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2021年度【医科】個別指導での指摘事項
 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第1回)

 2021年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を紹介します。

1.初・再診料 共通

○ 初・再診料について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・ 再診相当である場合に、初診料を算定している。【自主返還の対象事例】


(時間外加算)

○ 時間外加算について、診療録に受診時間の記載がなく、算定の根拠が不明な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(休日加算)

○ 休日加算について、急病等やむを得ない理由により受診した患者以外の患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(夜間・早朝等加算)

○ 夜間・早朝等加算について、診療録に受付時間の記載がなく、算定の根拠が確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


2.再診料

○ 再診料について、診療録に所見の記載がなく、診療の根拠が確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 再診料について、診療状況を示す文書を交付したのみであり、診察を行っていない場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 再診に附随する一連の行為で同日に来院したものについて、再診料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(外来管理加算)

○ 外来管理加算について、診療録に患者からの聴取事項や診療所見の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 外来管理加算について、診療録に患者からの聴取事項や診察所見の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 外来管理加算について、問診と身体診察(視診、聴診、打診及び触診等)を行っていない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(電話等による再診)

○ 電話等による再診について、診療録に診療内容が確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 電話等による再診について、患者又はその看護に当たっている者から電話等によって治療上の意見を求められて指示をした場合とはいえないものについて、電話等による対応をしたことのみをもって再診料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(地域包括診療加算)

○ 地域包括診療加算について、患者が受診している医療機関に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。


3.医学管理等

(特定疾患療養管理料)

○ 特定疾患療養管理料について、算定対象外である主病について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患療養管理料について、実態的に主病に対する治療が当該保険医療機関では行われていないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患療養管理料について、診療録に主病に対する治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患療養管理料について、診療録に主病に対する治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(ウイルス疾患指導料)

○ ウイルス疾患指導料について、診療録に指導内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(特定薬剤治療管理料)

○ 特定薬剤治療管理料1について、治療計画の要点に係る診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 特定薬剤治療管理料1について、診療録に薬剤の血中濃度及び治療計画の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(悪性腫瘍特異物質治療管理料)

○ 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、診療録に腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、治療計画の要点に係る診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。


(てんかん指導料)

○ てんかん指導料について、診療録に診療内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(難病外来指導管理料)

○ 難病外来指導管理料について、診療録に診療計画及び診療内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 難病外来指導管理料について、診療録に指導内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(皮膚科特定疾患指導管理料)

○ 皮膚科特定疾患指導管理料について、診療録に指導内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(在宅療養指導料)

○ 在宅療養指導料について、看護師が患者ごとの療養指導記録が作成されていない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


( 小児科外来診療料・小児かかりつけ診療料)

○ 小児抗菌薬適正使用支援加算について、小児科を担当する専任の医師が診察を行っていないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(地域包括診療料)

○ 地域包括診療料1について、健康診断や検診の受診勧奨の結果等に係る診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。


(診療情報提供料(Ⅰ))

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、紹介先保険医療機関が同一の場合に月2回算定している。【自主返還の対象事例】

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、診療情報の提供の必要性がない場合に算定している。【自主返還の対象事例】

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、交付した文書において、項目欄への記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、紹介元医療機関への受診行動を伴わない患者紹介の返事について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 診療情報提供料(Ⅰ)で算定すべきところ、誤って訪問看護指示料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(薬剤情報提供料)

○ 薬剤情報提供料について、処方の変更がないにもかかわらず月2回以上算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 薬剤情報提供料について、診療録等に薬剤情報を提供した旨の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(療養費同意書交付料)

○ 療養の給付を行うことが困難であると認められない患者に対して同意書を交付し算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(コロナ特例)

○ 新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いによる院内トリアージ実施料について、新型コロナウイルス感染症であることが疑われる患者として認められないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


過去2年間の個別指導の結果
【 2020年度 】
□ 個 別 指 導

・ 概ね妥当: 1 件
・ 経過観察: 6 件
・ 再 指 導:13 件
・ 中 断 中: 1 件

□ 新規個別指導
・ 概ね妥当: 7 件
・ 経過観察:10 件
・ 再 指 導: 2 件
【 2021年度 】
□ 個 別 指 導

・ 概ね妥当: 0 件
・ 経過観察:11 件
・ 再 指 導: 7 件


□ 新規個別指導
・ 概ね妥当: 7 件
・ 経過観察:13 件
・ 再 指 導: 7 件

(岐阜県保険医新聞2022年10月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第2回)

