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2020年度【医科】個別指導での指摘事項
 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第1回)

 2020年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を数回にわたって掲載します。

1.初・再診料共通

(時間外加算)

◇ 時間外加算について、診療録に受診時間の記載がなく、算定の根拠が不明な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 時間外加算について、急患ではない患者について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(休日加算)

◇ 休日加算について、急病等やむを得ない理由により受診した患者以外の患者について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(夜間・早朝等加算)

◇ 夜間・早朝等加算について、受付を行った時間が不明な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


2.再診料

◇ 再診に附随する一連の行為で家族が来院したものについて、再診料(明細書発行体制等加算及び外来管理加算を含む)を算定している例が認められたので改めること。

 ・再診時に行った検査の結果のみを家族が聞きに来た場合。【自主返還の対象事例】

◇ 保険外診療のプロペシア錠の投与について、誤って保険診療として再診料(時間外対応加算2,明細書発行体制等加算及び外来管理加算を含む)を請求している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(外来管理加算)

◇ 外来管理加算について、診療録に患者からの聴取事項や診察所見の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 外来管理加算について、診療録に患者からの聴取事項や診察所見の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 外来管理加算について、簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 外来管理加算について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合であるにもかかわらず算定している。


(電話等による再診)

◇ 電話等による再診について、保険医療機関から当該患者又はその看護に当たっている者に連絡した場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 電話等による再診について、定期的な医学管理を前提としているものについて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 電話等による再診について、治療上の意見を求められて必要な指示を行った場合に該当せず、往診の依頼に関するものについて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 再診料について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・令和2年2月10日及び同月20日の電話等による再診料の算定に際して、処方箋料及び特定疾患処方管理加算2を算定している。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅時医学総合管理料が算定されている患者について、令和2年2月28日以前の電話等による再診に際して、院外処方を行っている例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(地域包括診療加算)

◇ 地域包括診療加算1について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・患者の担当医以外が診療した場合に算定している。

 ・患者が受診している医療機関を全て把握するとともに、他の医療機関で処方されているものも含め、直近の投薬内容の全てを診療録に記載していない。


過去2年間の個別指導の結果
【 2019年度 】
□ 個 別 指 導

 ・ 概ね妥当: 9件
 ・ 経過観察:21件
 ・ 再 指 導:11件

□ 新規個別指導
 ・ 概ね妥当:13件
 ・ 経過観察:10件
 ・ 再 指 導: 1件
【 2020年度 】
□ 個 別 指 導

 ・ 概ね妥当: 1件
 ・ 経過観察: 6件
 ・ 再 指 導:13件
 ・ 中 断 中: 1件

□ 新規個別指導
 ・ 概ね妥当: 7件
 ・ 経過観察:10件
 ・ 再 指 導: 2件

(岐阜県保険医新聞2021年8月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第2回)

 2020年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を数回にわたって掲載します。

3.医学管理等

(特定疾患療養管理料)

◇ 特定疾患療養管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・算定対象外である主病について算定している。

◇ 特定疾患療養管理料について、診療録に主病に対する治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 特定疾患療養管理料について、診療録に主病に対する治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(悪性腫瘍特異物質治療管理料)

◇ 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、診療録に腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(難病外来指導管理料)

◇ 難病外来指導管理料について、算定対象外である主病について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(外来栄養食事指導料)

◇ 患者の家族が来院したものについて、外来栄養食事指導料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 外来栄養食事指導料について、診療録に医師が管理栄養士に対して指示した事項の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅療養指導料)

◇ 在宅療養指導料について、診療録に看護師等への指示事項の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅療養指導料について、療養指導記録に指導の要点及び指導実施時間の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(慢性維持透析患者外来医学管理料)

◇ 慢性維持透析患者外来医学管理料について、診療録に特定の検査結果及び計画的な治療管理の要点の記載が極めて不十分な例が認められたので改めること。

◇ 慢性維持透析患者外来医学管理料について、診療録に特定の検査結果及び計画的な治療管理の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(がん性疼痛緩和指導管理料)

