Contents
Home 
医療情報 
会長挨拶 
保険医協会とは 
医療制度改善 
協会の主張 
診療報酬改定 
医科研究会 
歯科研究会 
その他の行事 
書籍のご案内 
役員一覧 
事務所ご案内 

令和2年度【歯科】個別指導での指摘事項
   【歯科】 個別指導での指摘事項 (第1回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

1 診療録等

【 診療録 】

○ 診療録は保険請求の根拠となるものであり、歯科医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと(特に、症状、所見、治療計画等について記載内容の充実を図ること)。

○ 診療録の整備及び保管状況について不備な例が認められたので改めること。

 ・ 診療録が散逸しないように適切に編綴すること。

○ レセプトコンピュータ等OA機器により作成した診療録の記載方法、記載内容について、診療を行った保険医が署名又は記名押印を行っていない例が認められたので、適切に診療録を作成すること。

○ 診療録の記載方法、記載内容について、診療行為の手順と異なった記載がある例が認められたので改めること。

○ 診療録の記載方法、記載内容に次の例が認められたので、適切に記載すること。

 ・ 療法・処置欄への1行に対し複数行の記載がある。

 ・ 月日の欄に部位に係る記載がある。

 ・ 欄外への記載がある。

 ・ 点数の欄に療法・処置に係る記載がある。

 ・ 行間を空けた記載がある。

○ 診療録第1面(療担規則様式第一号(二)の1)の記載内容について、傷病名を適切に整理していない例が認められたので改めること。

 ・ 傷病名の付与

   ≫ Cと単Pulの相違

   ≫ 舌炎と舌痛症の相違

○ 診療録第1面(療担規則様式第一号(二)の1)の記載内容(部位、傷病名、開始年月日、終了年月日、転帰、主訴)について、記載がない例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

○ 診療録第1面(療担規則様式第一号(二)の1)の記載内容に傷病名(P、C)の略称を使用しており、病態に係る記載がない例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

○ 診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載内容(症状、所見、処置内容)について、記載がない例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

○ 診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載内容(症状、所見、部位、処置内容、指導内容、検査結果及び材料名)について、記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載方法、記載内容に次の例が認められたので、適切に記載すること。

 ・ 療法・処置欄への1行に対し複数行(2行)の記載が多数ある。

 ・ 判読困難な記載がある。

 ・ 症状及び所見について記載が不十分である。

○ 診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載内容(処置(投薬)を行う際の症状、所見)について、記載が不十分な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。


【 歯科技工指示書 】

○ 歯科技工指示書に記載すべき内容(発行した歯科医師の氏名)に不備が認められたので改めること。

○ 歯科技工指示書に記載すべき内容(発行した歯科医師の勤務する診療所の所在地)に不備が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。


令和2年度の個別指導結果
■個別指導…概ね妥当:1件、経過観察:5件、再指導:3件
■新規個別指導…概ね妥当:8件、経過観察:13件、再指導:1件

(岐阜県保険医新聞2021年7月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第2回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

2 医学管理等

【 歯科疾患管理料 】

○ 算定要件を満たしていない歯科疾患管理料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 継続的管理を行っていない。

○ 歯科疾患管理料の算定に当たっては、継続的管理を必要とする歯科疾患を有する患者に対して、口腔を一単位としてとらえ、患者との協働により行う口腔管理に加えて、病状が改善した疾患等の再発防止及び重症化予防を評価したものである旨を踏まえること。

○ 明らかに1回で治療が終了し、歯科疾患と関連性のある生活習慣の状況や生活習慣の改善目標等を踏まえた継続的管理が行われていない場合に、算定できない歯科疾患管理料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

○ 長期管理加算を初めて算定する場合にあっては、患者の治療経過及び口腔の状態を踏まえた今後の口腔管理に当たって特に留意すべき事項について患者等に説明するとともに、その要点を診療録に記載すること。


