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令和4年度【歯科】個別指導での指摘事項
 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第1回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

1 診療録等

◆ 診療緑

○ 保険医は診療録が保険請求の根拠であることを認識し、必要な事項を十分に記載すること。

○ レセプトコンピュータ等OA機器により作成した診療録の記載方法、記載内容に次の例が認められたので、適切に診療録を作成すること。

 ・ 診療を行った保険医が署名又は記名押印を行っていない。

○ 診療録第1面(療担規則様式第一号(二)の1)の記載内容に次の例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・ 終了年月日及び転帰について記載が不十分である。

 ・ 傷病名について記載が誤っている。

 ・ 主訴について記載が不十分である。

 ・ 終了年月日について記載がない。

 ・ 部位、開始年月日、終了年月日、転帰及び主訴について、記載がない又は記載が不十分である。

 ・ 歯科医学的に診断根拠のない、いわゆるレセプト病名が認められる。

 ・ 傷病名を適切に整理していない次の例が認められる。

   ◇ 整理していないために傷病名が多数となっている。

   ◇ 重複して付与している又は類似の傷病名がある。

   ◇疑い病名である場合に疑いの記載がない。

○ 診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載内容に次の例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・ 症状、所見及び診療方針について記載が不十分である。

 ・ 症状及び所見について記載が不十分である。

○ 診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載内容について、症状、所見、診療方針、点数及び負担金徴収額の記載がない又は記載が不十分な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・ 診療録の整備及び保管状況について不備な例が認められたので改めること。

 ・ 診療録が散逸しないように適切に編綴すること。

○ 診療録が療担規則第22条に定められた様式に準じていないので改めること。

 ・ 主訴を記載する欄がない例が認められる。

○ 複数の保険医が従事する保険医療機関においては、診療の責任の所在を明確にするために、診療を担当した保険医は診療録を記載した後、署名又は記名押印すること。

○ 診療録の記載方法、記載内容に次の例が認められたので、適切に記載すること。

 ・ 行を空けた記載がある。

 ・ 療法・処置欄への1行に対し複数行の記載がある。

 ・ 判読困難な記載がある。

 ・ 訂正又は追記した者が不明である。

 ・ 不要な改行がある。

○ 独自の略称 (MCR、CWCT) を使用している例が認められたので、略称を使用するに当たっては、「歯科の診療録及び診療報酬明細書に使用できる略称について(令4.3.18保医発0318 第5号)」を参照し適切に記載すること。


◆ 歯科技工指示書

○ 歯科技工指示書に記載すべき次の内容に不備が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・ 発行した歯科医師の氏名

 ・ 作成が行われる歯科技工所の所在地

○ 診療録と関係書類(納品書)において、歯科技工物の製作内容について一致しない例が認められたので、保険医療機関及び保険医により十分に照合・確認すること。

○ 歯科技工指示書に設計、作成の方法及び使用材料の記載がなく口頭で指示していた例が認められたので、所定の内容を記載した歯科技工指示書を発行すること。


2 初・再診料

◆ 再診料

○ 電話等による再診とは認められないものについて、歯科再診料(電話等による再診)を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 歯科診療特別対応加算

○ 歯科診療特別対応加算に係る診療録に記載すべき内容について、算定した日の患者の状態を画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


(岐阜県保険医新聞2023年7月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第2回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

3 医学管理等

◆ 歯科疾患管理料

○ 1回目の管理計画において診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 口腔の状態(歯科疾患及び口腔衛生状態)

○ 算定要件を満たしていない歯科疾患管理料を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 2回目以降の歯科疾患管理料を算定した月に、当該管理に係る要点を診療録に記載していない。

○ 2回目以降の歯科疾患管理料を算定した月に診療録に記載すべき内容について、管理に係る要点の記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 長期管理加算を初めて算定する場合に診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 患者の治療経過及び口腔の状態を踏まえた今後の口腔管理に当たって特に留意すべき事項の要点