◇ がん性疼痛緩和指導管理料について、診療録に麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。

◇ がん性疼痛緩和指導管理料について、診療録に麻薬の処方前の疼痛の程度(疼痛の強さ、部位、性状、頻度等)、麻薬の処方後の効果判定、副作用の有無、治療計画及び指導内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(診療情報提供料(Ⅰ))

◇ 診療情報提供料(Ⅰ)について、診療情報の提供の必要性がない患者に対して、薬局の求めにより、毎月、同一文面の診療情報提供書を発行している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 診療情報提供料(Ⅰ)について、所定の項目が記載されていない様式を用いて、かつ、紹介元医療機関への受診行動を伴わない患者紹介の返事について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(診療情報連携共有料)

◇ 診療情報連携共有料として算定すべきものを誤って診療情報提供料(Ⅰ)として算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(薬剤情報提供料)

◇ 薬剤情報提供料について、診療録に薬剤情報を提供した旨の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


4.在宅医療

◇ 指定短期入所生活介護事業所の配置医師として行った診察について、再診料(時間外加算、明細書発行体制等加算及び外来管理加算を含む)及び往診料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(往診料)

◇ 往診料について、患者又は家族等患者の看護等に当たる者からの往診の求めが確認できないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 往診料について、患家からの求めがなく、かつ、定期的ないし計画的に患家に赴いて診療をしたものについて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅患者訪問診療料(Ⅰ))

◇ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、診療録に訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所の記載が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、診療録に訪問診療の計画及び診療内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、訪問診療の計画が変更された場合は診療録に適切に記載すること。

◇ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の看取り加算について、診療録に診療内容の要点等の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅ターミナルケア加算及び看取り加算について、診療録に診療内容の要点等の記載が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)について、当該患者又はその家族等の署名付の訪問診療における同意書に係る記載が不十分な例が認められたので改めること。


(在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料)

◇ 在宅時医学総合管理料について、診療録に在宅療養計画及び説明の要点等の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料について、診療録への在宅療養計画及び説明の要点等の記載が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料について、別に厚生労働大臣が定める状態の患者以外の患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅時医学総合管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供していないので留意すること。

 ・連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等に係る文書の記載内容が不十分である。

◇ 在宅時医学総合管理料の処方箋を交付しない場合の加算について、当該月に院内処方を行っていないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅時医学総合管理料の包括的支援加算について、特掲診療料の施設基準等別表第八の三に規定する状態の患者以外の患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(訪問看護指示料)

◇ 訪問看護指示料について、指定訪問看護の必要性が認められないものに対して訪問看護指示書を交付している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 訪問看護指示料について、在宅での療養を行っている患者以外の患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 訪問看護指示料について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・訪問看護指示書の指示内容の記載が不十分である。

 ・患者の状態に変化がなく、訪問看護指示書の内容が同一であるにもかかわらず連月で算定されているので、その必要性に留意すること。


(在宅療養指導管理料の全般的事項)

◇ 在宅療養指導管理料について、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項及び指導内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅療養指導管理料について、診療録に当該在宅療養を指示した根拠、指示事項及び指導内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(在宅自己注射指導管理料)

◇ 血糖自己測定器加算について、月40回以上測定する場合として算定するものを月60回以上測定する場合として算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅酸素療法指導管理料)

◇ 在宅酸素療法指導管理料について、高度慢性呼吸不全に該当しないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 呼吸同調式デマンドバルブ加算について、呼吸同調式デマンドバルブを使用していないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅酸素療法指導管理料の酸素ボンベ加算(2 1以外の酸素ボンベ)について、酸素ボンベの使用がない、又は、必要性が診療録に認められないにもかかわらず、算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅成分栄養経管栄養法指導管理料)

◇ 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料について、栄養維持のため主として栄養素の成分の明らかなもの(アミノ酸、ジペプチド又はトリペプチドを主なタンパク源として、未消化態タンパクを含まないもの)を用いていない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅自己導尿指導管理料)

◇ 在宅自己導尿指導管理料について、対象とならない患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅寝たきり患者処置指導管理料)

