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2017年度【医科】個別指導での指摘事項
 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第1回)

 2017年度に行われた個別指導、新規個別指導について主な指摘事項を数回にわたって紹介します。

1.診療録

○ 電子的に保存している記録について、最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版」に準拠した運用管理規程に則して適切な運用がされていないので改めること。

 ・ パスワードの有効期間が2か月以内の設定となっていない。

 ・ 電子カルテシステムを使用する従事者がいる場合、医療従事者・関係職種ごとに範囲を定めたアクセス権限となっていない。

 ・ 標準時の同期及び他の周辺機器との時刻の同期がされていない。

 ・利用者IDを個別に付与していない。

 ・ 離席時のクローズ設定がされていない。

○ 保険診療の診療録と保険外診療(自由診療)の診療録を区分して管理していない例が認められたので改めること。

○ 診療録の記録について、鉛筆で記載している例が認められたので改めること。

○ 診療録への必要事項の記載について、算定要件の記載がない、または乏しい例が散見されたので改めること。診療録は、保険請求の根拠となるものなので、医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと。

○ 診療録(様式第一号)(1)の3について、作成されていない例が認められたので改めること。

○ 診療録(様式第一号)(1)の3への記載について、患者から徴収する一部負担金の金額が適正に記載されていない例が認められたので改めること。


2.傷病名

○ 検査、投薬等の査定を防ぐ目的で付けられた医学的な診断根拠が乏しい傷病名が認められたので改めること。診療報酬明細書の請求内容を説明する上で傷病名のみでは不十分と考えられる場合には、摘要欄に記載するか、別に症状詳記(病状説明)を作成し診療報酬明細書に添付すること。

○ 傷病名を適切に整理していないため、非常に多数となっている例が認められた。傷病名には正しい転帰を付して、適宜整理すること。

○ 診療録に記載している傷病名について、診療報酬明細書に記載していない例が認められたので改めること。


3.初・再診料

○ 初診料について、診療録に患者からの聴取事項、診察所見の記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 初診料について、同一の疾病又は傷病の診療を行った場合に、初診料を算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 外来管理加算について、診療録に患者からの聴取事項や診療所見の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 外来管理加算について、診療録に患者からの聴取事項の記載が乏しい例が認められたので改めること。


4.医学管理等

○ 特定疾患療養管理料について、主病が特定疾患ではない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患療養管理料について、診療録に主病に対する治療計画に基づいた療養上の管理内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 特定疾患療養管理料について、診療録に主病に対する治療計画に基づいた療養上の管理内容の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。

○ 特定薬剤治療管理料について、診療録に薬剤の血中濃度及び治療計画の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、診療録に治療計画の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。

○ 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、診療録に腫瘍マーカー検査の結果及び治療計画の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 難病外来指導管理料について、診療録に主病に対する(治療計画に基づいた)診療内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 外来栄養食事指導料について、診療録に管理栄養士への指示事項(熱量、熱量構成、蛋白質、脂質、その他の栄養素の量など)の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、交付した文書の項目に空欄が認められたので改めること。なお、特記事項がない場合は、空欄とせず、「なし」等と記載すること。

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、紹介先の機関名を特定していない文書で算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、算定対象ではない文書を誤って算定した例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 薬剤情報提供料について、診療録に薬剤情報を提供した旨が記載されていない多数の例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


5.在宅医療

○ 在宅患者訪問診療料について、診療録に当該医師の当該在宅患者に対する診療時間を適切に記載すること。

○ 在宅患者訪問診療料について、診療録に診療内容の要点の記載のない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅患者訪問診療料について、診療録に訪問診療の計画の記載が乏しい例が認められたので改めること。

○ 在宅患者訪問診療料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ① 当該患者又はその家族等の署名付きの訪問診療に係る同意書を作成していない。

○ 在宅時医学総合管理料について、別に厚生労働大臣が定める状態ではない患者を、当該状態の患者として算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


過去2年間の個別指導の結果
【 2016年度 】
□ 個 別 指 導

 ・ 概ね妥当: 3件
 ・ 経過観察: 7件
 ・ 再 指 導: 4件
□ 新規個別指導
 ・ 概ね妥当: 8件
 ・ 経過観察:13件
 ・ 再 指 導: 2件
【 2017年度 】
□ 個 別 指 導

 ・ 概ね妥当: 2件
 ・ 経過観察:12件
 ・ 再 指 導: 4件
□ 新規個別指導
 ・ 概ね妥当: 6件
 ・ 経過観察:17件
 ・ 再 指 導: 2件

(岐阜県保険医新聞2018年9月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (第2回)

 2017年度に行われた個別指導、新規個別指導について主な指摘事項を数回にわたって紹介します。

5.在宅医療の続き

○ 同一建物居住者訪問看護・指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ① 診療録に医師が看護師等に対して行った指示内容の要点の記載がない。

○ 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料について、診療録に理学療法士又は作業療法士に対して行った指示内容の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。

○ 在宅療養指導管理料について、診療録に当該在宅療法を指示した根拠、指示事項(方法、注意点、緊急時の措置等)及び指導内容の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。

