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2018年度【医科】個別指導での指摘事項
 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第1回)

 2018年度に行われた個別指導、新規個別指導について主な指摘事項を数回にわたって紹介します。

1.初・再診料

(外来管理加算)

◇ 外来管理加算について、診療録に患者からの聴取事項の記載が乏しい例が認められたので改めること。

◇ 外来管理加算について、診療録に患者からの聴取事項や診察所見の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 外来管理加算について、理解が誤っている次の例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・処置を行っている場合に、外来管理加算を算定している。

◇ 外来管理加算について、看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を処方した場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(地域包括診療加算)

◇ 地域包括診療加算について、患者に処方されている、他医療機関から処方されているものも含めた全ての医薬品を管理していることを診療録に記載していない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


2.医学管理等

(特定疾患療養管理料)

◇ 特定疾患療養管理料について、算定対象外である主病について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 特定疾患療養管理料について、診療録に主病に対する治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 特定疾患療養管理料について、診療録に主病に対する治療計画に基づいた療養上の管理内容の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。

◇ 特定疾患療養管理料について、別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする者に対し、実際に主病を中心とした療養上必要な管理が行われていない場合又は実体的に主病に対する治療が当該保険医療機関では行われていない場合には算定できないことに留意すること。

◇ 特定疾患療養管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・初診の日から1カ月を経過していない日に算定している。


(特定薬剤治療管理料)

◇ 特定薬剤治療管理料について、診療録に薬剤の血中濃度及び治療計画の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(悪性腫瘍特異物質治療管理料)

◇ 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、診療録に腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(難病外来指導管理料)

◇ 難病外来指導管理料について、診療録に主病に対する診療計画及び診療内容の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。


(皮膚科特定疾患指導管理料)

◇ 皮膚科特定疾患指導管理料について、皮膚科又は皮膚泌尿器科を専任する医師が指導管理を行った場合に限り算定するものであり、他の診療科を併せて担当している場合にあっては算定できないことに留意すること。

◇ 皮膚科特定疾患指導管理料について、診療録に指導内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(心臓ペースメーカー指導管理料)

◇ 心臓ペースメーカー指導管理料について、ペースメーカー等の機能指標の計測を行っていないものについて算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料)

◇ 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料について、診療録に診療計画の記載が不十分な例が認められたので改めること。


(小児科外来診療料)

◇ 小児科外来診療料について、再診時として算定すべきものを初診時として算定し、あわせて小児抗菌薬適正使用支援加算を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(乳幼児育児栄養指導管理料)

◇ 乳幼児育児栄養指導管理料について、診療録に育児、栄養その他療養上必要な指導を行った要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(肺血栓塞栓症予防管理料)

◇ 肺血栓塞栓症予防管理料について、肺血栓塞栓症を発症する危険性について評価が不十分な例が認められたので改めること。


(診療情報提供料(Ⅰ))

◇ 診療情報提供料(Ⅰ)について、交付した文書の項目に空欄が認められたので改めること。


過去2年間の個別指導の結果
【 2017年度 】
□ 個 別 指 導

 ・ 概ね妥当: 2件
 ・ 経過観察:12件
 ・ 再 指 導: 4件

□ 新規個別指導
 ・ 概ね妥当: 6件
 ・ 経過観察:17件
 ・ 再 指 導: 2件
【 2018年度 】
□ 個 別 指 導

 ・ 概ね妥当: 7件
 ・ 経過観察:24件
 ・ 再 指 導: 5件
 ・ 中 断 中: 1件
□ 新規個別指導
 ・ 概ね妥当:13件
 ・ 経過観察:12件
 ・ 再 指 導: 1件

(岐阜県保険医新聞2019年8月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第2回)

 2018年度に行われた個別指導、新規個別指導について主な指摘事項を数回にわたって紹介します。

3.在宅医療

(往診料)

◇ 往診料は、患者又は家族等患者の看護等に当たる者が、保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合に算定できるものであることに留意すること。

◇ 往診料について、患者の病状変化に関する診療録の記載が乏しい例が認められたので改めること。

◇ 往診料について、患者の病状変化がなく往診の必要がないにもかかわらず、定期処方するために診療した例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅患者訪問診療料)

◇ 在宅患者訪問診療料について、定期的ないし計画的に患家に赴いて診療をしたもの以外に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅患者訪問診療料について、診療録に診療時間の記載が不十分な例が多数認められたので改めること。

◇ 在宅患者訪問診療料について、診療録に診療時間(開始時刻及び終了時刻)の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅患者訪問診療料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・患者又はその家族等の署名付きの訪問診療に係る同意書を作成していない。