◇ 在宅寝たきり患者処置指導管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・在宅における創傷処置等の処置に該当しないにもかかわらず算定している。

 ・医師が患家に訪問して指導管理を行っていないにもかかわらず算定している。


(岐阜県保険医新聞2021年9月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第3回)

 2020年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を数回にわたって掲載します。

5.検査

(外来迅速検体検査加算)

◇ 外来迅速検体検査加算について、文書による情報提供を行っていないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D005 血液形態・機能検査)

◇ ヘモグロビンA1c(HbA1c)について、誤って月2回算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D007 血液化学検査)

◇ 25 -ヒドロキシビタミンDについて、適応病名がなく、必要性が認められないにもかかわらず実施している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D008 内分泌学的検査)

◇ コルチゾールについて、初診患者に対して、医学的に必要性が認められず、かつ、段階的な検査が行われていないにもかかわらず実施している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 脳性Na利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)について、慢性心不全の疑いが付与されたが、診療録に疑った根拠の記載がなく、実施の必要性が認められない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 抗IA-2抗体について、抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体(抗GAD抗体)の結果、陰性が確認された年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載していないにもかかわらず、算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D009 腫瘍マーカー)

◇ 腫瘍マーカー検査について、診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者以外の者に対して行っている例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D015 血漿蛋白免疫学的検査)

◇ 特異的IgE半定量・定量について、個々の患者の状況に応じて必要な項目を選択し、必要最小限の回数で実施すること。


(D214 脈波図、心機図、ポリグラフ検査)

◇ 血管伸展性検査として算定すべき検査について、脈波図、心機図、ポリグラフ検査(3又は4検査)であるとして、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D215 超音波検査)

◇ 超音波検査のパルスドプラ法加算について、適応病名がなく、診療録に記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 心臓超音波検査について、適応病名がなく、必要性が認められないにもかかわらず実施している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D220 呼吸心拍監視)

◇ 呼吸心拍監視について、重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者又はそのおそれのある患者以外の患者に対して実施している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D223 経皮的動脈血酸素飽和度測定)

◇ 経皮的動脈血酸素飽和度測定について、酸素吸入を行う必要のない患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 経皮的動脈血酸素飽和度測定について、検査結果の記録がないものに対して不適切に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D250 平衡機能検査)

◇ 平衡機能検査の「3 頭位及び頭位変換眼振検査」の「ロ その他の場合」について、フレンツェル眼鏡下における頭位眼振及び変換眼振検査が行われていないにもかかわらず、算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(D283 発達及び知能検査)

◇ 発達及び知能検査の「1 操作が容易なもの」について、診療録に分析結果の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


6.投薬

◇ 抗菌薬等の使用について、治療効果や薬剤感受性試験の実施を検討しないまま漫然と長時間投与しているので留意すること。

◇ ビタミン剤の投与について、ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨が具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載されていない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(特定疾患処方管理加算)

◇ 特定疾患処方管理加算1について、算定対象外である主病について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 特定疾患処方管理加算2について、算定対象となる主病に対する薬剤を処方していないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 特定疾患処方管理加算2について、算定対象となる主病に係る薬剤の処方が28日未満であるにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


7.注射

◇ ビタミン剤である注射の投与について、ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨が具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載されていない例が認められたので改めること。また、経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(岐阜県保険医新聞2021年10月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第4回)

 2020年度に実施された個別指導及び新規個別指導における主な指摘事項を数回にわたって掲載します。

8.精神科専門療法

◇ 通院精神療法について、当該診療に要した時間の診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 通院・在宅精神療法の通院精神療法について、診療録に診療の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。


9.処置

◇ 人工腎臓の障害者等加算について、糖尿病の病名のみで、頻回の処置検査がない患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 人工腎臓の下肢末梢動脈疾患指導管理加算について、慢性維持透析を実施している全ての患者に対するリスク評価が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 皮膚科軟膏処置について、診療録に実施した範囲の記載が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 基本診療料に含まれる簡単な耳垢栓塞除去について、誤って耳垢栓塞除去(複雑なもの)として算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