 2021年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を紹介します。

4.在宅医療

(往診料)

○ 往診料について、定期的ないし計画的に患家又は他の保険医療機関に赴いて診療をしたものを往診として算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 患者や家族等患者の看護等に当たる者からの往診の求めがなく、往診の必要性が認められない場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 往診料について、診療録に患者又は家族等患者の看護に当たる者からの電話等による求めの記載がなく、算定の根拠が認められない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 緊急往診加算について、患者又は現にその看護に当たっている者からの求めが診療時間内であったことが確認できない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 緊急往診加算について、緊急に行う往診に該当しない場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅患者訪問診療料)

○ 在宅患者訪問診療料について、定期的・計画的な訪問診療を行っている期間における緊急の場合の往診の費用の算定については、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)は算定せず、要件を満たしたうえで往診料及び再診料を算定することに留意すること、また、診療録には臨時に診療した経緯等を記載すること。

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、診療録に訪問診療の計画の記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所に係る診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。

○ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、ワクチン接種のために赴いた場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(同一患家2人目以降の診療)

○ 同一の患家において2人以上の患者を訪問診療した場合における2人目以降の患者について、外来管理加算を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

【編注】 点数表上の根拠が明確でないにも関わらず、岐阜県では上記指摘が行われています。なお、他県ではこうした指摘は行われていません。


(在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料)

○ 在宅療養計画及び説明の要点等に係る診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 別に厚生労働大臣が定める状態の患者に該当しない患者に対して誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 包括的支援加算を誤って月に2回算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・ 連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等に係る文書の記載内容が不十分である。

 ・ 在宅療養計画に係る患者への説明の要点等の診療録への記載が不十分である。


(訪問看護指示料)

○ 訪問看護指示料について、訪問看護指示書の指示内容の記載が不十分である例が認められたので改めること。

○ 訪問看護指示料について、訪問看護指示書への記載内容が画一的である例が認められたので改めること。


(在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料)

○ 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料について、診療録に理学療法士等に対する指示内容の要点の記載が不十分である例が認められたので改めること。


(在宅療養指導管理料の全般的事項)

○ 診療録に指示事項及び指導内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項及び指導内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(在宅自己注射指導管理料)

○ 在宅自己注射指導管理料について、月27回以下として算定すべきものを月28回以上で算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 患者に交付する文書について、在宅自己注射の指導内容の記載が不十分である例が認められたので改めること。

○ 血糖自己測定器加算について、血糖自己測定値に基づいた指導を行っていない患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 血糖自己測定器加算について、指示している回数より多い回数の区分で算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 血糖自己測定器加算について、インスリン製剤を1か月分以下しか処方していない患者に対して1月に複数回算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅酸素療法指導管理料)

○ 在宅酸素療法指導管理料について、算定対象外の患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅酸素療法材料加算について、患者が死亡した月の翌月分について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅人工呼吸指導管理料)

○ 在宅人工呼吸指導管理料について、心不全患者にASVを実施した場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 排痰補助装置加算について、神経筋疾患等の患者以外の患者に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料)

○ 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2について、算定要件を満たしていない患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料に係る直近の無呼吸低呼吸指数について、診療報酬明細書の摘要欄に正確に記載されていない例が認められたので改めること。


(在宅寝たきり患者処置指導管理料)

○ 在宅寝たきり患者処置指導管理料について、医師、看護師が行った処置に係る特定保険医療材料料を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(配置医師の診療)

○ 配置医師として配置されている施設の入居者に対して、初診料を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(コロナ特例)

○ 在宅人工呼吸指導管理料について、新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いによる、診療録に在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関する指導等の内容、患者等から聴取した療養の状況及び支給した衛生材料等の量等の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】



(岐阜県保険医新聞2022年11月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第3回)

 2021年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を紹介します。

5.検査

(腫瘍マーカー)

○ 腫瘍マーカー検査について、診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者以外の者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 悪性腫瘍の診断が確定した患者について、悪性腫瘍特異物質治療管理料ではなく、腫瘍マーカー検査を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 前回の前立腺特異抗原(PSA)の検査結果が4.0ng/mL 未満であり、算定要件を満たしていないにもかかわらず、前立腺特異抗原(PSA)を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 前立腺特異抗原(PSA)について、検査結果が4.0ng/ml以上であるものの、前立腺癌の確定診断がつかない場合に4回以上算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(結核菌特異的インターフェロン-γ産生能)