【 文書提供加算 】

○ 文書提供加算に係る提供文書に記載すべき次の内容について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 患者の基本状況(基礎疾患)<初回用>


【 歯科衛生実地指導料 】

○ 診療録に記載された内容(歯科衛生士に行った指示内容等の要点)が、患者の口腔内の状態に合致しておらず、歯科医学的に妥当適切な実地指導が行われていないものについて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

○ 情報提供文書に記載すべき指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)について、画一的に記載している例が認められたので改めること。

○ 診療録に記載すべき内容(歯科衛生士に行った指示内容等の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 情報提供文書に記載すべき内容(指導を行った歯科衛生士の氏名)について、記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。

○ 算定要件を満たしていない歯科衛生実地指導料1を算定している次の例が散見されたので改めること。【自主返還の対象】

○ 歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載していない。


【 診療情報提供料(I) 】

○ 治療の可否に関する問い合わせについて、診療情報提供料(Ⅰ)を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


【 歯科特定疾患療養管理料 】

○ 算定要件を満たしていない歯科特定疾患療養管理料を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 治療計画に基づき、服薬、栄養等の療養上の指導を行っていない。


【 新製有床義歯管理料 】

○ 情報提供文書に記載すべき内容(欠損の状態)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


【 歯科治療時医療管理料 】

○ 歯科治療時医療管理料について、患者の血圧、脈拍及び経皮的動脈血酸素飽和度の経時的な監視が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 診療録に記載すべき内容(患者の全身状態の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


【 薬剤情報提供料 】

○ 情報提供文書に記載すべき内容(用法・用量)について、記載の不十分な例が認められたので改めること。


(岐阜県保険医新聞2021年8月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第3回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

3 在宅医療

【 歯科訪問診療料 】

○ 算定要件を満たしていない歯科訪問診療料を算定している例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ 診療録及び診療報酬明細書に記載すべき内容(実施時刻(開始時刻と終了時刻))について実態と異なる。

 ・ 第1回目の歯科訪問診療の際に、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定めていない。

 ・ 歯科訪問診療の2回目以降に計画の変更を行った場合に、変更の要点を診療録に記載していない。

 ・ 歯科訪問診療の際の患者の状態等(急変時の対応の要点を含む)を診療録に記載していない。

○ 診療録に記載すべき内容について、画一的に記載している例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・ 歯科訪問診療の際の患者の状況等(急変時の対応の要点を含む)

○ 歯科訪問診療を行う際は、患者の状態、必要性を考慮した上で選択すること。

○ 歯科訪問診療の必要性が認められないもの(口腔ケアのみを行っているもの)に対して算定している。 【自主返還の対象】

○ 診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・ 歯科訪問診療の際の患者の状況等(急変時の対応の要点を含む)


【 歯科訪問診療補助加算 】

○ 算定要件を満たしていない歯科訪問診療補助加算を算定している例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ 歯科衛生士以外の者が歯科医師と同行の上、歯科訪問診療の補助を行った場合に算定している。


【 歯科診療特別対応加算 】

○ 算定要件を満たしていない歯科診療特別対応加算を算定している例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ 著しく歯科診療が困難な者に該当していない。

○ 必要性が認められないものに対して歯科診療特別対応加算を算定している例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

○ 歯科診療特別対応加算に係る診療録に記載すべき内容(算定した日の患者の状態)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の患者の状態に応じて適切に記載すること。


【 訪問歯科衛生指導料 】

○ 算定要件を満たしていない訪問歯科衛生指導料を算定している例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ 情報提供文書に記載すべき内容(指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻))が実態と異なる。

 ・ 実地指導内容が単なる日常的口腔清掃等のみである。

 ・ 同日に行われた歯科訪問診療の前に実施している。

 ・ 歯科衛生士等に指示した内容を診療録に記載していない。

○ 情報提供文書に記載すべき内容(実地指導を行った歯科衛生士等の氏名)について、記載の不十分な例が認められたので改めること。

○ 診療録に記載すべき内容(指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻))について、記載の不備な例が認められたので、適切に記載すること。