○ 歯科疾患管理料を算定した月に診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 口腔の状態


◆ 歯科特定疾患療養管理料

○ 算定要件を満たしていない歯科特定疾患療養管理料を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 症状及び管理内容の要点を診療録に記載していない。

○ 診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 症状

 ・ 管理内容の要点


◆ 歯科衛生実地指導料

○ 算定要件を満たしていない歯科衛生実地指導料1を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載していない。

 ・ 情報提供文書を作成していない。

○ 算定要件を満たしていない歯科衛生実地指導料2を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載していない。

○ 診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 歯科衛生士に行った指示内容等の要点

○ 診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 歯科衛生士に行った指示内容等の要点

○ 情報提供文書に記載すべき内容について、画一的に記載している例が認められたので、次の事項について適切に記載すること。

 ・ 口腔衛生状態(う蝕又は歯周病に罹患している患者はプラークの付着状況を含む。)

○ 情報提供文書に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項ついて適切に記載すること。

 ・ 指導を行った歯科衛生士の氏名

 ・ 指導の実施時刻( 開始時刻と終了時刻)


◆ 周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)・周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)

○ 管理報告書に記載すべき口腔内の状態の評価、具体的な実施内容や指導内容について、記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


◆ 診療情報提供料(Ⅰ)

○ 医療機関への紹介に当たっては、「別紙様式11」又はこれに準じた様式の文書に必要事項を記載すること。


◆ 診療情報連携共有料

○ 算定要件を満たしていない次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 交付した文書に診療情報の提供を依頼する担当医名を記載していない。


(岐阜県保険医新聞2023年9月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第3回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

4 在宅医療

◆ 歯科訪問診療料

○ 診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 歯科訪問診療の際の患者の状態等(急変時の対応の要点を含む。)

○ 患者の病状に基づいた訪問診療計画の要点

○ 歯科診療特別対応加算に係る診療録へ記載すべき内容について、算定した日の患者の状態を画一的に記載している又は記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


◆ 訪問歯科衛生指導料

○ 算定要件を満たしていない訪問歯科衛生指導料を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

○ 歯科衛生士等に指示した内容を診療録に記載していない。

○ 診療録に記載すべき内容について、歯科衛生士等に指示した内容の記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


◆ 歯科疾患在宅療養管理料

○ 理計画に記載すべき内容について、口腔の状態の記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


5 検査

◆ 歯周基本検査

○ 算定要件を満たしていない歯周基本検査を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

○ 必要な検査のうち歯の動揺度の結果を診療録に記載又は検査結果の分かる記録を診療録に添付していない。


◆ 検査料

○ 血液検査について、必要性の認められない検査項目も含めて画一的に実施している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 葉酸

 ・ ビタミンB1

 ・ ビタミンB2

 ・ ビタミンB12

○ 術前の検査について、必要性の認められない検査項目も含めて画一的に実施している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ SARS-CoV-2 核酸検出

 ・ 梅毒トレポネーマ抗体定性

○ 術前の検査について、間質性肺炎等後天性免疫症候群の疾病と鑑別が難しい疾病が認められる場合やHIV の感染に関連しやすい性感染症が認められる場合、既往がある場合又は疑われる場合でHIV 感染症を疑う場合ではないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ HIV―1、2 抗原・抗体同時測定定量


◆ 電気的根管長測定検査

○ 破折したリーマーが根管内に残存しており、根管長が測定できていない場合に、算定できない電気的根管長測定検査を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 細菌薬剤感受性検査

○ 短期間に細菌薬剤感受性検査を繰り返し実施している例が認められたので、検査の必要性を十分に検討した上で実施すること。


6 画像診断

◆ 診断料

○ 一連の症状を確認するため、同一部位に撮影を行った場合における2 枚目以降の撮影に係る写真診断の費用について、所定点数の100分の50に相当する点数として算定すべきものを所定点数で算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

