2022年度診療報酬改定は、診療報酬全体で0.94%の引き下げとなりました。5回連続のネットマイナス改定です。新型コロナウイルス感染症到来前の2020 年度の本体改定率+0.55%よりも低い+ 0.43%に過ぎません。急ぐ道理も必要性もないマイナンバーカード普及には1兆8千億円もの巨額の予算を投ずる一方、コロナ禍で大きく傷ついた医療の再建・拡充には背を向ける姿勢と言わざるを得ません。
今次の診療報酬改定では、感染防止対策に係る初・再診料の加算等の特例廃止、PCR 検査等の評価引き下げに続き、小児の感染防止対策に係る特例も廃止され、全医療機関対象の感染対策評価がなくなります。コロナ禍を乗り越え、新興感染症にも十分対応できるよう、診療報酬を抜本的に引き上げるべきです。また、「リフィル処方箋」の導入、「初診からのオンライン診療」の解禁、「入院医療の評価厳格化」などが盛り込まれました。これらは、医療の質を低下させ、患者を医療から遠ざける内容である上、コロナ禍にも対応する地域医療の混乱・疲弊を進めるもので、即時撤回すべきです。また不急のマイナンバーカードありきの「電子的保健医療情報活用加算」の新設は凍結すべきです。
一方、患者さんに目を向けると、コロナ禍も加わり、経済的な理由による治療の中断や薬の飲み伸ばしなど、受診を手控える事例が多数起こっています。こうした状況で政府は、今年10 月から、「75 歳以上の医療費窓口負担2割化」を実施しようとしています。また、湿布薬や花粉症治療薬などの市販品類似薬を保険から外すことや、受診するたびに定額負担を上乗せするなど、患者負担増の具体化を狙っています。
私たちは、診療報酬の引き上げとともに、患者負担増の中止、患者窓口負担の軽減を求め、以下の事項を要望します。
記
一、 コロナ禍でも、医療従事者が、安心して働くことができ、地域で患者さんに寄り添った医療が提供できるよう、診療報酬の抜本的底上げを行うこと
① 初・再診料、入院基本料をはじめとする基本診療料を大幅に引き上げること
② 診療報酬の不合理を是正すること
・ 後発医薬品の供給が依然滞っていることから、「外来後発医薬品使用体制加算」及び「後発医薬品使用体制加算」の算定要件である使用数量割合の引き上げを中止すること
・ 顔認証付きカードリーダーの設置等がシステムベンダーの都合により遅れる場合についても、「電子的保健医療情報活用加算」を算定できるようにすること
③ 感染対策に要する費用が医療機関の持ち出しになっている状況を踏まえ、実態に即した手当てを行うこと
一、医療機関が改定に円滑に対応できるよう十分な周知対策を実施すること
一、「75歳以上の医療費窓口負担2割化」をはじめとする患者負担増の計画は中止し、患者窓口負担を軽減すること
以上決議する。
岐阜県保険医協会・医科新点数説明会 参加者一同
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