○ 診療録に記載すべき内容(歯科衛生士等に指示した内容)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


4 検査

【 歯周基本検査 】

○ 歯周基本検査における歯の動揺度の検査結果について、診療録に添付した記録の記載に不備な例が認められたので、適切に記載すること。

○ P急発時に歯周基本検査を実施している例が認められたので、実施に当たっては患者の口腔内の状態を考慮し、歯科医学的に妥当適切に行うこと。

○ 算定要件を満たしていない歯周基本検査を算定している例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ 必要な検査のうち、歯の動揺度の結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない。


【 混合歯列期歯周病検査 】

○ 算定要件を満たしていない混合歯列期歯周病検査を算定している例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ 必要な検査(プラークチャートを用いたプラークの付着状況、プロービング時の出血の有無)を実施していない。


5 画像診断

【 診断料 】

○ 歯科エックス線撮影を行った場合に、診療録に記載すべき内容(写真診断に係る必要な所見)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 歯科パノラマ断層撮影を行った場合に、診療録に記載すべき内容(写真診断に係る必要な所見)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


6 投薬

○ 診療内容からみて、必要性が認められない投薬が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ P急発時に歯周基本検査を実施したものに対して投与されたメイアクトMS錠


7 リハビリ

【 摂食機能療法 】

○ 算定要件を満たしていない摂食機能療法を算定している例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ 診療計画書を作成していない。


【 歯科口腔リハビリテーション料1 】

○ 診療録に記載すべき内容(調整方法及び調整部位又は指導の要点)について、記載の不十分な例が認められたので改めること。

○ 歯科ロ腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している場合に診療録に記載すべき内容(調整方法及び調整部位)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 算定要件を満たしていない歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している次の例が認められたので改めること。 【自主返還の対象】

 ・ 調整方法及び調整部位又は指導内容の要点を診療録に記載していない。


(岐阜県保険医新聞2021年9月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第4回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

8 歯周治療

(診断等)

◇ 歯周治療の実施に当たっては、「歯周病の治療に関する基本的な考え方」(令和2年3月 日本歯科医学会)を参考に適切な治療を行うこと。

◇ 補綴治療後に歯周治療を行っている不適切な例が認められたので改めること。

◇ 歯周病に係る症状、所見等の診療録への記載が不十分であり、診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。

◇ 歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後又は治癒後に行うことが望ましいため、歯周治療後の歯周病検査、画像診断等による症状確認を行ったうえ、補綴治療を開始すること。


(歯周疾患処置)

◇ 算定要件を満たしていない歯周疾患処置を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 歯周疾患による急性症状時に症状の緩解の目的で特定薬剤を歯周ポケットに注入する場合に該当していない。


(歯周病安定期治療(Ⅰ))

◇ 算定要件を満たしていない歯周病安定期治療(Ⅰ)を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 歯周病安定期治療の開始に当たって、歯周病検査の結果の要点や当該治療方針等についての管理計画書を作成していない。


(歯周病安定期治療(Ⅱ))

◇ 管理計画書に記載すべき次の内容について、画一的に記載している例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・歯周病検査の結果の要点

 ・歯周病安定期治療の治療方針

◇ 管理計画書の内容について、記載の不十分な例が認められたので改めること。

◇ 算定要件を満たしていない歯周病安定期治療(Ⅱ)を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 歯周病安定期治療の開始に当たって、歯周精密検査を行っていない。

 ・ 歯周病安定期治療の開始に当たって患者又はその家族等に提供した管理計画書について、歯周病検査の結果の要点や当該治療方針等を記載していない。


(歯周病重症化予防治療)