○ 歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影、歯科用3次元エックス線断層撮影を行った場合に診療録に記載すべき内容について、写真診断に係る必要な所見の記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


7 投薬

◆ 投薬

○ 医薬品医療機器等法の承認事項(適応(効能・効果)、用法(用法・用量))からみて、次の不適切な投薬が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 適応外

  ◇ プロマックD 錠75

  ◇ プロマック穎粒15%

 ・ その他 (必要性の認められないデスパコーワロ腔用クリーム)

○ 処置内容、症状等にかかわらず、画一的な投薬をしている例が認められたので、傷病名及び症状等を考慮の上、投与薬剤及び投薬方法をその都度決定すること。

 ・ トロンビン液モチダ

 ・ アドナ注(静脈用)5Omg

 ・ リンデロン注2 mg(0.4%)

○ 活性性菌製剤の使用について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 腸内菌叢の異常に係る所見、徴候が認められない患者に対して、予防的に活性性菌製剤(ビオスリー配合錠)を投与している。

○ 処置内容、症状等にかかわらず、予防として画一的な投薬をしている例が認められたので、傷病名及び症状等を考慮の上、投与薬剤及び投薬方法をその都度決定すること。

 ・ リンデロン注4mg (0.4%)

○ 投薬を行うに当たっては、医薬品医療機器等法の承認事項に加え、薬剤の重要な基本的注意事項を考慮し、個々の症例に応じて適切に判断すること。【自主返還の対象】

 ・ シェーグレン症候群の診断が確定していない患者に対するサリベートエアゾールの投与

○ 適切な投与期間を超えて投薬を行っている例が認められたので改めること。連月で60日分ずつ投与しているリリカカブセル75mg【自主返還の対象】


(岐阜県保険医新聞2023年10月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第4回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

8 処置

◆ 暫間固定

○ 暫間固定を行った症状、所見及び経過等について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ エナメルボンドシステムによる暫間固定を行ったものについて、算定できない装着材料料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ その他(初期う蝕早期充填処置)

○ 同一部位に対して初期う蝕早期充填処置を画一的に繰り返し実施している例が認められたので改めること。

○ 歯科医学的に実施する必要性が乏しい初期う蝕早期充填処置を実施している例が認められたので改めること。


◆ 咬合調整

○ 歯冠形態の修正を行った際に、診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 修正箇所


◆ 口腔内装置

○ 口腔内装置について、製作方法と使用材料名を診療録に記載していない例が認められたので、適切に記載すること。

○ 顎関節症に対して、口腔内装置を用いた治療を行っている場合における症状、所見等について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


◆ 歯冠修復物又は補綴物の除去

○ 著しく困難なもの

 ・ メタルコア又は支台築造用レジンを含むファイバーポストであって歯根の3分の1以上のポス卜を有するものに該当していない場合に、算定できない歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


9 リハビリテーション

◆ 歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」

○ 歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している場合に診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している若しくは記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・調整方法及び調整部位

 ・指導内容の要点


◆ 摂食機能療法

○ 診療録に記載すべき内容について、療法の内容の記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 摂食機能療法に係る診療計画書について、内容の記載が不十分な例が認められたので改めること。

 ・ 初回の計画の記載はあるが、2回目以降について記載がない。

○ 算定要件を満たしていない摂食機能療法を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 歯科衛生士が単独で訪問して行っている。


10 手術

◆ 抜歯手術

○ 抜歯手術における症状、所見について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 抜歯手術(埋伏歯)における手術内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 骨性の完全埋伏歯又は歯冠部が3分の2以上の骨性埋伏である水平埋伏智歯に該当していない場合に、算定できない抜歯手術「4 埋伏歯」を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 歯根嚢胞摘出手術

○ 歯根嚢胞摘出手術における症状、所見、手術内容及び術後経過について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 歯根嚢胞の大きさが歯冠大に満たない場合に、算定できない歯根嚢胞摘出手術「1 歯冠大のもの」を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 歯根端切除手術