○ 結核菌特異的インターフェロン-γ産生能について、診察又は画像診断等により結核感染が強く疑われる患者以外の患者に対して測定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(心電図検査)

○ 心電図検査について、同一の患者につき同一月において同一検査を2回以上実施した場合における2回目以降の点数を、所定点数の100分の90に相当する点数により算定していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(脈波図、心機図、ポリグラフ検査)

○ 血管伸展性検査として算定すべき検査について、脈波図、心機図、ポリグラフ検査(3又は4検査)であるとして、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 血管伸展性検査について、描写し記録した脈波図により脈波伝達速度を求めていない場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(超音波検査)

○ 超音波検査について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ①検査で得られた主な所見を診療録に記載していない。

 ②検査で得られた画像を診療録に添付していない。

○ 超音波検査のパルスドプラ法加算について、医学的に必要性がない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ パルスドプラ法加算について、診療録の記載等により結果が確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(経皮的動脈血酸素飽和度測定)

○ 経皮的動脈血酸素飽和度測定について、算定要件を満たしていない患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(終夜睡眠ポリグラフィー)

○ 終夜睡眠ポリグラフィーについて、診療録に検査結果の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(胃・十二指腸ファイバースコピー)

○ 胃・十二指腸ファイバースコピーの狭帯域光強調加算について、医学的に必要性がないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(大腸内視鏡検査)

○ 狭帯域光強調加算について、拡大内視鏡を用いて、狭帯域光による観察を行っていない場合に誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


6.投薬

(特定疾患処方管理加算)

○ 特定疾患処方管理加算1及び特定疾患処方管理加算2について、算定対象の疾患が主病でない患者について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患処方管理加算2について、算定対象となる主病に係る薬剤の処方が28日未満であるにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患処方管理加算2について、算定対象となる主病以外の疾患に係る薬剤を28日以上処方して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


7.注射

○ ビタミン剤である注射の投与について、ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨が具体的に診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ ビタミン剤である注射の投与について、ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨が具体的に診療録に記載されていない例が認められたので改めること。また、経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 注射について、次の不適切な例が認められたので改めること。

   経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している。注射については、経口投与をすることができないとき、経口投与による治療の効果を期待することができないとき、特に迅速な治療をする必要があるとき、その他注射によらなければ治療の効果を得ることが困難であるとき等、使用の必要性について考慮した上で行うこと。


8.投薬、注射、薬剤料等

○ 投薬・注射、薬剤料等について、次の不適切な例が認められたので改めること。保険診療において薬剤を使用するに当たっては、医薬品医療機器等法承認事項を遵守すること。

 ① 抗菌薬等の使用について、治療効果や薬剤感受性の実施を検討しないまま漫然と長時間投与を継続している例が認められた。【自主返還の対象事例】

 ・アクアチムクリーム1%

 ・クラビット錠250㎎

 ② 次の適用外投与の例が認められた。【自主返還の対象事例】

   対象疾患がない患者に対するメチコバール注射液500μg及びメチコバール錠500μgの投与

 ③ 次の禁忌投与の例が認められた。

    慢性心不全及び重篤な腎機能障害にある患者へのビーフリード輸液の投与【自主返還の対象事例】

 ④ 次の不適切な投与の例が認められた。【自主返還の対象事例】

    診断根拠がなく胃潰瘍再発又は十二指腸潰瘍再発を付与して投与したパリエット10㎎、タケプロンOD錠15㎎

 ⑤ 次の禁忌投与、過量投与の例が認められた。

    急性呼吸不全の状態である高齢者の患者へのルネスタ錠2㎎の原則禁忌及び過量投与



(岐阜県保険医新聞2022年12月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第4回)

 2021年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を紹介します。

9.リハビリテーション

○ 疾患別リハビリテーション料について、患者の疾患等を総合的に勘案して最も適切な区分に該当する疾患別リハビリテーション料を算定していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・ 脳血管疾患等リハビリテーション料の対象となる患者に対して運動器リハビリテーション料を算定している。

○ 機能訓練の記録について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・ 機能訓練の内容の要点について、診療録等への記載が不十分である。

