協会は、行政文書開示請求により東海北陸厚生局岐阜事務所から「2018年度に実施された適時調査における指摘事項」を入手したので、主なものを掲載します。 |
1.基本診療料に関する事項
(入院診療計画の基準)
○入院診療計画書における別紙2の記載について不十分な例が認められたので改めること。
○入院診療計画書について、患者の入院日から起算して、7日以内に記載できていない例が見受けられたので、改めること。
(医療安全管理体制の基準)
○医療安全管理のための医療事故等の院内報告制度について、院内で発生したインシデント等が報告され、その分析を通した改善策が実施される体制を整備すること。
○安全管理体制確保のための職員研修が一部の職員のみを対象としているので、全職員を対象とし、安全管理のための基本的な考え方及び具体的方策について周知徹底を図ること。
○安全管理の体制確保における職員研修の参加率が低いため、全職員が参加するよう工夫すること。
(褥瘡対策の基準)
○褥瘡対策について、褥瘡対策に関する診療計画書の様式に「皮膚の脆弱性(スキンテアの保有、既往)」の欄がないため、様式を改め、活用すること。
(栄養管理体制の基準)
○特別な栄養管理が必要とされる患者について作成される栄養管理計画書について、適切に作成すること。
○栄養管理体制の基準について、栄養管理を行う体制は整備され、多職種による栄養管理は行われているが、栄養管理手順(栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、定期的な評価等)が作成されていないので、早急に作成すること。
(入院患者数の計算)
○1日平均入院患者数の計上誤りが見受けられたので、正しく計上をした上で、毎月の人員配置基準の確認、検証を適切に行うこと。
○平均入院患者数について、届出時の直近1年間の延入院患者数を延日数で除して得た数とし、小数点以下は切り上げること。
(様式9の作成)
○一般病棟入院基本料等について、当該病棟に勤務する看護要員の人員配置基準の確認、検証のために使用している入院基本料の届出添付書類(様式9)に看護要員の勤務実績等が正確に計上されていない例が見受けられたので、病棟において実際に勤務した時間を正しく計上したうえで、毎月の人員配置基準の確認、検証を適切に行うこと。
(勤務実績表の作成)
○看護要員の勤務実績表について、複数の看護単位が1つにまとめられているので、看護単位ごとに勤務実績表を作成すること。
(病棟管理日誌の作成)
○病棟管理日誌と勤務実績表が相違している例が見受けられたので、看護管理に適正を期すること。
○病棟管理日誌について、看護要員の勤務状況のうち資格種別が記載されていない例が見受けられたので、記載すること。
(看護要員数の算出)
○看護要員の数を算出するにあたり、実際に病棟で入院患者の看護にあたっていない研修時間等が勤務時間として計上されている例が見受けられたので、当該勤務時間を除いて計算すること。
(看護補助者の業務範囲)
○看護補助者の業務範囲について、「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」(平成19年12月28日医政発第1228001号)にある、「2 役割分担の具体例 (1)医師、看護師等の医療関係職と事務職員等との役割分担」に基づく院内規程を定めており、個別の業務内容を文書で整備していること。
2.入院基本料等加算に関する事項
(A214 看護補助加算)
○看護補助加算について、看護職員と看護補助者との業務内容及び業務範囲について、年1回以上見直しを行うことが必要なところ、1年を超過している例が見受けられたので、改めること。
(A234 医療安全対策加算)
○医療安全対策加算の医療安全管理部門が行う業務について、各部門における医療安全対策の実施状況の評価に基づき、医療安全確保のための業務改善計画書を作成し、それに基づく医療安全対策の実施状況及び評価結果を適切に記録すること。
(A234-2 感染防止対策加算)
○感染防止対策加算2について、感染防止に係る部門(感染防止対策部門)の設置はされているものの、病院の組織上、明確に規定されていないので、設置規程、業務指針等において明文化しておくこと。
○感染防止対策加算について、感染制御チームにより、職員を対象として、少なくとも年2回程度、定期的に院内感染対策に関わる研修を適切に行うこと。
(A247 認知症ケア加算)
○認知症ケア加算2について、原則として、全ての病棟(小児科など身体疾患を有する認知症患者が入院しない病棟及び精神病床は除く。)に、認知症患者のアセスメントや看護方法等に係る適切な研修を受けた看護師を複数名配置することが必要とされているが、1名しか看護師が配置されていない病棟が確認されたため、平成30年5月1日に遡って届出の辞退をすること。【自主返還の対象事例】
3.特掲診療料に関する事項
(呼吸器リハビリテーション料)
○呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)におけるカンファレンスについて、適切に記録すること。
(下肢末梢動脈疾患指導管理加算)
○下肢末梢動脈疾患指導管理加算について、専門的な治療体制を有している医療機関の名称について、院内掲示を適切に行うこと。
(輸血適正使用加算)
○輸血適正使用加算について、輸血管理料Ⅱを算定する保険医療機関において、以下の値を満たしていないため、辞退届を提出すること。【自主返還の対象事例】
※新鮮凍結血漿(FFP)の使用量を赤血球濃厚液(MAP)の使用量で除した値が0.27未満であり、かつ、アルブミン製剤の使用量を赤血球濃厚液(MAP)の使用量で除した値が2未満である。
4.掲示事項に関する事項
○掲示事項について、適切に掲示すること。
(例)・明細書の発行に関する事項
○名称が誤っていたので適切に掲示すること。
(例)
・新生児特定集中治療管理料2→新生児特定集中治療室管理料2
・新生児治療回復入院医療管理料→新生児治療回復室入院医療管理料
・心大血管リハビリテーション料(Ⅰ)→心大血管疾患リハビリテーション料(Ⅰ)
・入院時食堂療養(Ⅰ)→入院時食事療養(Ⅰ)
・がん患者指導管理料1、2、3→がん患者指導管理料イ、ロ、ハ
・医療機器安全管理1→医療機器安全管理料1
○各勤務帯それぞれで、1人の看護要員が実際に受け持っている入院患者数を各病棟の見やすい場所に掲示すること。
5.その他事項
○保険外負担について、費用徴収に当たり、同意の確認を文書により行うこと。
○勤務医師に変更があったときは、その都度変更の届出を行うこと。
○入院時食事療養(Ⅰ)について、食事療養部門の指導者(責任者)が変更になった場合は、その都度届出を行うこと。
指摘事項をお送りします “2018年度に実施された適時調査における指摘事項”の全文が必要な方は協会事務局までご連絡ください(TEL 058-267-0711)。 |
(岐阜県保険医新聞2019年12月10日号)
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