◇ 算定要件を満たしていない歯周病重症化予防治療を算定している次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 歯周病重症化予防治療の開始に当たって患者又はその家族等に提供した管理計画書について、歯周病検査の結果の要点や当該治療方針等を記載していない。


9 処置

(う蝕処置)

◇ 所定点数に含まれ別に算定できない支台築造と一連で同一歯に行ったう蝕処置の費用を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


(加圧根管充填処置)

◇ 算定要件を満たしていない加圧根管充填処置を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・気密な根管充填を行っていない。

 ・複数の根管を有する歯において、一部の根管で気密な根管充填を行っていない。

 ・緊密な根管充填を行っていない。


(口腔内装置)

◇ 口腔内装置の製作方法と使用材料名について、診療録に記載していない例が認められたので、適切に記載すること。

◇ 顎関節症に対して、口腔内装置を用いた治療を行っている場合における症状、所見等について、診療録に記載していない例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


(有床義歯床下粘膜調整処置)

◇ 算定要件を満たしていない有床義歯床下粘膜調整処置を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 旧義歯が不適合で義歯の床裏装や再製が必要とされる場合以外である。

 ・ 義歯の床裏装や新製に着手した日以後に実施している。

◇ 有床義歯床下粘膜調整処置を行った際には、症状、所見を診療録に記載すること。


(歯冠修復物又は補綴物の除去)

◇ メタルコアの除去により「3 著しく困難なもの」を算定する場合は、歯根の3分の1以上のポストを有するものであることの確認を適切に行うこと。

◇ 算定要件を満たしていない歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 歯根の3分の1以上のポストを有するメタルコアではない。


(歯内療法)

◇ 抜歯を前提とした歯内療法

 ・ 抜歯を前提とした急性症状の消退のための根管拡大等に係る症状、所見、治療内容について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


(抜歯を前提とした歯内療法)

◇ 抜歯を前提とした急性症状の消退のための根管拡大等について、単根管以外の感染根管処置の所定点数を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


(岐阜県保険医新聞2021年10月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第5回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

10 手術

(手術に伴う処置の費用)

◇ 手術当日に行われた手術に伴う処置の費用は手術の所定点数に含まれるにもかかわらず、誤って別に算定している例が認められたので改めること。

 ・ 口腔内消炎手術に伴って咬合調整を算定している。【自主返還の対象】


(抜歯手術)

◇ 抜歯手術における所見について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


(口腔内消炎手術)

◇ 診療録に記載すべき内容(症状及び手術内容の要点)について、記載の不十分な例が認められたので改めること。


(歯根嚢胞摘出手術)

◇ 歯根嚢胞の大きさが歯冠大に満たない場合に、算定できない歯根嚢胞摘出手術(「1 歯冠大のもの」)を算定している例が認められたので、改めること。【自主返還の対象】

◇ 歯根嚢胞の大きさが拇指頭大に満たない場合に、歯根嚢胞摘出術「1 歯冠大のもの」として算定すべきものを歯根嚢胞摘出術(「2 拇指頭大のもの」)で算定している例が認められたので、改めること。【自主返還の対象】


(岐阜県保険医新聞2021年11月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第6回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

11 歯冠修復欠損補綴

◇補綴時診断料

 ・ 診療録に記載すべき内容(製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 算定要件を満たしていない補綴時診断料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 製作を予定する部位、欠損部の状態、欠損補綴物の名称及び設計等についての要点を診療録に記載していない。

◇有床義歯

 ・ 残根歯に対して、適切な歯内療法及び根面被覆処置を行わずに残根上義歯を製作している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 線鉤(「2 二腕鉤(レストつき)」)について、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

 ・ 鋳造鉤の「1 双子鉤」(鋳造用コバルトクロム合金 犬歯・小臼歯)について、「2 二腕鉤」(金銀パラジウム合金(金12%以上)犬歯・小臼歯)で誤って算定している例が認められたので、改めること。【自主返還の対象】