(在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料)

◇ 在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料に係る処方箋無交付加算について、院内処方が無いにもかかわらず、誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅移行早期加算について、在宅医療に移行後、1年を経過した患者について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅患者訪問看護・指導料)

◇ 在宅患者訪問看護・指導料について、診療録に保健師、助産師、看護師又は准看護師に行った指示内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅患者訪問看護・指導料又は同一建物居住者訪問看護・指導料を算定する場合において、日々の訪問看護指導を実施した患者氏名、訪問場所、訪問時間(開始時刻及び終了時刻)および訪問人数等について記録・保管を的確に行うよう留意すること。


(訪問看護指示料)

◇ 訪問看護指示料について、緊急時の連絡先・不在時の対応法・特記すべき留意事項の欄に記入漏れが認められたので改めること。


(在宅療養指導管理料)

◇ 在宅療養指導管理料について、診療録に指導内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(在宅自己注射指導管理料)

◇ 在宅自己注射指導管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・在宅自己注射の導入前に、入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行っていない。

◇ 在宅自己注射指導管理料を算定している患者に対し、注射薬のみを処方箋で交付した場合に、誤って処方箋料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 血糖自己測定器加算について、個々の患者の状態に応じて診療上必要があると認められる範囲で、血糖測定の指示をすること。また、指示した回数を下回る回数で血糖測定が行われている場合は、患者に対して適確な指導を行い、指示内容を達成させるよう努めること。


(在宅酸素療法指導管理料)

◇ 在宅酸素療法指導管理料(その他の場合)について、算定対象とならない患者に対して算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 (例)急性呼吸不全の患者、動脈血酸素濃度が適応外の患者


(在宅自己導尿指導管理料)

◇ 在宅自己導尿指導管理料について、患者自らが実施する排尿法以外の場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


4.検査

◇ 医学的に必要性が乏しい例が認められたので改めること。保険診療における各種の検査は、診療上必要であると認められる範囲で段階的に必要最小限に施行されるべきであることに留意すること。


(呼吸心拍監視)

◇ 呼吸心拍監視について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ・診療録に観察した呼吸曲線、心電曲線、心拍数のそれぞれの観察結果の要点の記載がない例が認められた。

 ・診療録の症状記載から、重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者、又はそのおそれのある患者であることがわからない患者に対して実施している。


(岐阜県保険医新聞2019年9月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第3回)

 2018年度に行われた個別指導、新規個別指導について主な指摘事項を数回にわたって紹介します。

5.画像診断

◇ 画像診断管理加算1について、地方厚生(支)局長に届け出た専ら画像診断を担当する常勤の医師以外が読影及び診断をしている例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


6.投薬

◇ 特定疾患処方管理加算について、算定対象の疾患が主病でない患者について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 一般名処方加算について、診療録に一般的名称で処方が行われたことの何らかの記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

◇ 在宅患者の薬剤の取扱いについて、院外処方の取扱いをしているにもかかわらず、患者に処方せんを交付していない不適切な例が認められたので改めること。


7.投薬・注射

◇ ビタミン剤の投与について、使用の必要性かつ有効性について考慮した上で、ビタミン剤に係る薬剤料を算定する場合は、当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨を具体的に診療録及び診療報酬明細書に記載するよう留意すること。

◇ 経口投与が可能であるものについて、注射により薬剤を投与している例が認められたので改めること。注射については、経口投与することができないとき、経口投与による治療の効果を期待することができないとき、特に迅速な治療をする必要があるとき、その他注射によらなければ治療の効果を得ることが困難であるとき等、使用の必要性について考慮した上で行うこと。【自主返還の対象事例】


8.リハビリテーション


(リハビリテーション総合計画評価料)

◇リハビリテーション総合計画評価料について、リハビリテーション総合実施計画書に基づいて行ったリハビリテーションの効果、実施方法等について多職種が共同して評価を行っていない場合に算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


9.精神科専門療法

(通院・在宅精神療法)

◇ 通院精神療法について、当該診療に要した時間の診療録への記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(精神科継続外来支援・指導料)

◇ 精神科継続外来支援・指導料について、診療録に支援・指導の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


10.処置

◇ 皮膚科軟膏処置について、診療録に処置部位やそれぞれの処置範囲の記載が不十分である例が認められたので改めること。


11.病理診断

◇ 病理判断料について、診療録に病理学的検査の結果に基づく病理判断の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


