐阜事務所から「2022年度における個別指導及び新規個別指導での指摘事項」が開示されたので、数回にわたって主なものを掲載します。

4.在宅医療

(往診料)

○ 往診料について、患者から直接往診の求めがない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 往診料について、定期的ないし計画的に患家に赴いて診療したものについて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 緊急往診加算について、「緊急に行う往診」に該当しない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅患者訪問診療料)

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、定期的・計画的な訪問診療と認められない訪問診療について、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、当該患者又はその家族等の署名付の訪問診療に係る同意書を作成していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、訪問診療の計画に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、訪問診療の計画及び診療内容の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。


(在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料)

○ 別に厚生労働大臣が定める状態の患者に該当しない場合に、誤って該当する区分で算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅療養計画の説明の要点等に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。

○ 頻回訪問加算について、別に厚生労働大臣が定める状態等にあるものに該当しない場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅患者訪問点滴注射管理指導料)

○ 在宅患者訪問点滴注射管理指導料について、初回指示日より8日以上の点滴注射を行う場合に、保険医が改めて診療を行った上で新たな指示書を交付していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅患者訪問点滴注射管理指導料に含まれる、必要な回路等の費用について、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(訪問看護指示料)

○ 訪問看護指示料について、訪問看護指示書の項目欄(特記すべき注意事項)への記載が不十分である例が認められたので改めること。


(在宅療養指導管理料の全般的事項)

○ 当該在宅療養を指示した根拠、指示事項及び指導内容の要点に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。

○ 当該在宅療養を指示した根拠、指示事項及び指導内容の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅自己注射指導管理料)

○ 在宅自己注射指導管理料について、在宅自己注射の導入前に、入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行っていない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅自己注射指導管理料について、在宅自己注射の導入前の医師による十分な指導について、指導内容を詳細に記載した文書を作成し、患者に交付していることが確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 導入初期加算について、初回の指導を行った日の属する月から3か月以内の患者に該当しない患者に対して、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 血糖自己測定器加算について、患者が自己測定した回数の区分よりも多い回数の区分で算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅酸素療法指導管理料)

○ 在宅ターミナルケア加算の酸素療法加算を算定すべきところ、誤って在宅酸素療法指導管理料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


5.検査

○ 検査について、健康診断を目的として実施した場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(外来迅速検体検査加算)

○ 外来迅速検体検査加算について、全ての対象検査の結果を当日中に説明し、文書による情報提供を行っていない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(腫瘍マーカー)

○ 腫瘍マーカー検査について、診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者以外の者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 悪性腫瘍の診断が確定した患者について、悪性腫瘍特異物質治療管理料ではなく、腫瘍マーカー検査を算定している例が認められたので改めること。


(脈波図、心機図、ポリグラフ検査)

○ 血管伸展性検査として算定すべき検査について、脈波図、心機図、ポリグラフ検査(3又は4検査)として誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(超音波検査)

○ 超音波検査について、当該検査で得られた所見を診療録に記載していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 超音波検査について、検査で得られた画像を診療録に添付していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(分娩監視装置による諸検査)

○ 分娩監視装置による諸検査について、陣痛促進を行っていない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(呼吸心拍監視)

○ 呼吸心拍監視について、重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者又はそのおそれのある患者以外の患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 呼吸心拍監視について、観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(経皮的動脈血酸素飽和度測定)

○ 経皮的動脈血酸素飽和度測定について、酸素吸入を行う必要のない患者、又はその他の要件にも該当しない患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(臨床心理・神経心理検査)

○ 人格検査、認知機能検査その他の心理検査について、検査の分析結果に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】



(岐阜県保険医新聞2023年10月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第3回)

 東海北陸厚生局岐阜事務所から「2022年度における個別指導及び新規個別指導での指摘事項」が開示されたので、数回にわたって主なものを掲載します。

6.投薬

○ 処方箋料について、抗精神薬多剤投与を行った場合の減算の除外規定に該当していない場合に誤って除外規定の項目で算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

<編注> 抗精神薬多剤投与とあるのは、「向精神薬多剤投与」が正しい記載だと思われる。

○ 特定疾患処方管理加算1について、算定対象の疾患が特定疾患でない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 抗菌薬等の使用について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 治療効果や薬剤感受性試験の結果を検討しないまま漫然と長期間処方を継続している。抗菌薬等の投与に当たっては、耐性菌の防止のため最小限の期間で投与し、医薬品医療機器等法承認事項(効能・効果、用法・用量等)を遵守すること。


7.注射

○ 注射について、次の事項に留意すること。

 注射について、経口投与をすることができないとき、経口投与による治療の効果を期待することができないとき、特に迅速な治療をする必要があるとき、その他注射によらなければ治療の効果を得ることが困難であるとき等、使用の必要性について考慮した上で行うこと。

○ 指定訪問看護事業者が行った注射に係る手技料について、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


8.投薬・注射

○ ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨に係る診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ ビタミン剤の投与について、経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


9.リハビリテーション

(疾患別リハビリテーション)

○ 疾患別リハビリテーションについて、医学的に最も適切な区分とは考えられない区分で算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・ 脳血管疾患等リハビリテーション料の対象となる脊髄梗塞の患者に対して運動器リハビリテーション料を算定している。

 ・ 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)の対象となる患者に対して心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)を算定している。

○ リハビリテーションの起算日について、リハビリテーションの開始日を起算日としている例が認められたので改めること。

○ 早期リハビリテーション加算について、誤った起算日に基づいて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特掲診療料の施設基準等別表第9の8第1号に掲げる患者であって、標準的算定日数を超えて継続してリハビリテーションを行う患者について、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断できない例であるにもかかわらず、月13 単位を超えて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(リハビリテーション総合計画評価料)