○ 歯根端切除手術における手術内容について、診療録に記載していない又は診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


◆ 口腔内消炎手術

○ 口腔内消炎手術における手術部位、症状及び手術内容の要点について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


◆ 歯周外科手術

○ 歯肉剥離播爬手術における症状、所見及び手術内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


◆ その他

○ 保険診療として認められていない手術であるにもかかわらず、歯根嚢胞摘出手術及び歯根端切除手術を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


11 歯周治療

◆ 歯周病に係る症状及び所見等の診療録への記載がない又は記載が不十分であり、診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。


◆ 診断等

○ 歯周治療の実施に当たっては、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月 日本歯科医学会)を参考に適切な治療を行うこと。


◆ 歯周基本治療

○ 必要性の認められないスケーリングを実施している例が認められたので、歯周病検査の結果、画像診断等に基づく的確な診断及び治療計画により適切な治療を行うこと。【自主返還の対象】

○ 根面被覆処置が行われていない残根歯について、誤って歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 歯周基本治療処置

○ 算定要件を満たしていない歯周基本治療処置を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 使用した薬剤名を診療録に記載していない。


(岐阜県保険医新聞2023年11月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第5回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

12 歯冠修復及び欠損補綴

◆ 充填

○ 隣接面を含まない歯頚部のう蝕に対する充点を、「複雑なもの」として誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 補綴時診断料

○ 算定要件を満たしていない補綴時診断料を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載していない。

○ 診療録に記載すべき内容について、欠損部の状態の記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


◆ 歯冠形成・歯冠修復

○ う蝕歯即時充填形成・充填・ 同一部位に対してう蝕歯即時充填形成及び充填を画一的に繰り返し実施している例が認められたので改めること。

○ 歯科医学的に実施する必要性が乏しいう蝕歯即時充填形成及び充填を実施している例が認められたので改めること。


◆ クラウン・ブリッジ維持管理料

○ 患者への提供文書に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・クラウン・ブリッジ維持管理料の趣旨


◆ 有床義歯

○ 鋳造鉤の個数について、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

○ 有床義歯について、補強線を鋳造バーとして誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

○ 残根上義歯の製作に当たっては、当該残根歯に対して適切な歯内療法及び根面被覆処置を行うこと。

○ バーの保険医療材料について誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 有床義歯修理

○ 診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・修理内容の要点

○ 算定要件を満たしていない歯科技工加算1を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・修理を担当する歯科技工士の氏名を診療録に記載していない。


◆ 有床義歯内面適合法

○ 短期間に繰り返し有床義歯内面適合法(有床義歯床裏装)を実施している不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


13 麻酔

◆ 歯科麻酔管理料

○ 入院していない場合に算定できない歯科麻酔管理料を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 静脈麻酔

○ 常勤の麻酔科医が専従で当該麻酔を実施していない場合に、算定できない静脈麻酔「3 十分な体制で行われる長時間のもの(複雑な場合)」を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


◆ 神経ブロック

○ 長期漫然と神経ブロックを繰り返している例が認められたので改めること。


14 歯科矯正

◆ 歯科矯正管理料

○ 歯科矯正管理料に係る文書に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、次の事項について個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・顎切除、顎離断等の手術を必要とする療養を行う場合における当該手術を担当する保険医療機関名及び担当歯科医師又は担当医師の氏名


◆ 装着

○ 算定要件を満たしていないフォースシステムの加算を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・力系に関するチャートを作成していない。


15 保険外診療

○ 保険診療と保険外診療の峻別を図ること。

○ 自費の矯正治療に伴う一連の歯科治療について、保険請求している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


(岐阜県保険医新聞2023年12月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (最終回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅱ 請求事務等に関する事項