12.診療録

◇ 診療録について、保険診療の診療録と保険外診療(自由診療、予防接種、健康診断等)の診療録とを区分して管理していないので改めること。

◇ 診療録は、保険請求の根拠となるものなので、医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと。

◇ 電子的に保存している記録について、最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」に準拠した運用管理規程に則して適切な運用がされていないので改めること。

 ・パスワードの有効期限が2か月以内の設定となっていない。

 ・利用者IDを個別に付与していない。

 ・特定のIDを複数の職員が使用している。(個々の使用者にIDを発行し、職種にあった権限の付与を行うこと)

 ・電子カルテシステムを使用する従事者がいる場合、医療従事者・関係職種ごとに範囲を定めたアクセス権限となっていない。

 ・他の周辺機器及び標準時との時刻の同期がされていない。

 ・システム操作業務日誌を備えていない。


13.診療報酬明細書

◇ 傷病名について、主傷病と副傷病の区分が不十分な例が認められたので改めること。

◇ 医学的な診断根拠が乏しい傷病名(「疑い」の傷病名)が認められたので改めること。診療報酬明細書の請求内容を説明する上で傷病名のみでは不十分と考えられる場合には、摘要欄に記載するか、別に症状詳記(病状説明)を作成し診療報酬明細書に添付すること。


14.一部負担金

◇ 一部負担金の受領について、正しく受領していない多数の例が認められたので改めること。

◇ 一部負担金の受領について、端数処理で計算誤りが認められたので改めること。

◇ 一部負担金の受領について従業員から受領していない例が認められたので改めること。

◇ 未収の一部負担金について、納入督促を行い一部負担金の受領が確実なものとなるよう留意すること。


(岐阜県保険医新聞2019年10月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第4回)

 2018年度に行われた個別指導、新規個別指導について主な指摘事項を数回にわたって紹介します。

15.保険外負担

◇ 療養の給付とは直接関係ないサービスとはいえないものについて患者から費用を徴収している例が認められたので改めること。

 ・(例)三角巾、膝サポーター

 ・(例)衛生材料代、一包化した場合の分包紙代

◇ 保険外負担等について、実費徴収(病衣・消耗品等代金)に当たって患者、家族に十分な説明を行ったうえで同意を得ていない例が認められたので改めること。(徴収に係るサービスの内容及び料金を明示した文書への署名、他の費用と区分した領収証の発行)

◇ 再使用できる薬剤の容器代について、返還した場合に当該実費を返還していない例が認められたので改めること。

◇ 保険医療材料等について、所定の点数に含まれるもの・保険請求が認められていないもの(患者に請求できない材料費等)があることを踏まえ、療養上妥当適切な費用徴収に留意すること。


16.届出事項

◇標榜科の届出について、東海北陸厚生局岐阜事務所に変更の届出がされていないので速やかに届け出ること。なお、届出にあたっては医療法上届け出ている標榜科を届け出ること。

◇ 診療時間の変更について、東海北陸厚生局岐阜事務所に変更の届出がされていない例が認められたので速やかに届け出ること。

◇ 保険医の異動が認められたので、速やかに東海北陸厚生局岐阜事務所に届け出ること。

◇ 届出後に施設基準を満たさなくなった以下のものについては、速やかに辞退の届出を行うこと。

 ・コンタクトレンズ検査料1


17.掲示事項

◇ 掲示事項について、次の不適切な事項が認められたので改めること。

 ・届出した施設基準について、診療所内に掲示していない。

 ・機能強化加算について、地域におけるかかりつけ医機能として、健康診断の結果等の健康管理に係る相談、保健・福祉サービスに関する相談及び夜間・休日の問い合わせへの対応を行っている医療機関であることを、診療所内の見やすい場所に掲示していない。

 ・明細書発行体制等加算について、算定した診療報酬の区分・項目の名称及びその点数又は金額を記載した詳細な明細書を患者に無料で交付している旨を診療所内の見やすい場所に掲示していない。

 ・地域包括診療加算について、健康相談を実施している旨及び介護保険制度の利用等に関する相談を実施している旨を院内掲示していない。

 ・がん治療連携指導料について、屋内禁煙を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していない。

 ・外来後発医薬品使用体制加算について、後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいることを受付及び支払い窓口の見やすい場所に掲示していない。

 ・保険外負担に関する事項を診療所内の見やすい場所に掲示していない。

 ・届出した診療科を掲示していない。


18.その他の事項

◇ 診療報酬の請求に当たっては、全ての診療報酬明細書について保険医自らが診療録との突合を行い、記載事項や算定項目に誤りや不備等がないか十分に確認すること。


(岐阜県保険医新聞2019年11月10日号)