○ リハビリテーションが開始されてから評価ができる期間に達しているとは考え難い場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ リハビリテーション総合実施計画書の写しを診療録等に添付していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ リハビリテーション総合実施計画書に空欄がある例が認められたので改めること。


(目標設定等支援・管理料)

○ 目標設定等支援・管理料について、要介護被保険者でない患者について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


10.精神科専門療法

(通院精神療法)

○ 通院精神療法について、診療の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 通院精神療法について、当該診療に要した時間に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。


(心身医学療法)

○ 心身医学療法について、診療の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


11.処置

(皮膚レーザー照射療法)

○ 皮膚レーザー照射療法の照射面積拡大加算について、照射面積に係る診療録への記載がなく、加算の根拠が確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(いぼ等冷凍凝固法)

○ いぼ等冷凍凝固法について、処置を行った部位に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。


(消炎鎮痛等処置)

○ 消炎鎮痛等処置について、処置を行った部位に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。



(岐阜県保険医新聞2023年11月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第4回)

 東海北陸厚生局岐阜事務所から「2022年度における個別指導及び新規個別指導での指摘事項」が開示されたので、数回にわたって主なものを掲載します。

12.手術

○ 創傷処理について、切、刺、割創又は挫創のいずれにも該当しない場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 手術記録への記載が不十分である例が認められたので改めること。


13.麻酔

○ マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔について、脊椎麻酔を行った場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 麻酔について、次の事項に留意すること。

 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔について、全身麻酔の実施時間は、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を患者に接続した時点を開始時間とし、患者が当該麻酔器から離脱した時点を終了時間とすること。


14.病理診断

○ 病理判断料について、病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点に係る診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 病理判断料について、病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。


15.入院料

○ 入院診療計画を策定していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 入院診療計画の記載内容が不十分である例が認められたので改めること。


16.カルテ

○ 診療録への必要事項の記載について、診療録は保険請求の根拠となるものなので、医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと。

 ・ 労務不能に係る意見欄への記載がない。

○ 紙媒体の記録について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・ 記載内容が判読できない。

 ・ 鉛筆で記載している。

○ 電子的に保存している記録の管理・運用について、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5.2 版」に準拠していない例が認められたので改めること。

 ・ パスワードの要件を満たしていない。

 ・ アクセス権限の範囲設定が不適切である。

 ・ 定期的に職員に対し個人情報の安全管理に関する教育訓練を行っていない。


17.レセプトの記載

○ 診療報酬明細書の記載等について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・ 主傷病名は原則1つとされているところ、多数の傷病名を主傷病名としている。

 ・ 主傷病名と副傷病名を区別していない。


18.傷病名

○ 傷病名の内容について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ①医学的に適確ではない傷病名を付与している。

 (例)クレチン病の患者に対して付与した甲状腺機能低下症の疑い、左眼内レンズ挿入眼の診療開始日の翌日に付与した両白内障、両糖尿病の疑い

 ②部位・左右の別の記載がない。

   (例)帯状疱疹、単純ヘルペス、ざ瘡、毛細血管拡張症、帯状疱疹

 ③ COVID- 19 の疑い病名とともに、傾向的に類似の傷病名を付与している。

 (例)感冒、急性上気道炎、急性気管支炎、咽頭喉頭炎

 ④ 検査の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠のない傷病名(いわゆるレセプト病名)が認められた。レセプト病名を付けて保険請求することは、不適切なので改めること。

○ 傷病名を適切に整理していない例が認められたので改めること。

 ①長期にわたる急性疾患の傷病名

 (例)急性上気道炎、MRCNS敗血症、急性循環不全、急性呼吸不全

 ②類似の傷病名

 (例 )うっ血性心不全と慢性心不全、発作性頻脈性心房細動と非弁膜症性発作性心房細動、高血圧症と二次性高血圧症、慢性腎臓病と慢性腎不全、急性肺炎の疑いと細菌性肺炎の疑い


19.一部負担金

○ 一部負担金を適切に徴収していない例が認められたので改めること。


20.保険外負担

○ 保険外負担等について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

 ・ 療養の給付と直接関係ないサービスとはいえないものについて、患者から費用を徴収している。

 (例)ガーゼ、針付きナイロン糸、包帯、導尿パック、衛生材料の費用、メッシュポア

○ 療養の給付とは直接関係ないサービスとはいえないものについて、患者から費用を徴収している例が認められたので改めること。

 ・ 針捨てボックス

 ・ 手術後に使用する医療材料等


21.届出事項

○ 次の届出事項の変更が認められたので、速やかに東海北陸厚生局岐阜事務所に届け出ること。

 ・ 診療時間の変更

 ・ 保険医の異動(常勤から非常勤)

○ 施設基準の届出について、施設基準を満たさなくなった場合は速やかに東海北陸厚生局岐阜事務所へ辞退の旨を届け出ること。


22.その他の事項

○ 診療報酬の請求について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・ 診療録に診療を行った旨の記載がなく、根拠が確認できない。

 ・ 一連の診療の中で保険診療と自費診療を併せて行うことは認められないことに留意すること。

○ 診療報酬の請求に当たっては、全ての診療報酬明細書について保険医自らが診療録との突合を行い、記載事項や算定項目に誤りや不備等がないか十分に確認を行うこと。


* 令和4年度の個別指導での指摘事項は今回で最終回となります。


(岐阜県保険医新聞2023年12月10日号)