1 届出事項、報告事項等

◆ 次の届出事項について、変更が認められたので速やかに東海北陸厚生局長宛てに届け出ること。

○ 保険医の異動

○ 標榜診療時間の変更

○ 保険医の勤務形態の変更

◆ 次の保険外併用療養費に係る報告事項について、報告をしていなかったので速やかに東海北陸厚生局長宛てに報告すること。

○ 金属床による総義歯に係る金属の種類及び費用


2 掲示事項

◆ 保険医療機関の掲示事項に不備が認められたので、速やかに適切な掲示をすること。

○ 次の施設基準に係る事項を掲示していない。

 ・有床義歯咀嚼機能検査1の口及び咀嚼能力検査

○ 明細書の発行に関する事項の掲示が誤っている。

 ・一部負担金等の支払いがない患者に関する記載がない。

○ 次の施設基準に係る事項の掲示内容が誤っている。

 ・歯科外来診療環境体制加算1

○ 次の施設基準に係る事項を届け出していないにもかかわらず誤って掲示している。

 ・クラウン・ブリッジ維持管理料

○ 届出内容と異なる診療時間を掲示している。

○ 保険外併用療養費の療養の内容及び費用に関する掲示が不十分なので、適切に掲示すること。

 ・金属床による総義歯の提供について、金属の種類が相違している。

○ 先進医療に関する掲示

 ・現在は先進医療ではない歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法を先進医療として掲示している。


3 診療報酬請求

◆ 総論的事項

○ 診療録と診療報酬明細書において、診療内容について一致しない例が認められたので、保険医療機関及び保険医により十分に照合・確認を行い適切に記載すること。

 ・処置

 ◇ 誤って初期う蝕早期充填処置を請求している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・歯冠形成・歯冠修復

 ◇ 誤ってう蝕歯即時充填形成及び充填を請求している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ◇ 初期う蝕早期充填処置として請求すべきものを誤ってう蝕歯即時充填形成及び充填として請求している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・手術

 ◇ 抜歯手術「3 臼歯」について、誤って抜歯手術「4 埋伏歯」で請求している不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


4 一部負担金

◆ 明細書

○ 一部負担金の発生しない患者(全額公費負担を除く)について、明細書を発行していない例が認められたので、適切に交付すること。

◆ 一部負担金

○ 一部負担金について、診療報酬請求に訂正が生じた場合、訂正後の一部負担金の調整が不十分な例が認められたので改めること。

◆ 診療報酬明細書の作成、確認時に算定内容を修正した際に、一部負担金に過不足が生じた場合は、患者に適切に追徴や返金等の対応をすること。


5 基本診療料の施設基準等

◆ 初診料の注1

○ 院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示が不十分なので、適切に掲示すること。


6 特掲診療料の施設基準等

◆ 地域医療連携体制加算

○ 施設基準に適合していない次の事項が認められたので速やかに届出を辞退し、基準を満たした場合に改めて届出を行うこと。【自主返還の対象】

 ・あらかじめ患者又はその家族の同意を得て、その治療等に必要な情報を連携保険医療機関に対して文書をもって提供し、その写しを診療録に添付していない。

 ・患者又はその家族等に連携保険医療機関の名称、住所、在宅歯科医療の調整担当者又は担当の歯科医師の氏名及び連絡方法等を記載した文書を交付していない。

◆ 顎口腔機能診断料

○ 施設基準に適合していない次の事項が認められたので速やかに届出を辞退し、基準を満たした場合に改めて届出を行うこと。【自主返還の対象】

 ・専従の常勤看護師又は歯科衛生士を1 名以上配置していない。


7 その他

◆ その他

○ 保険医は療養担当規則等の諸規則に習熟し、適正な保険診療に努めること。

○ 保険診療に関する諸規則や算定要件等の理解が十分でないことから、保険医として備えるべき知識の修得に努めること。

◆ 過去に実施した特定共同指導における指導内容等が反映されていない例が認められたため、以後の診療や保険請求に反映させるなど活用を図ること。


* 令和4年度の個別指導での指摘事項(歯科)は、今回で最終回となります。