 ・ 残根上の義歯の装着については、適切な歯内療法及び根面被覆処置を行った場合に認められるものであり、高齢者で根管が閉鎖して歯内療法が困難な場合等、やむを得ず残根歯に対して、歯内療法及び根面被覆処置が完了できなかった場合に義歯を製作した際に、その理由について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

◇有床義歯修理

 ・ 診療録に記載すべき内容(修理内容の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・ 有床義歯修理を行った日以降に、誤って仮床試適の費用を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】

◇ブリッジ

 ・ 一装置のブリッジであるにもかかわらず、単冠とブリッジとに分けて誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象】


12 保険外診療

◇ 保険診療と保険外診療を同日に行っている例が認められ、保険外診療の費用と保険診療の費用が混在し、患者が確認しづらい状況が構築されていた。保険診療と保険外診療の費用を別々に求める等、患者が理解しやすいよう保険診療と保険外診療の峻別を図ること。


Ⅱ 請求事務等に関する事項

1.掲示・届出事項等

◇掲示事項

 ・ 明細書発行に関する状況に係る院内掲示について、一部負担金等の支払いがない患者に関する記載がないので改めること。

 ・ 次の施設基準等について院内掲示を行っていないので改めること。

  ・CAD/CAM冠

  ・歯周組織再生誘導手術

  ・口腔粘膜血管腫凝固術

  ・歯科訪問診療料の注13 に規定する基準

 ・ 次の保険外併用療養費の療養の内容及び費用に関して、掲示が誤っている事項が認められたので、速やかに適切な掲示をすること。

  ・金属床による総義歯の提供

 ・初診料の注1

  ・ 院内感染防止対策を実施している旨の院内掲示が当該保険医療機関の見やすい場所に掲示されていないので、適切に掲示すること。

 ・歯科外来診療環境体制加算1

  ・ 緊急時における連携保険医療機関との連携方法やその対応等、歯科診療に係る医療安全管理対策を実施している旨の院内掲示が不十分であるので、適切に掲示すること。

◇ 次の届出事項について、変更が認められたので速やかに東海北陸厚生局長あて届け出ること。

 ・ う蝕に罹患している患者の指導管理に係る小窩裂溝填塞の価格

 ・保険医の異動

◇ 次の保険外併用療養費に係る報告事項について、変更の報告をしていなかったので速やかに東海北陸厚生局長あて報告すること。

 ・金属床による総義歯に係る費用

 ・ う蝕に罹患している患者の指導管理に係るフッ化物局所応用の費用


2.総論的事項

◇一部負担金等

 ・ 未収の一部負担金の管理が不十分な例が認められたので改めること。

◇診療報酬請求

 ・ 診療録と診療報酬明細書において、部位や傷病名について一致しない例が認められたので、十分に照合、確認を行うこと。

◇診療報酬明細書の記載

 ・ 歯科訪問診療料を算定した場合、「摘要」欄に歯科訪問診療を行った実施時刻(開始時刻と終了時刻)を記載すること。

 ・ 診療報酬明細書の記載等について、次の不備な例が認められたので適切に記載すること。

  ・ 薬剤名、規格単位(%又はmg等)及び投与量を「摘要」欄に記載していない。

  ・ 摘要欄の機械的歯面清掃処置に係る記載について、内容が不備である又は請求とは関連の無い事項を記載している。

 ・ 診療報酬の請求に当たっては、審査支払機関への提出前に必ず主治医自らが診療録と照合し、診療報酬明細書の記載事項に誤りや不備がないか確認すること。


3.その他

◇ 保険診療に関する諸規則や算定要件等の理解が十分でないことから、開設者、管理者、保険医として備えるべき知識の修得に努めること。


Ⅲ その他

◇歯科技工物

 ・歯科技工物については、材料(金銀パラジウム)の使用状況を適切に把握すること。


(岐阜県保険医新聞2021年12月10日号)