【歯科】 個別指導での指摘事項 (第4回)
協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。 |
Ⅰ 診療に関する事項
8 処置
◆ 暫間固定
○ 暫間固定を行った症状、所見及び経過等について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
○ エナメルボンドシステムによる暫間固定を行ったものについて、算定できない装着材料料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
◆ その他(初期う蝕早期充填処置)
○ 同一部位に対して初期う蝕早期充填処置を画一的に繰り返し実施している例が認められたので改めること。
○ 歯科医学的に実施する必要性が乏しい初期う蝕早期充填処置を実施している例が認められたので改めること。
◆ 咬合調整
○ 歯冠形態の修正を行った際に、診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。
・ 修正箇所
◆ 口腔内装置
○ 口腔内装置について、製作方法と使用材料名を診療録に記載していない例が認められたので、適切に記載すること。
○ 顎関節症に対して、口腔内装置を用いた治療を行っている場合における症状、所見等について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
◆ 歯冠修復物又は補綴物の除去
○ 著しく困難なもの
・ メタルコア又は支台築造用レジンを含むファイバーポストであって歯根の3分の1以上のポス卜を有するものに該当していない場合に、算定できない歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
9 リハビリテーション
◆ 歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」
○ 歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している場合に診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している若しくは記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。
・調整方法及び調整部位
・指導内容の要点
◆ 摂食機能療法
○ 診療録に記載すべき内容について、療法の内容の記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
○ 摂食機能療法に係る診療計画書について、内容の記載が不十分な例が認められたので改めること。
・ 初回の計画の記載はあるが、2回目以降について記載がない。
○ 算定要件を満たしていない摂食機能療法を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
・ 歯科衛生士が単独で訪問して行っている。
10 手術
◆ 抜歯手術
○ 抜歯手術における症状、所見について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
○ 抜歯手術(埋伏歯)における手術内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
○ 骨性の完全埋伏歯又は歯冠部が3分の2以上の骨性埋伏である水平埋伏智歯に該当していない場合に、算定できない抜歯手術「4 埋伏歯」を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
◆ 歯根嚢胞摘出手術
○ 歯根嚢胞摘出手術における症状、所見、手術内容及び術後経過について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
○ 歯根嚢胞の大きさが歯冠大に満たない場合に、算定できない歯根嚢胞摘出手術「1 歯冠大のもの」を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
◆ 歯根端切除手術
○ 歯根端切除手術における手術内容について、診療録に記載していない又は診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
◆ 口腔内消炎手術
○ 口腔内消炎手術における手術部位、症状及び手術内容の要点について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
◆ 歯周外科手術
○ 歯肉剥離播爬手術における症状、所見及び手術内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。
◆ その他
○ 保険診療として認められていない手術であるにもかかわらず、歯根嚢胞摘出手術及び歯根端切除手術を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
11 歯周治療
◆ 歯周病に係る症状及び所見等の診療録への記載がない又は記載が不十分であり、診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。
◆ 診断等
○ 歯周治療の実施に当たっては、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月 日本歯科医学会)を参考に適切な治療を行うこと。
◆ 歯周基本治療
○ 必要性の認められないスケーリングを実施している例が認められたので、歯周病検査の結果、画像診断等に基づく的確な診断及び治療計画により適切な治療を行うこと。【自主返還の対象】
○ 根面被覆処置が行われていない残根歯について、誤って歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
◆ 歯周基本治療処置
○ 算定要件を満たしていない歯周基本治療処置を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】
・ 使用した薬剤名を診療録に記載していない。
(岐阜県保険医新聞2023年11月10日号)
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