 ・ 機能訓練の実施時刻(開始時刻及び終了時刻)について、患者と患者との交代時間がなく、診療録等への記載が画一的である。

○ リハビリテーションの標準的算定日数の起算日について、発症日とするところ、入院日又は転院日としている例が認められたので改めること。

○ リハビリテーションの標準的算定日数の起算日について、発症日とするところリハビリテーションを開始した日としている例が認められたので改めること。

○ 特掲診療料の施設基準等別表第9の8第1号に掲げる患者であって、標準的算定日数を超えて継続してリハビリテーションを行う患者について、リハビリテーション実施計画書にFIM又はBI及びその他の指標を用いた具体的な改善の状態等を示した継続の理由の記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 介護リハビリテーションの利用を予定している患者であるにもかかわらず、リハビリテーション総合計画評価料1を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 目標設定等支援・管理料について、目標設定等支援・管理シートに基づいた説明について、その内容、当該説明を患者等がどのように受け止め、どのように反応したかについて、診療録への記載が不十分な例が認められたので改めること。


10.処置

○ 皮膚科軟膏処置について、処置部位及び処置範囲の診療録への記載が不十分である例が認められたので改めること。

○ 酸素吸入について、次の不適切な例が認められたので改めること。

   診断根拠がなく呼吸不全の病名を付与し実施した酸素吸入【自主返還の対象事例】

○ ネブライザーとして算定すべきものを超音波ネブライザーとして算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 検査として算定する乳腺穿刺について、同一部位において2か所以上行った場合にも所定点数のみの算定とするところ、それぞれ算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


11.手術

○ 皮膚腫瘍冷凍凝固摘出術(直径3センチメートル以上6センチメートル未満)について、腫瘍の大きさの診療録への記載及び手術記録の記載が不十分である例が認められたので改めること。


12.病理診断

○ 病理判断料について、診療録に病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


13.入院料

○ 入院料について、急性期病院から転院による療養病床への予定入院であるにもかかわらず、外来で検査、画像診断及び投薬が算定されている例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 診療所療養病床療養環境加算について、特別の療養環境の提供に係る病室に入室しており、かつ、患者から特別の料金の徴収を行っている場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 有床診療所療養病床入院基本料B(生活療養)を算定している患者について、ADL区分に応じた有床診療所療養病床入院基本料を算定していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】



(岐阜県保険医新聞2023年1月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第5回)

 2021年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を紹介します。

14.カルテ

○ 診療録は、保険請求の根拠となるものなので、医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと。

○ 診療録への必要事項の記載について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・医師による日々の診療内容の記載が乏しい。

 ・一部の記載が鉛筆書きになっている。

 ・ 傷病手当金に係る意見書を交付した場合に、労務不能に関する意見欄への記載がない。

○ 職員に対する診療(自家診療)について、診療録への記載がない例が認められたので改めること。

○ 紙媒体の記録について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・ 複数の保険医が一人の患者の診療に当たっている場合において、署名又は記名押印が診療の都度なされていないため、診療の責任が明らかでない。

 ・記載内容が判読できない。

○ 電子的に保存している記録の管理・運用について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

 ・「 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5.1 版」に準拠していない。

 ・パスワードを適切に設定していない。

 ・ 利用者の識別・認証に用いられる情報について、本人しか知り得ない情報に保たれていない。

 ・ 他の周辺機器との時刻の同期、標準時刻との同期がされていない。


15.レセプトの記載

○ 診療報酬明細書の記載等について、主傷病名と副傷病名を区分していない例が認められたので改めること。

○ 主傷病名は原則1つとされているところ、複数の傷病を主傷病名としている例が認められたので改めること。

○ 診療報酬明細書の記載等について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・ 診療報酬明細書の負荷心電図検査の症状詳記について、ST低下ありと記載されているが、診療録にはNTと記載があるので適切に記載すること。

○ 傷病名について、持続性赤血球造血刺激因子製剤(ミルセラ注シリンジ)を投与する際に、腎性貧血の原因疾患病名が記載されていない例が認められたので改めること。


16.傷病名

○ 傷病名の内容について、左右の別の記載がない例が認められたので改めること。

 ・術後乳癌、乳腺腫瘍

○ 傷病名の内容について、実際には「疑い」の傷病名であるにもかかわらず、確定傷病名として記載している例が認められたので改めること。

○ 傷病名について次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・「うつ状態」を誤って「うつ病」と付与している。