○ 在宅療養指導管理料について、診療録に指示事項(方法、注意点、緊急時の措置等)、指導内容の要点の記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 酸素濃縮装置加算、酸素ボンベ加算、携帯型液化酸素装置加算について、チアノーゼ型先天性心疾患の患者について算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 在宅自己注射指導管理料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ① 診療録に指示事項(方法、注意点、緊急時の措置等)、指導内容の要点の記載がない。

 ② 在宅自己注射の導入前に、入院又は2回以上の外来、往診若しくは訪問診療により、医師による十分な教育期間をとり、十分な指導を行っていない患者に対して算定している。また、十分な指導を行った際に、指導内容を詳細に記載した文書を作成し、患者に交付していない。

○ 血糖自己測定器加算について、血糖自己測定回数に基づく6段階の加算料を誤って算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


6.検査

○ 検査について、個々の患者の状態に応じて診療上必要があると認められる範囲で実施すること。

○ 腫瘍マーカーの検査について、診察及び他の検査・画像診断等の結果から悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者以外の者に対して実施している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 呼吸心拍監視について、重篤な心機能障害若しくは呼吸機能障害を有する患者又はそのおそれのある患者以外の者に対して、算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


7.投薬

○ 特定疾患処方管理加算及び長期投薬加算について、特定疾患を主病としていないにもかかわらず算定している例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ ビタミン剤について、診療録に当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨の具体的な記載が乏しい例が認められたので改めること。

○ ビタミン剤について、診療録に当該ビタミン剤の投与が必要かつ有効と判断した趣旨の具体的な記載がない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

○ 外用薬の処方にかかる診療録の記載について、使用部位を記載すること。

○ 外来後発医薬品使用体制加算について、後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいることを受付及び支払い窓口の見やすい場所に掲示されていないので改めること。


8.リハビリテーション

○ 運動器リハビリテーションについて、診療録にリハビリテーションの開始時及びその後3か月に1回以上患者に対して当該リハビリテーション実施計画の説明の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。

○ リハビリテーション総合計画評価料について、多職種が共同してリハビリテーション総合実施計画を作成する際に、診療録及びリハビリテーション総合実施計画書に主治医の診療所見の記載がなく、主治医が共同して当該リハビリテーションの評価を行っていることが確認できない例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】


(岐阜県保険医新聞2018年10月10日号)


 
 【医科】 個別指導での指摘事項 (最終回)

 2017年度に行われた個別指導、新規個別指導について主な指摘事項を数回にわたって紹介します。

5.在宅医療の続き

○ 同一建物居住者訪問看護・指導料について、次の不適切な例が認められたので改めること。【自主返還の対象事例】

 ① 診療録に医師が看護師等に対して行った指示内容の要点の記載がない。

○ 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料について、診療録に理学療法士又は作業療法士に対して行った指示内容の要点の記載が乏しい例が認められたので改めること。

9.処置

○ 創傷処置について、診療録に創傷部位及び処置した範囲の記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 結膜異物除去について、処置内容の診療録への記載が不十分な例が認められた。処置内容について、記載内容の充実を図ること。

10.入院料

○ 入院料について、入院診療計画を策定する際には、医師、看護師、その他必要に応じ関係職種が共同して総合的に策定すること。


11.掲示事項

○ 保険外負担に関する事項を院内の見やすい場所に掲示していないので改めること。

○ 保険外負担に関する事項について、内容及び料金等が院内に掲示されていないので改めること。

○ 届出している施設基準について、院内に掲示していないので改めること。

○ 「個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書」の発行について、院内掲示がされていないので改めること。

○ がん治療連携指導料について、屋内禁煙を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していないので改めること。

 編注 屋内禁煙が要件とされている項目、屋内禁煙の基準は「保険診療の手引」1,268頁を参照されたい。

○ 薬の容器代について、当該容器本体部分が再利用できるものを患者が返却した場合に実費を返還する旨の掲示がされていないので改めること。


12.届出事項

○ 診療日・診療時間について、東海北陸厚生局岐阜事務所に届出事項の変更がされていないので速やかに届け出ること。

○ 診療科の変更が認められたので、速やかに東海北陸厚生局岐阜事務所に届け出ること。

○ 届出を行った診療科名について保険医療機関内に掲示していないので改めること。

○ 勤務医の登録について、非常勤となった勤務医の変更がされていないので改めること。

○ 届出されていない保険医の異動(採用・退職)が認められたので速やかに東海北陸厚生局岐阜事務所に届け出ること。


13.保険外負担

○ 療養の給付と直接関係ないサービス等とはいえないものについて、適切ではない保険外負担の例が認められたので改めること。

 例1)衛生材料代(ガーゼ代、テープ代等)

 例2)松葉杖が貸与されておらず、原則販売となっている。


14.一部負担金

○ 一部負担金の受領について、受領すべき者から正しく受領していない例が認められたので改めること。

○ 一部負担金の受領について、従業員から受領していない例が認められたので改めること。


指摘事項 お送りします
 “2017年度に実施された個別指導における指摘事項”の全文が必要な方は、協会事務局までご連絡ください。
 また、協会では個別指導などに関する相談にも応じております。「指導対象カルテの通知時期」や「指導当日の持参物」など、ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

(岐阜県保険医新聞2018年11月10日号)