10.手術

◇ 鼻の皮膚切開術について、診療録に図示及び手術記録の記載が不十分な例が認められたので改めること。


11.病理診断

◇ 病理判断料について、診療録に病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


12.傷病名

◇ 傷病名の記載について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ①左右の別の記載がない。

  例)・ぶどう膜炎

 ②詳細な傷病名の記載がない。

  例)・急性脳梗塞(運動麻痺)及び脳梗塞(運動麻痺)の運動麻痺の部位及び左右の別

 ③適切に付与されていない。

  例)・閉塞性動脈硬化症を誤って閉塞性血栓血管炎と付与

     ・続発性拡張型心筋症を誤って特発性拡張型心筋症と付与

 ④ 傷病名の治癒、中止等の転帰が記載されていない。

  例)・糖尿病の疑い

 ⑤ 疑い傷病名の転帰が中止ではなく治癒となっている。

  例)・うっ血性心不全の疑い

 ⑥ 実際には「疑い」の傷病名であるにもかかわらず、確定傷病名として記載している。

  例)・心筋梗塞、貧血、脳梗塞再発

    ・心不全

    ・糖尿病

    ・巨赤芽球性貧血、腹部大動脈瘤

◇ 検査、投薬等の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠のない傷病名(いわゆるレセプト病名)が認められたので改めること。

 例)・ 精密眼底検査の実施に際して付与したぶどう膜炎

   ・ ガスターD錠の投与に際して付与した胃潰瘍

◇ 傷病名の入力について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 傷病名を診療録の傷病名欄から削除している。当該傷病に対する診療が終了した場合には、傷病名を削除するのではなく、転帰を記載すること。


13.診療録

◇ 診療録の様式について、診療の点数等に関する様式(診療録第3面)(保険医療機関及び保険医療養担当規則様式第一号(1)の3)が作成されていないので、作成及び保存すること。

◇ 診療録への必要事項の記載について、医師による日々の診療内容の記載が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 診療録は、保険請求の根拠となるものなので、医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと。

◇ 紙媒体の記録について、鉛筆で記載している例が認められたので改めること。

◇ 電子的に保存している記録の管理・運用について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

 ・「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」に準拠していない。

 ・医療機関等の内部で利用する時刻情報が同期していない。

 ・パスワードは英数字、記号を混在させた8文字以上の文字列が望ましい。

 ・パスワードの更新期限を適切に設定していない。パスワードの更新期限は最長でも2か月以内に設定すること。

 ・特定のIDを複数の職員が使用している。


14.レセプト記載

◇ 診療報酬明細書の記載等について、次の不適切な例が認められたので改めること。

 ・主傷病名と副傷病名を区別していない。

 ・主傷病名は原則1つとされているところ、複数の傷病を主傷病名としている。

 ・前月分の診療報酬明細書に記載された傷病名及び診療開始日について、当月分の診療報酬明細書に転帰を記載しておらず、当該傷病名及び診療開始日を削除している。


15.一部負担金の受領等

◇ 一部負担金の受領について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

 ・受領すべき者から受領していない。

 ・未収の一部負担金について適切に管理していない。

◇ 一部負担金等の計算記録について、適切な管理を行うこと。

◇ 領収証の明細書について、一部の患者に交付していない例が認められたので改めること。


16.保険外負担等

◇ 所定の点数に含まれるものについて、患者から徴収している例が認められたので改めること。

(請求できない材料費等)

  3Mテープ、優肌絆、キノプレス等

◇ 保険外負担等について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

 ・貸与されている薬剤の容器代に係る返金を適切に行うこと。

◇ 日に保険診療と自費診療を行う患者について、いわゆる混合診療に該当しないよう適切な運営及び明確な管理を行うこと。


17.保険外併用療養費

◇ 特別療養環境室料の取扱いについて、料金を変更する場合の東海北陸厚生局岐阜事務所への報告がない例が認められたので改めること。


(岐阜県保険医新聞2021年11月10日号)