○ 傷病名を適切に整理していない例が認められたので改めること。

 ①整理されていないため、傷病名数が多数

 ②重複して付与している、又は類似の傷病名

  ・萎縮性胃炎と慢性胃炎

  ・心不全と慢性うっ血性心不全

  ・便通異常と便秘症

  ・脳梗塞後遺症と脳梗塞・慢性期

  ・心房細動と非弁膜症性心房細動

  ・痛風性関節炎と痛風

  ・認知症とアルツハイマー型認知症

○ 傷病名の入力について、転帰の記載がない例が認められたので改めること。

○ 投薬の査定を防ぐ目的で付けられた診断根拠のない傷病名(いわゆるレセプト病名)が認められた。レセプト病名を付けて保険請求することは不適切なので改めること。

 ・ パリエット錠10 ㎎、タケプロンOD錠15 ㎎の適用外・予防投与に際して付与した胃潰瘍再発又は十二指腸潰瘍再発



(岐阜県保険医新聞2023年2月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第6回)

 2021年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を紹介します。

17.一部負担金等

○ 一部負担金の受領について、受領すべき者(従事者)から受領していない例が認められたので改めること。

○ 一部負担金の受領について、計算方法に誤りがある例が認められたので改めること。

  ・ 一部負担金の額に5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げる計算となっていない。

○ 一部負担金の受領について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

  ・ 患者から一部負担金を徴収した後に診療報酬の請求内容を変更したにもかかわらず、徴収した一部負担金が返金されていない。

○ 領収証の様式について、点数表の各部単位となっていないので改めること。

○ 一部負担金の発生しない患者(全額公費負担を除く)について、明細書を発行していない例が認められたので改めること。


18.保険外負担等

○ 療養の給付と直接関係ないサービスとは言えないものについて、患者から費用を徴収している例が認められたので改めること。

  ・三角巾、弾性包帯

  ・注射器

  ・ 医療機関が提供する在宅医療で使用する衛生材料等

○ 療養の給付とは直接関係ないサービス又は物について、当該実費に係る費用の具体的な内容が明示されていない例が認められたので改めること。

  ・床頭台維持費

○ 患者が保険給付を受けるために無償で交付するものについて、患者から費用を徴収している例が認められたので改めること。

  ・装具証明書


19.届出事項

○ 次の届出事項の変更が認められたので、速やかに東海北陸厚生局岐阜事務所に届け出ること。

  ・診療時間

  ・診療日

  ・診療科

  ・保険医の異動(転出)

  ・標榜診療科


20.掲示事項

○ 掲示事項について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

  ①保険医療機関である旨の標示がない。

  ②診療科の掲示が誤っている。

  ③診療時間の掲示が誤っている。

  ④施設基準に関する事項を掲示していない。

  ⑤施設基準に係る事項の掲示が誤っている。

  ⑥ 初診料の機能強化加算について、地域におけるかかりつけ医機能として、健康診断の結果等の健康管理に係る相談、保健・福祉サービスに関する相談、夜間・休日の問い合わせへの対応及び必要に応じた専門医又は専門医療機関への紹介を行っている医療機関であることを、当該医療機関の見やすい場所に掲示していない。

  ⑦ 時間外対応加算について、院内掲示等に記載された内容(対応者)に不備がある。

  ⑧ 時間外対応加算に係る緊急時の対応体制、連絡先等について、患者への周知がされていない。

  ⑨ 外来後発医薬品使用体制加算について、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用に積極的に取り組んでいる旨を当該保険医療機関の受付及び支払窓口の見やすい場所に掲示していない。

  ⑩ 明細書の発行状況に関する事項を掲示していない。

  ⑪ 明細書の発行状況に関する事項の掲示について、一部負担金等の支払いがない患者に関する記載がない。

  ⑫ 保険外負担に関する事項(内容及び料金等)を掲示していない。

   ・診断書、インフルエンザ予防接種、予防接種

   ・在宅医療に係る交通費、薬の郵送料


21.その他の事項

○ 診療報酬の請求に当たっては、全ての診療報酬明細書について保険医自らが診療録との突合を行い、記載事項や算定項目に誤りや不備等がないか十分に確認すること。

○ 請求事務について、診療部門と医事会計部門との十分な連携を図り、適正な保険請求に努めること。



(岐阜県保険医新聞2023年3月10日号)